GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:硫化カドミウム
CAS番号:1306-23-6

結果:
物質ID: 21B3104
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - ICSC(2007)では可燃性としているが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 金属(Cd)を含むが水に不溶(ICSC(2007))という情報があり、水に対して安定であると考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、またはハロゲンを含まない無機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値>5000 mg/kg(CaPSAR(1994))、7080 mg/kg(HSDB(2009))により区分外とした。なお、マウスのLD50値は1166 mg/kg(EHC134(1992))で、区分4相当である。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。なお、硫化物一般の注意事項としてヒトで溶液の接触により紅斑、痛みを生じる(HSDB(2009))
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。なお、硫化物一般の注意事項としてヒトに結膜炎、輝所恐怖症、流涙、角膜混濁を生じる(HSDB(2009))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 呼吸器感作性:データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 皮膚感作性:データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
In vivo変異原性試験の結果がなく、本物質は非水溶性カドミウム化合物ではあるが、代表的水溶性カドミウム化合物の塩化カドミウムでは生殖細胞変異原性が示唆されることから、本物質においてもその遺伝毒性の可能性を無視しえないため、区分2とした。なおin vitroのヒトリンパ球染色体異常試験では陽性(IARC58(1993))である。塩化カドミウム(CAS:10108-64-2)参照のこと。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC(IARC58(1993))でGroup 1(Cadmium and Cadmium Compoundsとして)、NTPでK(Cadmium and Cadmium Compoundsとして(NTP Roc.11th(2004)))、日本産業衛生学会で1(カドミウム及びカドミウム化合物として)と分類されていることから、区分1Aとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質についてのデータはないが、代表的カドミウム化合物の塩化カドミウムでは生殖毒性が示唆されることから、本物質においてもその可能性を無視しえないため、区分2とした。塩化カドミウム(CAS:10108-64-2)参照のこと。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、消化器) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器、消化器) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質自体のヒトでのデータはないが、カドミウム化合物一般についてのヒトでの急性毒性としては「吸入曝露では化学性肺炎と肺水腫、経口摂取では急激で重篤な悪心、嘔吐、腹痛」(EHC134(1992))がみられたことから区分1(呼吸器、消化器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、腎臓、骨) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、腎臓、骨) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては「硫化カドミウム染料工場での、労働環境の改善により尿中s2-microglobulinが顕著に減少した」(EHC134(1992))等の記述、マウスとハムスターで「用量依存性の気道の増殖性変化および過形成(0.09μg/L, 1日19時間、週5日26週)」(CaPSAR(1994))等の記述があることから、腎臓、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。また、カドミウム化合物の慢性毒性としては「肺気腫、糸球体性蛋白尿等の腎障害、それに誘導される高尿中カルシウム症、カルシウムと燐酸塩比率の不調和、血中燐酸レベルの低下、腎結石形成、および骨粗鬆症と骨軟化症」(EHC134(1992))である。以上より区分1(呼吸器、腎臓、骨)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48時間LC50 = 11μg/L(AQUIRE, 2010)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、金属化合物であり水中での挙動が不明であるため、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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