名称:オルト‐ニトロクロロベンゼン
CAS番号:88-73-3
物質ID: | 21B3200 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性の原子団(N-O)を含むが、国連危険物輸送勧告が(国連番号1578)クラス6.1であることから火薬類ではないので「区分外」とした。なお、酸素収支の計算値が-121である。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団(ニトロ基)を含むが、他にデータがなく、分類できないとした。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火温度が487℃(ICSC(J), 2002)であり、常温の空気と接触しても自然発火しない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 塩素を含んでいるが、これらの元素が炭素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値144, 251, 263, 550 mg/kg bw(SIDS(2001))、270, 510 mg/kg bw(DFGOT vol.4(1992))、219, 457 mg/kg bw(BUA Report No.2(1985))のデータが8件あるが、区分3が5件、区分4が3件であることから最も区分の多い区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値655、1320 mg/kg bw(SIDS(2001))は区分3と区分4に該当するが、より危険性の高い区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | 危険 | H331: 吸入すると有毒 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P311: 医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50値495ppm(vapor/aerosol mixture)(換算値3.18 mg/L)(SIDS(2001))に基づき、区分3とした。 なお、試験は蒸気/エアロゾル混合で実施との記載があるが、蒸気圧0.4mmHg(25℃)(NTP TOX No.33(1993))から本物質の飽和蒸気圧濃度は526ppm(3.39 mg/L)であり、試験濃度(495ppm)は90%飽和蒸気圧濃度(473ppm)との間にあるため、ミストが混在している蒸気と推定した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、1つの試験で軽度の刺激性を示し、別の2試験で刺激性を示さなかったが、物質の投与方法が特殊であるため、「これらの研究は皮膚刺激性の証拠を与えない」(SIDS(2001))と結論づけていることより、データ不足で分類できないとした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験で、「投与後1時間ではウサギ6匹中6匹の眼に軽度の結膜充血(score1-2/0-3)があったが24時間後には何の刺激も観察されなかった(SIDS(2001))」との報告があり、また別の試験では、「ウサギ2匹中1匹の眼に軽度の発赤(score1/3)が観察されたが24時間以内に消失し7日後には角膜に何の刺激の痕跡も観察されなかった(SIDS(2001))」との報告があることより、区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットに5ヵ月間吸入曝露させた試験で感作性は陽性(SIDS(2001))との報告があるが、試験の詳細が不明であり、データ不足で分類できないとした。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 なお、モルモットを用いた試験(modified Freunds complete adjuvant test)で陽性(SIDS(2001))との報告があるが、「限られた質の悪い情報からは、皮膚感作性の有無を結論できない」(SIDS(2001))と評価されている。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivo変異原性試験の結果がなく分類できない。 なお、in vivo遺伝毒性試験である、マウスを用いたDNA損傷試験(アルカリ溶出試験)(腹腔内投与)では陽性(肝臓、腎臓)(SIDS(2001))である。in vitro変異原性試験で、ハムスター卵巣細胞を用いた染色体異常試験および姉妹染色分体交換試験ではS9有りで弱い陽性(NTP TOX No.33(1993))であるが、別のハムスター卵巣細胞を用いた染色体異常試験ではS9の有無に関わらず陰性(SIDS(2001))である。なお、複数のAmes試験において陰性あるいは陽性(IARC vol.65(1996))であり変異原性は明確でない。参考としてSIDS(2001)では、「少なくとも弱い染色体切断物質として遺伝毒性があると疑われる」と結論づけている。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラット及びマウスを用いた2年間の経口投与(混餌)によるがん原性試験において、「ラットでは雌雄に肝細胞がんと肝細胞腺腫の発生増加が認められ、がん原性を示す証拠であると考えられた。マウスでは雌雄に肝細胞がん、肝芽腫及び肝細胞腺腫の発生増加が認められ、がん原性を示す明らかな証拠であると考えられた(がん原性試験(2006))」との報告より、区分2とした。なお、IARCではGroup 3(IARC vol.65(1996))に分類されている。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた13週の吸入慢性毒性試験で、動物は死亡しない高用量(18ppm)で、雄の精巣上体の重量、精子細胞数の減少が報告されている。雌では有意な影響がみられなかった(NTPTOXNo.33(1993))。同様のマウスを用いた13週の吸入慢性毒性試験で、動物の死亡(10匹中2匹)を含む最高用量(18ppm)及び全用量(4.5、9、18ppm)で、雄の精子運動性の減少が報告されている。雌では有意な影響がみられなかった(NTPTOXNo.33(1993))。以上の報告より、分類できないとした。なお、マウスを用いた連続繁殖試験(雌雄マウスに交配前7日間及び交配中98日間、3用量を強制経口投与)で、仔体重は低いものの、受胎能への影響は見られなかった(NTPTOXNo.33(1993))。ほかにも、妊娠中雌ラットへの経口投与試験で、投与群と対照群との奇形仔数の違いはなく、発生毒性は確認されていないが、SIDSでは生殖毒性の可能性があるとしている(SIDS(2001))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(血液、肝臓) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液、肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた13週の吸入慢性毒性試験(蒸気)で、ガイダンス値の区分1に相当する1.1〜18ppm(換算値0.007〜0.12 mg/L)の用量で、メトヘモグロビン濃度の増加が報告されている(NTP TOX No.33(1993))。また、マウスを用いた13週の吸入慢性毒性試験(蒸気)で、ガイダンス値の区分1に相当する18ppm(換算値0.12 mg/L)の用量で、肝臓障害(肝細胞壊死、鉱化作用、慢性炎症、肝巨大細胞)および脾臓の髄外造血亢進が報告されている(NTP TOX No.33(1993))ことより、区分1(血液、肝臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50=21.3 mg/L(SIDS, 2001)であるから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分3 | - | - | H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分3であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 1977))ことから、区分3とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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