名称:ヨウ化カリウム
CAS番号:7681-11-0
物質ID: | 22A4012 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(not flammable)の記載(Weiss(2nd, 1986))に基づく。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性あるいは自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(not flammable)の記載(Weiss(2nd, 1986))に基づく。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(not flammable)の記載(Weiss(2nd, 1986))に基づく。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 金属(K)を含むが、水溶解度が25℃で148 g/100 g(HSDB(2006))というデータが得られており、水に対して安定と考えられるので区分外とした。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | ハロゲン元素(I)を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、ステンレス鋼、チタニウム及びタンタルを除いてすべての濃度で多くの金属を腐食させる(Corrosive in all concentrations to most metals, except stainless steel, titanium, and tantalum(Weiss(2nd, 1986))という情報がある。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | マウスのLDLo = 1862 mg/kg(PATTY(5th, 2001))とのデータがあるが、このデータだけでは区分を特定できないため分類できない。なおList3の情報として、ラット:LD50 = 4340 mg/kg(GESTIS(Access on May. 2010))のデータがある。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ヨウ素製剤の局所適用により皮膚反応を示した患者にヨウ化カリウムを試験したところ反応が見られなかったとの報告がある(CICAD 72(2009))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギの角膜にヨウ化カリウムの3%溶液を適用したところ、僅かな刺激性(only slight reaction)を認めたのみで、刺激の程度の評点は最大100に対し17であったとの結果(HSDB(2006))に基づき区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。なお、List 3の情報として、本物質に関して皮膚感作性の検討は繰り返し行われたが、陽性反応は見られなかったと記載されている(GESTIS(Access on May 2010))が、試験方法および試験結果などの詳細は不明である。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | 適切に実施されたin vivo試験がなく、分類できない。なお、in vitro試験では、マウスリンパ腫L5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験およびBalb/c3T3細胞を用いた細胞形質転換試験ではいずれも陰性結果(CICAD 72(2009))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ACGIHによる発がん性評価において、ヨウ素およびヨウ化物としてA4に分類されている(ACGIH(2008))ことから分類できないとした。なお、ラットに2年間飲水投与した試験で甲状腺の増殖性病変の増加や甲状腺腫瘍の発生は認められなかったが、対照群で観察されなかった唾液腺腫瘍の発生が高用量群で認められている(ACGIH(2008))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
動物試験では妊娠中のウサギおよびミンクに経口投与により、仔の生存率低下あるいは出生数減少が認められている(CICAD 72(2009)、HSDB(2006))。一方、ヒトの情報として甲状腺腫を発症した幼児について、母親が妊娠期間中にヨウ化カリウムを摂取していたとする複数の報告(ATSDR(2004)、Birth Defects(3rd, 2000))があり、また、幼児の甲状腺機能低下(ATSDR(2004))も報告されている。以上の報告は動物およびヒトで妊娠中のばく露が児の発生に悪影響を及ぼすことを示唆しており、ヒトに対する生殖毒性が疑われるため区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。なお、経口摂取による自殺企図の報告(CICAD 72(2009))が1件あるが、症状およびその経過について詳しい記述がない。また、経口摂取により少なくとも2例で一過性の皮膚病変が発症したと報告されているが、他物質との交差反応の可能性が示唆されている(ATSDR(2004))。いずれも情報が不十分で当該物質の単回ばく露による影響は判断できない。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(甲状腺、皮膚、全身毒性) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(甲状腺、皮膚、全身毒性) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
肺疾患治療の一部として当該物質を含む薬剤の投与を受けていた患者で、顔、頭皮、体幹、腕などに増殖性皮膚病変の発症が見られた複数の事例(ATSDR(2004))があり、また、経口摂取していた患者がヨウ素薬疹を発症した報告(ATSDR(2004))もあり、区分1(皮膚)とした。また、当該物質を含む薬剤を投与された患者に甲状腺肥大や血清中T4濃度の低下とTSH濃度の上昇を伴う甲状腺機能低下が見られ(ATSDR(2004))、一方、甲状腺機能亢進を示す複数の事例(CICAD 72(2009)、JECFA 24(1989))もあることから、区分1(甲状腺)とした。さらに、重大な副作用として、あるいは長期の摂取によりヨウ素中毒を起こす可能性が指摘され(医療用医薬品集(2010)、HSDB(2006))、ヨウ素中毒の所見には皮膚と甲状腺に関する症状以外に、眼、口および呼吸器に対する刺激性、喘息、耳下腺炎、胃炎、全身衰弱などが記載され(医療用医薬品集(2010)、HSDB(2006))、また、経口摂取した患者では免疫機能に基づくと見なされている発熱の報告が目立ち(CICAD 72(2009))、これらの諸症状について標的臓器の特定が困難なため区分1(全身毒性)とした。以上より、分類は区分1(甲状腺、皮膚、全身毒性)となる。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 896 mg/L(AQUIRE, 2011)から区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 難水溶性ではなく(水溶解度:148 g/100 g(HSDB, 2010))、急性毒性区分外であることから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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