名称:パラ-ニトロクロロベンゼン
CAS番号:100-00-5
物質ID: | 21B3162 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性の原子団(N-O)を含むが、国連危険物輸送勧告が(国連番号1578)クラス6.1であることから火薬類ではないので「区分外」とした。なお、酸素収支の計算値が-122、発熱分解エネルギー2050J/g(Bretherick(7th, 2007))、分解開始温度300-450℃(Bretherick(7th, 2007))である。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性の原子団(N-O)を含み発熱分解エネルギー2050J/g(Bretherick(7th, 2007))であが、国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号1578)であることから「区分外」とした。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が510℃(ホンメル(1996))で70℃を超えている。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点が140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 炭素、水素以外の元素(窒素)と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、試験データがなく分類できないとした。なお「強力な酸化剤で、可燃性や還元性の物質と激しく反応する」(ICSC(1997))との記載がある。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値は530 mg/kg(ACGIH(2001))、294 mg/kg、565 mg/kg、664 mg/kg、694 mg/kg(SIDS(2002))、200-810 mg/kg(NITE初期リスク評価書No.57(2005))であり、区分4に該当するデータが最も多いことから、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値は750 mg/kg、1722 mg/kg(SIDS(2002))であり、区分3または4に該当するが、ウサギのLD50値は2510 mg/kg、3550 mg/kg(SIDS(2002))、>3040 mg/kg(ACGIH(2001))、2000-3160 mg/kg(NITE初期リスク評価書No.57(2005))であり、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)に該当する。よって、より有害性の高い区分に該当するラットのLD50値に基づき、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | 4時間適用試験のデータは無く、分類できないとした。なお、ウサギ皮膚に24時間閉塞適用した2試験において、ペースト状の本物質を使用した試験では軽度の刺激性(slightly irritating)がみられ、溶解せずに使用した試験では刺激性はみられていないが、どちらも「結果について記述不足である」との記載がある(いずれもSIDS(2002))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギを用いた3試験において、投与24時間後に軽度(slight)の結膜充血が観察された(6/6匹)が、8日目には消失した(SIDS(2002))との記載、投与後洗眼した場合に角膜の一時的混濁がみられたが、4時間後に正常に回復した(CERI・NITE有害性評価書(2006))との記載、加えて、詳細は不明であるが、わずかな一時的な角膜の混濁がみられた(CERI・NITE有害性評価書(2006))との記載がそれぞれあり、以上より区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた5か月間吸入試験において、感作性影響あり(CERI・NITE有害性評価書(2006))との記載があるが、詳細が不明であるため、分類できないとした。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | OECDで承認された皮膚感作性試験のデータは無く、分類できないとした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
in vivoにおいて、マウスの骨髄を用いた小核試験(OECD TG474、GLP)で陽性(CERI・NITE有害性評価書(2006))であることから、区分2とした。なお、その他in vivo試験では、ラットの骨髄を用いた染色体異常試験(OECD TG475、GLP)で陰性(SIDS(2002))、チャイニーズハムスターの骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、マウスの脳、肝臓、腎臓を用いたDNA損傷試験で陽性である(いずれもCERI・NITE有害性評価書(2006))。in vitroにおいては、CHO細胞を用いた染色体異常試験およびエームス試験で陽性または陰性(CERI・NITE有害性評価書(2006))、マウスリンフォーマ試験で陽性である(SIDS(2002))。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットおよびマウスを用いた2年間経口投与(混餌)試験の結果について「ラットの雌雄に脾臓の線維肉腫、骨肉腫、血管肉腫、肉腫NOSおよび線維腫ならびに副腎の褐色細胞腫の発生増加が認められ、パラ-クロロニトロベンゼンのF344/DuCrj(Fischer)ラットに対するがん原性が認められた。マウスでは雄に血管腫、悪性リンパ腫および肝細胞癌、雌に肝臓の血管肉腫と肝細胞癌の発生増加がみられたが、発生率が低値であることからパラ-クロロニトロベンゼンのCrj:BDF1マウスの雌雄に対するがん原性を断定するに至らなかった。」(厚生労働省がん原性試験(1991))との記述があり、これに基づいて「パラ-ニトロクロルベンゼンによる健康障害を防止するための指針」(厚労省指針(2006))が出されていることから、区分2とした。なお、IARCでは3(IARC65(1996))、ACGIHでA3(ACGIH-TLV(1985))、EUリスク警句で3(EU-Annex I(access on Jul. 2009))に分類されているが、厚生労働省がん原性試験(1991)の結果はこの分類に含まれていない。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスの連続交配試験(経口、GLP)において、ペア動物による受胎率の有意な減少がみられ(ACGIH(2001)、CERI・NITE有害性評価書(2006))、ラットの発生毒性試験(経口、OECD TG414、GLP)において親動物に体重増加抑制などがみられる用量で、仔に骨格異常頻度の増加がみられている(ACGIH(2001)、CERI・NITE有害性評価書(2006))ことより区分2とした。なお、ラット及びマウスの反復試験(吸入、GLP)で精子形成低下、性周期の短縮(ラット)及び性周期の延長(マウス)がみられている(SIDS(2002))。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(血液) | 危険 | H370: 臓器の障害(血液) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトの急性毒性について「メトヘモグロビン形成に起因する溶血性貧血、チアノーゼ」(CERI・NITE有害性評価書(2006))との記述があり、作業中に暴露された労働者や本物質を経口摂取した幼児においてそれらの症状がみられるため(ACGIH(2001)、SIDS(2002))、分類は区分1(血液)とした。なお、動物試験においても、ラットを用いた経口、経皮、吸入試験において血液に影響がみられている(SIDS(2002))。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(血液) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた90日間経口投与試験(OECD TG408、GLP)のガイダンスの区分1に相当する、3 mg/kgの用量以上でメトヘモグロビン濃度増加、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値、赤血球数の減少、マウスを用いた13週間吸入暴露試験(GLP)のガイダンスの区分1に相当する0.0786 mg/Lの用量以上で脾臓の造血細胞の増加と色素沈着、骨髄の造血亢進とヘモジデリン沈着がみられている(いずれもCERI・NITE有害性評価書(2006)、SIDS(2002))ことから区分1(血液)とした。ラットを用いた13週間吸入暴露試験(GLP)において、ガイダンスの区分1に相当する0.1572 mg/Lの用量で精子細胞数、精子濃度及び精子運動性の減少、精細管の萎縮がみられているが、生殖毒性が区分2であることからここでは分類に採用しなかった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(コウライエビ)の96時間LC50 = 2.14 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2005)から、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 1976))ことから、区分2とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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