GHS分類結果

名称:ジプロピレングリコールメチルエーテル
CAS番号:34590-94-8

結果:
物質ID: 22A4063
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点79℃ [密閉式](BUA 174(1995))は > 60℃ かつ ≦93℃ であることから、区分4に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点270℃(SIDS(2001))であり、常温では発火しないと考える。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この元素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50のデータが3件(5230 mg/kg、5180 mg/kg、5400 mg/kg)ある(SIDS(2001))が、いずれも5000 mg/kg bw以上であることより区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50が3件(13000-14000 mg/kg、>19000 mg/kg、9500 mg/kg)あり(SIDS(2001))、いずれも5000 mg/kg 以上であることより区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットに500 ppm(3.1 mg/L)を7時間ばく露により死亡なしとの結果(SIDS(2001))から、4時間ばく露に換算したLC50値は661 ppm(4.1 mg/L)以上となるが、区分を特定できないので「分類できない」とした。なお、試験物質について評価書(SIDS(2001))に"saturated vapour(fog)atmosphere"と記載されているので、ミストが混在している蒸気とみなし、蒸気の基準値(mg/L)を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた複数の試験で刺激なし(not irritating)との結果(SIDS(2001))がある。ヒトでは皮膚に無希釈の試験物質を5日間適用しても刺激性なし(not irritating)の結果により、皮膚刺激物ではないとの結論付けられている(SIDS(2001))。以上より区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギに試験物質原液を0.1 mL適用後に角膜と眼瞼に刺激症状がみられたが7日目までに回復、そのほかに角膜上皮に軽微な影響が認められたとの報告(SIDS(2001))もあり、区分2Bとした。なお、ウサギに試験物質500 mgを適用した別の試験では刺激性なしとの結果(SIDS(2001))があり、ヒトで10人の男性ボランティアの眼に20%溶液を適用した試験では、軽微な刺痛感、流涙、軽度な結膜の充血がみられた(ECETOC TR95(2005))と報告されている。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 200人の被験者の背部皮膚に適用した皮膚感作性試験において、皮膚感作性の証拠は認められず、当該物質は皮膚感作性物質ではないとの結論付けられている(SIDS(2001))ことにより区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo の試験データがなく分類できない。なお、in vitro の試験としてエームス試験およびCHL細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陰性(SIDS(2001))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠ラットおよびウサギ゙の器官形成期に吸入ばく露した試験において、常温常圧下で実現可能な最高濃度300 ppmで両動物種とも胚・胎児毒性または催奇形性を示さず、仔の発生に悪影響は認められなかった(SIDS(2001))が、性機能および生殖能対する影響に関してはデータがなく分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットにおいて、経口投与により中枢神経系抑制、7時間吸入ばく露により軽度の麻酔が認められており(SIDS(2001))、さらに、ウサギに経皮投与により一過性の麻酔作用が報告されている(SIDS(2001))ことから、区分3(麻酔作用)とした。また、ヒトで鼻に僅かな刺激があり、咽喉や気道に刺激を起こす最小濃度について言及されている(SIDS(2001))。また、100 ppm以上では最初に中枢神経障害の徴候が現れる前に、鼻、咽喉、気道の刺激が苦痛を与えるとの記述(ACGIH(2001))により、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分外 - - - - ラットの4週間経口投与試験において、高用量群の1000 mg/kg/day(90日換算:308 mg/kg/day)で一時的な流涎、肝臓の有意な重量増加と小葉中心性肝細胞肥大が認められているが、その他には試験物質投与の影響は報告されていない(SIDS(2001))。この肝臓の所見については適応性の変化と結論付けられている(SIDS(2001))ので、ガイダンス値範囲を超えた高用量でも悪影響が見出されなかったことになり、経口経路では区分外相当となる。一方、ラットの4週間経皮投与試験のNOELは1000 mg/kg/day(90日換算:308 mg/kg/day)、また、ウサギの90日間経皮投与試験のNOELは2850 mg/kg/day(SIDS(2001))であり、いずれもガイダンス値範囲の上限を超えている。さらに、ラットまたはウサギの13週間吸入ばく露試験(蒸気: 6 hours/day; 5 days/week)のNOELは200 ppm(1.212 mg/L)以上(SIDS(2001))であり、ガイダンス値範囲の上限を超えている。したがって、経皮および吸入の両経路においても区分外に相当することから、特定標的臓器毒性(反復暴露)の分類は区分外とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 藻類、甲殻類、魚類のいずれの急性毒性試験においても、LC50またはEC50が100 mg/Lを超えている(SIDS, 2003)ことから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分外であり、難水溶性でない (水溶解度 = 1000000 mg/L (PHYSPROP Database, 2011)) ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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