GHS分類結果

名称:チオシアン酸アンモニウム
CAS番号:1762-95-4

結果:
物質ID: 22A4007
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素又はハロゲン元素を含まない無機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は500-1000 mg/kg bw(IUCLID(2000))および750 mg/kg bw(IUCLID(2000))に基づき、区分4とした。 「健康有害性については他のチオシアン酸塩についても参照のこと」
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足。なお、皮膚一次刺激性試験で、「刺激性なし(not irritating)」との結果(IUCLID(2000))があるが、使用動物種など基本的試験項目について記載がなく、試験の詳細が不明なため「分類できない」とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いたドレイズテストで刺激性なし(not irritating)の結果(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足。なお、Magnusson-Kligman-Testにおいて感作性なし(not sensitizing)と報告されている(IUCLID(2000))が、それ以上の記載はなく詳細不明のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivoの試験データがなく分類できない。なお、in vitro試験ではAmes testで陰性の報告(IUCLID(2000))がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足。54歳男性がミオクローヌス発作と血管虚脱を伴う昏睡のため入院し、乏尿、代謝性アシドーシス、心停止とともに生命の危険のあるショックを起こし、人工呼吸、心肺蘇生法、血液濾過透析などによる治療施行にもかかわらず死亡した報告がある。その原因として本物質が含まれた除草剤のばく露による可能性が示唆された(HSDB(2004))が、1例のみの事例のため分類の根拠としなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(甲状腺) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(甲状腺) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質のデータはないが、チオシアナートは甲状腺におけるヨウ素の取り込みを阻害し、甲状腺毒性を示すことが知られている(CICADs(J)61(2004)、ATSDR(2006))。また、チオシアナートはシアン化物の主要代謝物であり、シアン化物の職業ばく露により甲状腺機能障害および甲状腺腫が報告されている(CICADs(J)61(2004)、ATSDR(2006))ことから区分1(甲状腺)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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