GHS分類結果

名称:酸化セリウム(IV)
CAS番号:1306-38-3

結果:
物質ID: 22A4064
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - non-Combustible solid(GESTIS(Access on July. 2010))
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - non-Combustible solid(GESTIS(Access on July. 2010))
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - non-Combustible solid(GESTIS(Access on July. 2010))
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 金属(Ce)を含むが、水に不溶性である(Merck(14th, 2006)、(環境省リスク評価 第8巻(2010))という情報により水との急激な反応はないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - ハロゲンを含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データが無く分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値;>5000 mg/kg bw(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットに2000 mg/kg bwの投与で死亡がなく、LD50値;>2000mg/kg bw(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットLC50値;>5.05 mg/L(OECD TG403)(IUCLID(2000))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連GHS分類区分5に相当)とした。なお、粒径3ミクロン以下が85.4%を占める(IUCLID(2000))との記述から粉塵/ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギに試験物質0.5gを適用した試験(OECD TG404)において刺激性なし(not irritating)、およびウサギを用いた別の試験で皮膚一次刺激指数は0.0で刺激性なし(not irritating)の結果(何れもIUCLID(2000))に基づき区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギの眼に試験物質0.1gを適用した試験(OECD TG405)において、刺激性なし(not irritating)(IUCLID(2000))、およびウサギを用いた別の試験で軽微な刺激性(slightly irritating)(IUCLID(2000))の結果に基づき区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いたマキシマイゼーション試験(OECD TG406)で惹起後に感作性反応は認められず、感作性なし(Not sensitizing.)の結果(IUCLID(2000))であったが、List 2のデータのため「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの経口投与による骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474)(体細胞in vivo変異原性試験)は陰性結果(IUCLID(2000))との報告に基づき、区分外とした。なお、in vitro試験では、エームステストの結果は陰性(環境省リスク評価 第8巻(2010))と報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。なお、US EPAは発がん性のリスク評価ガイドラインの下では、ヒトでの発がんの可能性を評価するにはデータが不十分である(IRIS(2009)Tox Review)としている。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(肺) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(肺) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに4.12〜5.98 mg/Lの濃度(粉塵)を4時間吸入ばく露した試験(OECD TG 433; GLP)において、2/10匹に努力性呼吸と被毛の乱れ、全例の肺ににびまん性のやや白い病巣を伴った不完全な虚脱が見られたとの所見(IUCLID(2000))に基づき、ばく露濃度はほぼガイダンス値範囲区分2の上限に相当していることから、区分2(肺)とした。なお、経口投与試験では、ラットに5000 mg/kg bwの投与で死亡はなく、正常な体重増加を示し、剖検でも異常は見られていない(IUCLID(2000))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肺) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肺) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
セリウム等の希土類元素ヒュームのばく露を長年に亘り受けた労働者の肺では希土類元素の蓄積が見られ、肉芽腫、気腫、間質の線維化の肺病変と肺活量の低下が報告されている(環境省リスク評価 第8巻(2010))。また、酸化セリウム研磨剤にばく露後少なくとも15年以上経過して、呼吸困難のため来院した58歳の男性に軽度の胸膜肥厚と肺閉塞が見られ、病理検査の結果、慢性肥厚性胸膜炎と診断された事例(環境省リスク評価 第8巻(2010))、35年間光学レンズの研磨作業に従事し、離職後13年経過してから酸化セリウムのばく露に関連する希土類元素じん肺が判明した68歳男性の事例(PATTY(5th, 2001))など、希土類元素の肺における長期間の残留を示すものであり、酸化セリウムのばく露が関与しているとされる有害事象発生の報告は多い。一方、ラットに粉塵ばく露による13週間反復吸入試験において、剖検では5 mg/m3以上のほぼ半数で縦隔膜リンパ節の拡張、退色、全例で気管支リンパ節の変化、51mg/m3以上の全動物で肺の退色、組織検査では、5 mg/m3以上の雌雄の気管支リンパ節でリンパ組織増生、色素沈着、肺で色素沈着、51 mg/m3以上の雌雄の肺で肺胞上皮の過形成、咽頭で化生及び色素沈着がそれぞれ認められ(環境省リスク評価 第8巻(2010))、影響はガイダンス値区分1の範囲を含む。以上のヒトおよび動物の知見に基づき区分1(肺)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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