GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:塩化カドミウム
CAS番号:10108-64-2

結果:
物質ID: 21B3100
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC, 2005)との記載がある。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC, 2005)との記載があり常温の空気と接触しても自然発火しない。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC, 2005)との記載がある。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 金属(Cd)を含むが、(水溶解度140g/100mL(20℃)、HSDB(2009)というデータがあり、水に対して安定と考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 塩素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 107, 129, 225, 327 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、88-302 mg/kg(CaPSAR(1994))に基づき区分3とした。なお2週齢のラットではLD50 29 mg/kg(PATTY(5th, 2001))のデータがある。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。なお、ヒトへの影響として「短時間暴露で皮膚の痛みと1度の火傷を引き起こす」との記述がある(HSDB(2009))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 呼吸器感作性:データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 皮膚感作性:モルモットによるMaximization試験で陰性であること(DFGOT vol.22(2006))から区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
生殖細胞in vivo変異原性試験(卵母細胞、精母細胞での異数性検出)で(弱い)陽性、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験、小核試験)で陽性(IARC58(1993))であることから、区分1Bとした。なお、経世代変異原性試験(優性致死試験、転座試験)は概ね陰性(IARC58(1993))、in vitroのAmes試験はおおむね陰性、マウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験では陽性(IARC58(1993), NTP DB(access on May, 2009))である。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC(IARC58(1993))でGroup 1(Cadmium and Cadmium Compoundsとして)、NTPでK(Cadmium and Cadmium Compoundsとして(NTP Roc.11th(2004)))、日本産業衛生学会で1(カドミウム及びカドミウム化合物として)と分類されていることから、区分1Aとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与による繁殖能試験において、雄の生殖能に対しての影響は認められず、交尾率、着床率、生存胎児数の低下が認められた(IARC58(1993))が母動物の一般毒性が不明なため区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、肝臓、消化器系) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器、肝臓、消化器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては「肝臓への障害」(ATSDR(2008))の記述があり、ラットの吸入ばく露試験(粉塵)では「肺水腫(0.005 mg/L1hr)、肺炎(0.0065 mg/L1hr)、肺胞1型細胞障害と壊死(0.006 mg/L2hr)」(ATSDR(2008))、経口投与試験では「肝実質細胞の局所的変性及び壊死(75 mg/kg)」(ATSDR(2008))が認められ、いずれも区分1に相当するガイダンス値範囲であった。またカドミウム化合物一般のヒトでの急性毒性としては「吸入ばく露では化学性肺炎と肺水腫、経口摂取では急激で重篤な悪心、嘔吐、腹痛」(EHC134(1992))がみられたことから区分1(呼吸器、肝臓、消化器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、骨、肝臓、腎臓、心臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、骨、肝臓、腎臓、心臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット、マウスおよびハムスターにおける吸入ばく露試験(粉塵)で肺における炎症性及び増殖性変化の誘導(0.4-0.5μg/L4hr)(CaPSAR(1994))、ラットにおける経口投与試験でカルシウム代謝の変化と骨軟化症(1μg/kg/day6ヶ月)(EHC61(1988)、ATSDR(2008))、肝小葉中心の壊死と近位尿細管の壊死(8.58 mg/kg/day12週間)、貧血、骨軟化症(3.6 mg/kg/day120日間)、心筋の鬱血および筋肉繊維の分離(2.5 mg/kg/day7週間)(ATSDR(2008))が認められていることから、肺、骨、肝臓、腎臓、心臓が標的臓器と考えられた。なお実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。以上より区分1(呼吸器、骨、肝臓、腎臓、心臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(アミ類)での96時間LC50 = 0.00138 mg/L(ECETOC TR91, 2003)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、金属化合物であり水中での挙動が不明であるため、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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