名称:酢酸ビニル
CAS番号:108-05-4
物質ID: | 21B3124 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分2 | 危険 | H225: 引火性の高い液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ICSC(1995)による引火点は-8℃(密閉式)、かつ沸点は72℃であり、「区分2」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス3、容器等級II(国連番号1301)。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | タイプG | - | - | - | - | 化学構造に不飽和結合を含む。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス3PGII(UN1301)のため、タイプGである。安定剤としてはハイドロキノンが用いられている(ホンメル(1996))。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が402℃(ICSC(1995))で70℃を超えている。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値2900 mg/kg(環境省リスク評価第2巻(2003))、1600-3480 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書(2006))、2920-3730 mg/kg(ECETOC JACC No.18(1991))、3470 mg/kg(DFGOT vol.21(2005))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50値2335-7470 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書(2006))、2340 mg/kg(ECETOC JACC No.18(1991))、>5000 mg/kg(ECETOC JACC No.18(1991))、7440 mg/kg(DFGOT vol.21(2005))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットのLC50値(4時間)11.4 mg/L(換算値:3184ppm, 環境省リスク評価第2巻(2003))、3200-4490ppm(CERI・NITE有害性評価書(2006))、4000ppm、3680ppm(いずれもECETOC JACC No.18(1991))、4650ppm(ATSDR(1992))に基づき、区分4とした。なお、いずれのLC50値も飽和蒸気圧濃度(149211ppmv)の90%より低く、気体と判断し、ppm単位の基準値で分類した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ヒトでは、ボランティアによるパッチテストにおいて刺激性はみられない(ATSDR(1992))が、本物質の生産工場の労働者において21人中3人に皮膚の刺激性と発疹がみられている(ECETOC JACC No.18(1991))。ウサギを用いた7つの皮膚刺激性試験のうち2つの試験は「刺激性無し」(ECETOC JACC No.18(1991)、ATSDR(1992))であるが、3つの試験でそれぞれ「軽度の刺激」(CERI・NITE有害性評価書(2006))、「軽度の浮腫」(ATSDR(1992))、「軽度の紅斑」(DFGOT vol.21(2005))がみられ、1つの試験では「浮腫(ドレイズスコア値4)と皮下出血、皮膚の黄変」(DFGOT vol.21(2005))との記載がある。以上より、区分2とした。なお、皮膚への連続的な接触は「重度の刺激性または水疱形成」(ECETOC JACC No.18(1991))、長期暴露は「皮膚への腐食性の影響」(DFGOT vol.21(2005))との記載がある。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ヒトでは、本物質との直接接触により角膜熱傷がおきたが、48時間以内に回復した例が報告されており、ウサギを用いた眼刺激性試験では「強度の刺激性」(CERI・NITE有害性評価書(2006))、「角膜混濁、発赤、結膜の重度の浮腫(8日後に消失)」(DFGOT vol.21(2005))との記述から、区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いたBuehlar法による皮膚感作性試験の結果、「6/20匹に陽性の反応が得られた」(CERI・NITE有害性評価書(2006))との記述があるが、DFGOT vol.21(2005)において「擬陽性反応の可能性を排除できないため、評価できない」との記載があり、分類できないとした。なお、5年間にわたる21人の労働者の医療記録から、「本物質はアレルギー性接触皮膚炎の重要な誘導物質ではないことが示唆される」(ECETOC JACC No.18(1991))との記載、また、「本物質と頻繁に強い皮膚接触があった労働者において、アレルギー性の皮膚反応はみられなかった」(DFGOT vol.21(2005))との記載がある。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
