GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

名称:オルト-セカンダリ-ブチルフェノール
CAS番号:89-72-5

結果:
物質ID: 21B3097
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点が107℃(HSDB(2005))、112℃(ホンメル(1996))というデータがあり、共に試験法が不明であるが、密閉式の測定で93℃を超えると判断して区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子中にフッ素、塩素を含まず、酸素を含むが、この酸素は炭素・水素以外の元素と結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。なお、この物質は鋼に腐食作用を及ぼすので容器として適さないホンメル(1996)という情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値2.7g/kg(ACGIH(2001))、500-1000 mg/kg(厚労省報告(access on May. 2009))に基づき、危険性の高い区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値5560 mg/kg(RTECS(2008)、元文献:NTIS Clearinghouse for Scientific & Technical Information OTS0572448)に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットのLC50値>290ppm(換算値:>1.78 mg/L)(RTECS(2008)、元文献:NTIS Clearinghouse for Scientific & Technical Information OTS0572448)は区分4又は区分外に該当するが、このデータのみではデータ不足で分類できない。(飽和蒸気濃度(65.7ppm)を超えているため、ミストの基準値を用いた)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた試験で、24時間適用で重度の薬傷の記載(ACGIH(2001))及びヒトで職業暴露により薬傷を起こしたとの記述(ACGIH(2001))に基づき、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた試験で、眼に重度の損傷の報告(ACGIH(2001))、皮膚腐食性が区分1であることに基づき、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - invivoの試験報告がなく分類できない。なお、invitroの試験では、Ames試験で陰性(NTP DB(Access on May 2009)、厚労省報告(Access on May 2009))、及びチャイニーズハムスター肺の培養細胞用いた染色体異常試験で陽性の報告(厚労省報告(Access on May 2009))がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットに経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合スクリーニング試験(OECDTestGuideline422:GLP準拠)で、親に一般毒性が観察される暴露量で雌雄動物の交尾率、受胎率、雌動物の妊娠維持、分娩および哺育ならびに産児の生存性、性比、発育および形態に影響は認められなかった(厚労省報告(access on May. 2009))との報告があるが、催奇形性を含む発生毒性に関するデータが不十分なため分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに250-2000 mg/kgの用量を経口投与後、殆どの例で自発運動の低下、うずくまり姿勢などがみられ、一部の動物では呼吸数の減少、異常呼吸音、呼吸促迫を示した。病理学的検査により死亡例では肺の赤色領域あるいは暗赤色部が認められた(厚労省報告(access on May. 2009))。用量がガイダンス値区分2に相当しており、呼吸器が標的器官として推定されている(厚労省報告(access on May. 2009))ことから、区分2(呼吸器)とした。なお、前胃粘膜の白濁肥厚部など消化管への影響も記載されているが、被験物質が皮膚腐食性物質であることから局所影響であると判断される。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性スクリーニング試験において、60 mg/kg/day(90日換算:約28 mg/kg/day)では雄に投与期間初期に自発運動の減少が観察された以外に被験物質投与の影響は見られなかったが、300 mg/kg/day(90日換算:約149 mg/kg/day)では、雄で総コレステロール濃度の増加、肝臓の比体重値が雌雄とも増加、雄で小葉中心性の肝細胞の肥大が観察された(厚労省報告(access on May. 2009))。しかし、区分2のガイダンス値の上限(100 mg/kg/day)付近における影響が不明であり、この試験の結果のみではデータ不足により分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50=4.0 mg/L(環境省生態影響試験, 1998)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 2001))ことから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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