GHS分類結果

名称:ブチルトリクロロスズ
CAS番号:1118-46-3

結果:
物質ID: 22A4052
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点81℃ [密閉式](HSDB(2010))は > 60℃ かつ ≦93℃ であることから、区分4に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 半金属(Sn)を含むが、水溶解度8.2 g/Lの記載(CICAD 73(2006))があり、水に対して安定と考えられる。
13 酸化性液体 分類できない - - - - 塩素を含み、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合している有機化合物であるが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値は2140mg/kg bw(EHC 15(1980))の報告に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5に該当)とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足。なお、ヒトへの影響として強い皮膚刺激性(strong irritant to skin)(HSDB(2010))の記載、またリスト3の情報として、ウサギを用いたドレイズ試験で重度の刺激性(severe)(RTECS(2009))と の報告があるが、いずれも詳細は不明である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データ不足。なお、リスト3の情報として、ウサギを用いたドレイズ試験で重度の刺激性(severe)(RTECS(2009))の報告があるが詳細は不明である。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo 試験のデータがなく分類できない。なお、エームス試験で、陰性(NTP DB(Access on July 2010))及び陽性(ATSDR(2005))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。なお、有機スズ化合物はACGIHにおいてA4に分類(ACGIH(2001))されている。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの経口投与試験(妊娠7-17日、投与量:0, 50, 100, 200, and 400 mg/kg/ day)で、母体毒性を示さないばく露量で発生毒性を示さなかった(CICAD 73(2006))、ラットの経口投与試験(妊娠8、9日に胃管投与、投与量:0, 1000, 1500, 2000 mg/kg)で、母体毒性を示すばく露量で胎仔の外観に奇形は見られなかった(CICAD 73(2006))、ラットの経口投与試験(妊娠0-3日または4-7日に胃管投与、投与量:0, 56, 226 or 903 mg/kg)で、母体毒性の記載はないが、着床後死亡の僅かな増加が見られたが、奇形は観察されなかった(Teratogenic(12th, 2007))ことから、催奇形性は無いと推察される。しかし、親の性機能、生殖能についてのデータがなく、データ不足で分類できないとした。なお、トリブチルスズクロリド(CAS:1461-22-9)、トリブチルスズオキシド(CAS:56-35-9)の分類結果も参照のこと。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足。なお、マウスの胃管投与試験(4000mg/kg)で、肝細胞の脂肪変性、肝臓の腫脹、胃腸の出血、腎臓に充血が観察された(EHC 15(1980)、HSDB(2010)、NIOSH Publications 77-115(1976))との報告がある。 トリブチルスズクロリド(CAS:1461-22-9)、トリブチルスズオキシド(CAS:56-35-9)の分類結果も参照のこと。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。なお、トリブチルスズクロリド(CAS:1461-22-9)、トリブチルスズオキシド(CAS:56-35-9)の分類結果も参照のこと。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミジンコ)による24時間 EC50 = 49 mg/L(AQUIRE, 2011)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分3であり、急速分解性に関するデータが入手できないことから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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