in vivoにおいて、ラットの骨髄を用いた小核試験(NTP DB(access on 6. 2009))、マウスの骨髄を用いた小核試験(CERI・NITE有害性評価書(2006))、ラットの骨髄を用いた染色体異常試験(DFGOT vol.21(2005))、マウスの骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験(CERI・NITE有害性評価書(2006))でそれぞれ陽性結果があり、区分2とした。なお、in vitroにおいては、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性(CERI・NITE有害性評価書(2006)、NTP DB(access on 6. 2009))、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(CERI・NITE有害性評価書(2006))、マウスリンパ腫細胞を用いた突然変異試験(CERI・NITE有害性評価書(2006))、ヒトリンパ球およびCHO細胞を用いた姉妹染色分体交換試験(CERI・NITE有害性評価書(2006)、NITE初期リスク評価書No.60(2005))、ハムスター培養細胞を用いた形質転換試験(NITE初期リスク評価書No.60(2005))でそれぞれ陽性である。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARC(1995)で2B、ACGIH(1992(ACGIH-TLV(2009))でA3、産衛学会(2008)で2Bに分類されていることから、区分2とした。動物試験では、ラットおよびマウスを用いた104週間経口投与試験において、ラットの雄に口腔の扁平上皮癌と扁平上皮乳頭腫、雌に口腔と食道の扁平上皮癌の発生が認められ、マウスにおいても、雌雄に口腔と前胃の扁平上皮癌と扁平上皮乳頭腫、食道と喉頭に扁平上皮癌、雌の食道に扁平上皮乳頭腫が認められている(厚生労働省がん原性試験(1995);NITE初期リスク評価書No.60(2005))。ラットおよびマウスを用いた2年間吸入暴露試験においては、ラットの雄に鼻腔の乳頭腫および扁平上皮癌、雌に鼻腔の扁平上皮癌と喉頭の扁平上皮癌が認められ、マウスでは、雄に肺の扁平上皮癌がみられている(NITE初期リスク評価書No.60(2005))。厚生労働省では健康障害を防止するための指針を出している(厚生労働省指針(2006))。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた経口投与による2世代生殖毒性試験では、仔の体重増加抑制と妊娠率のわずかな低下(再現性無し)がみられるのみ(CERI・NITE有害性評価書(2006)、ATSDR(2009))であり、マウスを用いた経口投与による生殖毒性試験においては精巣の相対重量減少(病理組織学的変化無し、用量依存性無し)がみられるのみ(ATSDR(2009))である。ラットを用いた吸入暴露による発生毒性試験では母動物に体重増加抑制、肺のうっ血がみられる用量で胎仔に体重減少、頭臀長短縮、骨化遅延がみられるが、これは母体毒性による2次的影響であるとの記載がある(ATSDR(2009))。その他生殖毒性試験、発生毒性試験において、母動物または仔の体重増加抑制以外影響は認められず(CERI・NITE有害性評価書(2006)、ATSDR(2009))、区分外とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性、麻酔作用) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、ボランティアによる吸入暴露試験において「呼吸器に対する刺激性が認められた」(CERI・NITE有害性評価書(2006))、「鼻と喉を刺激する」(ATSDR(1992))との記載、動物試験では、ラットを用いた経口投与試験において「不活発」(DFGOT vol.21(2005))、ウサギを用いた吸入暴露試験において「中枢神経系の抑制」(NITE初期リスク評価書No.60(2005))との記載がある。また、ヒトに対する影響として「粘膜、皮膚を刺激し、高濃度でばく露されると麻酔作用がある」(厚労省指針(2005))との記述があることから、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(呼吸器) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた2年間吸入暴露試験において「鼻腔嗅上皮の扁平上皮化生と萎縮、基底細胞の過形成」、マウスを用いた13週間吸入暴露試験において「巣状肺炎と鼻炎」(CERI・NITE有害性評価書(2006))、マウスを用いた2年間吸入暴露試験において「鼻腔嗅上皮の萎縮、粘液分泌腺の萎縮」(いずれもCERI・NITE有害性評価書(2006))との記載があることから、上気道を中心とした呼吸器が標的臓器と考えられる。なお、実験動物に対する影響はすべて用量200ppm(区分2のガイダンス値の範囲)からみられた。 以上より、分類は区分2(呼吸器)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ヒメダカ)での96時間LC50 = 2.39 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2005)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急速分解性があり(BODによる分解度:90%(既存点検, 1988))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.73(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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