GHS分類結果

名称:2-プロポキシエタノール
CAS番号:2807-30-9

結果:
物質ID: 22A4053
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点57℃ [密閉式][ICSC(J)(2003)]は ≧ 23℃ かつ ≦60℃ であることから、区分3に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は230℃(HSDB(2003)、GESTIS(Access on July. 2010))であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値 3089 mg/kg(SIDS(2010), CICAD 67(2009))および4400 mg/kg(CICAD 67(2009))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギのLD50値2件(900 mg/kg(CICAD 67(2009))、1337 mg/kg(SIDS(2010), CICAD 67(2009))のうち、1件が区分3、1件が区分4に該当するため、危険性の高い方の区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
ラットのLC50値 >2132 ppm/6h(>2612 ppm/4h)(SIDS(2010))では区分を特定できないが、マウスのLC50値 1530 ppm/7h(2024 ppm/4h)(DFGMAK-Doc 12(1999))に基づき区分3とした。なお、毒性値が飽和蒸気圧濃度(4105 ppmV)の90%より低いので気体の基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - モルモットに最大量20 mL/kgまでを24時間閉塞適用した試験で軽度の刺激性(slightly irritating)が認められた(SIDS(2010))が、1週間以内に回復しており、適用量が多くばく露時間も長いことから、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギの眼に試験物質原液0.1 mLを適用したドレイズ試験において、結膜に重度の発赤および中等度の浮腫、虹彩炎、角膜混濁がみられ、中等度〜重度の刺激性(moderate to strong irritation)をもたらしたが、全て14日以内に消失したとの報告(SIDS(2010))に基づき区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたビューラー試験(OECD TG 406: GLP)で感作性なし(not sensitizing)、また、モルモットの足蹠部注射による皮膚感作性試験2件のうち1件(OECD TG 406: GLP)で感作性なし(not sensitizing)、残りの1件では5匹中1匹に弱い陽性反応が認められたと報告されている(SIDS(2010))。以上の結果を踏まえ、当該物質は動物またはヒトで感作物質ではない(SIDS(2010))、また、モルモットでは皮膚感作性物質ではなかった(SIDS(2010))と結論づけられていることから区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットおよびウサギの器官形成期に吸入ばく露、およびマウスの器官形成期に経口投与した発生毒性試験において、母動物の一般毒性として摂餌量低下または体重増加抑制が観察されたが、ラットとウサギの胎仔での骨格変異の発生率増加を除き、各動物種とも催奇形性および胎児毒性を含む仔の発生に対し悪影響は認められなかった(SIDS(2010))。しかし、親動物の性機能および生殖能に対する影響ついてはデータがなく不明のため「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液) 危険 H370: 臓器の障害(血液) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の主な毒性症状は溶血作用に起因するヘモグロビン尿であり、特にげっ歯類では195 mg/kg以下の経口用量でも起こり得る(DFGMAK-Doc 12(1999))と述べられている。経口投与によるラット(LD50: 3089 mg/kg)およびマウス(LD50: 1337 mg/kg)の死亡例で血尿が見られ、吸入(蒸気)ばく露後のラットでは1100 ppm/6h(5.74 mg/L/4h)以上で全例が赤色尿、全用量(250〜2000 ppm)でヘモグロビン濃度とヘマトクリット値の低下を示した(SIDS(2010))。ガイダンス値区分1に相当する1100 ppm/6h(5.74 mg/L/4h)以上の用量で影響が認められ、また、溶血が肉眼的に観察されている(SIDS(2010))ことから、区分1(血液)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質はラットを含め各動物種で赤血球の溶血を引き起こすと述べられている(PATTY(5th, 2001))。ラットに6週間反復経口投与により195 mg/kg/day(90日換算:90 mg/kg/day)以上でヘモグロビン濃度と赤血球数の減少が見られ、血尿、腎臓でのヘモジデリンが明らかとなった(SIDS(2010))。ラットに14週間吸入(蒸気)ばく露した試験では、200 ppm(0.852 mg/L)以上でヘモグロビン尿に加え、溶血を示唆する赤血球数、ヘモグロビン濃度およびヘマトクリット値の減少が見られ、病理学的所見としておそらく溶血に起因すると思われる腎臓、肝臓および脾臓での色素沈着が観察された(PATTY(5th, 2001))。以上の知見に基づき、影響が認められた用量が経口および吸入ともガイダンス値区分2の範囲にあることから、区分2(血液)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類96時間 LC50及び甲殻類48時間 EC50が 5000 mg/L以上 (SIDS, 2004) であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分外であり、急速分解性があり (20日でのBOD分解度 = 100% (SIDS, 2004))、LogPow = 0.08 (PHYSPROP Database, 2011)) であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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