名称:四塩化炭素
CAS番号:56-23-5
物質ID: | 21B3130 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性との記載がある(ICSC, 2004、Merck(14th, 2006))。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性との記載がある(ICSC, 2004、Merck(14th, 2006))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性との記載がある(ICSC, 2004、Merck(14th, 2006))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、「四塩化炭素は水と結合すると、金属に対し腐食性を持つようになる」(ホンメル(1996))との記載がある。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値2350 mg/kg(環境省リスク評価第3巻(2004))、2821 mg/kg、10054 mg/kg(いずれもEHC208(1999))、2800-10180 mg/kg(NITE初期リスク評価書(2005))、7500 mg/kg、10200 mg/kg(いずれもATSDR(2005))、2920 mg/kg(IARC vol.20(1979))、7460 mg/kg(JMPRNo.48(1965))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50値15000 mg/kg(ATSDR(2005))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットのLC50値(4h)8000ppm(環境省リスク評価第3巻(2004))に基づき、区分4とした。なお、飽和蒸気圧濃度(151316ppmV)の90%値よりも低く、気体と判断し、ppm単位の基準値で分類した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ヒトでは、前腕皮膚に四塩化炭素1.5mLを5分間適用した試験で、10〜20分後軽度の一過性紅斑が認められた(NITE初期リスク評価書(2005))こと、ウサギ及びモルモットを用いた皮膚刺激性試験においても、「中等度の刺激が認められた」(CERI・NITE有害性評価書(2006))との記載があることから、区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ヒトでは本物質が眼に接触すると「灼熱感と非常に強い刺激性を生じる」(HSDB(2005))との記載があり、ウサギを用いた眼刺激性試験では「刺激反応が認められたが、適用14日後までに完全に回復した」(CERI・NITE有害性評価書(2006))との記載があることから、区分2とした。なお、眼刺激性反応が7日以内に回復することを示すデータが無いため、細区分は行わなかった。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験、小核試験)で陰性である(CERI・NITE有害性評価書(2006)、IARC vol.71(1999))ことから、区分外とした。なお、その他in vivoではDNA付加体形成試験(ATSDR(2005))、DNA結合試験(IARC vol.71(1999)、ATSDR(2005))で陽性、姉妹染色分体交換試験、不定期DNA合成試験、DNA損傷試験(いずれもCERI・NITE有害性評価書(2006))で陰性結果があり、in vitroでは染色体異常試験(CERI・NITE有害性評価書(2006))、細菌を用いた復帰突然変異試験(CERI・NITE有害性評価書(2006)、NTP DB(access on 7. 2009))で陽性または陰性、姉妹染色分体交換試験(NTP DB(access on 7. 2009))、マウスリンフォーマ試験(CERI・NITE有害性評価書(2006))で陰性である。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
NTPでR(NTP RoC(11th, 2005))、IARCで2B(IARC71(1999))、EPAでB2(IRIS(2000))、日本産業衛生学会で2B(産衛学会勧告(2008))に分類されていることから、区分2とした。 なお、ラットおよびマウスに104週間吸入ばく露による試験おいて、両動物種の雌雄で肝細胞腺腫および肝細胞がんの発生率の有意な増加、マウス雌雄で副腎の褐色細胞腫の発生率の有意な増加が報告されている(NITE初期リスク評価書(2005))。また、ヒトでは、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、リンパ性白血病など一部のがんについて四塩化炭素ばく露との関連を示唆する、あるいは咽頭がんや乳がんの死亡率の有意な増加を示す報告があるが、がんの発症と四塩化炭素ばく露との明確な関連は認められなかったとする報告も数多くある(NITE初期リスク評価書(2005))。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた発生毒性試験において、親動物に一般毒性(体重増加抑制など)がみられる用量で、経口投与では全胚吸収、吸入暴露では胎仔に胸骨異常発生頻度(分離及び骨化遅延)の有意な増加が認められる。また、親動物への影響は不明であるが、吸入暴露において出産直後及び授乳期間中の仔の生存率減少がみられる(いずれもCERI・NITE有害性評価書(2006))。ラットを用いた吸入暴露による3世代生殖毒性試験においては、生殖能力の低下、同腹仔数の減少がみられる(ATSDR(2005))。以上より、区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓) | 危険 | H370: 臓器の障害(中枢神経系、肝臓、腎臓) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
四塩化炭素のばく露を受けたヒトにおいて「嘔吐、めまい、眠気、頻脈、多呼吸、頭痛及び昏睡、肝機能低下、肝臓の小葉中心性壊死、腎不全、尿細管壊死、無尿症、蛋白尿」(CERI・NITE有害性評価書(2006)、産衛学会勧告(産衛誌第33巻, 1991)、EHC208(1999)、ATSDR(2005)、DFGOT vol.18(2002))等の報告に基づき、区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓)とした。なお、実験動物においても、ラットに160 mg/kgを経口投与により「著しい壊死を伴う肝臓小葉中心部の空胞変性」(ATSDR(2005))、マウスに32 mg/kgを経口投与により「肝臓の小葉中心性壊死」(EHC208(1999))が報告されている。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓、腎臓)、区分2(呼吸器) |
危険 警告 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、腎臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトで四塩化炭素のばく露により肝硬変を発症した事例報告があり、四塩化炭素ばく露が肝硬変のリスク要因と結論されている(CERI・NITE有害性評価書)ことに加え、ラットを用いた試験で、12週間経口投与により10 mg/kg(換算値:9.3 mg/kg))以上で「小葉中心性肝細胞空胞化」(CERI・NITE有害性評価書)、13週間吸入ばく露(蒸気)により10ppm(0.0641 mg/L)以上で脂肪変性、セロイド沈着、胆管増殖、肝硬変の増加など肝臓の組織学的諸変化(CERI・NITE有害性評価書)が報告されていることも踏まえ、区分1(肝臓)とした。また、このラット13週間吸入ばく露(蒸気)試験の所見には、90ppm(0.57 mg/L)以上で尿検査異常、270ppm(1.7 mg/L)以上で尿細管空胞化、糸球体硝子化、腎臓のタンパク質円柱が記載され、2年間吸入ばく露(蒸気)試験では25ppm(0.16 mg/L)以上で進行性糸球体腎症(CERI・NITE有害性評価書)が報告され、ガイダンス値区分1の範囲まで影響が認められていることから区分1(腎臓)とした。さらに、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、サルに6週間吸入ばく露(蒸気)により、0.515 mg/L(6時間/1日・90日換算値:0.28 mg/L))でこれらの全動物種に肺の間質性線維症、肺炎がみられたとの記述(環境省リスク評価第3巻(2004))があり、用量がガイダンス値区分2に該当することから、区分2(呼吸器)とした。以上より、分類は区分1(肝臓、腎臓)、区分2(呼吸器)となる。なお、血液については血液学的変化とあるのみで具体的な記載がなく、唯一マウス13週間吸入ばく露(蒸気)試験において、270ppm(1.7 mg/L)以上でヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、及び赤血球数減少の記載(CERI・NITE有害性評価書)があるが、ガイダンス値範囲を超えた用量であるため分類対象とならない。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)での72時間ErC50=0.46 mg/L(環境省生態影響試験, 2002)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 1980))ことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 区分1 | 警告 | H420: オゾン層を破壊し、健康及び環境に有害 | P502: 回収/リサイクルに関する情報について製造業者/供給者に問い合わせること。 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されているため。 |
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