名称:パラ-ターシャリ-ブチル安息香酸
CAS番号:98-73-7
物質ID: | 22A4086 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 可燃性(combustible)(Sax(11th, 2004))という情報があるが、所定の試験を行ったデータがないため分類できない。また、不燃性(non flammable)(IUCLID(2000))という情報も一方、引火点のデータがあることから不燃性ではなく難燃性物質とみられる。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点510℃(GESTIS(Access on August 2010))であり、常温では発火しないと考えられる。なお、自然発火性なし(non autoinflammable(IUCLID(2000)))という情報もある。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 所定の試験を行なったデータがないため分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素を含む有機化合物であるが、この元素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として4件(735 mg/kg、720mg /kg(雄)、<720 mg(雌)、550〜800 mg/kg)のデータ(EU-RAR(2009))に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | 乾燥粉体を用いたラットのLD50値は>2000 mg/kg(EU-RAR(2009))、溶媒に30%DMSO溶液を用いたラットのLD50値は300 mg/kg、ウサギのLD50値は >900 mg/kg(EU-RAR(2009))とのデータがあるが、いずれも適切な試験方法でないことからデータ不足で分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | ラットの4時間ばく露のLC50値は >1.802 mg/L(EU-RAR(2009))との結果があるが、このデータのみでは区分が特定できないので分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギに試験物質を固体で800 mg/kg、またはアルコールと鉱油の懸濁液で300 mg/kg bwを8時間適用したDraize試験で皮膚刺激性の兆候は見られず(EU-RAR(2009))、ウサギに500 mgを半閉塞により4時間適用した試験で皮膚反応を認めなかった(EU-RAR(2009))の記述に基づき、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギの眼に100 mgを適用したドレイズ試験において雌雄各1匹のウサギに100mgを適用したドレイズ試験において僅かな刺激を認めたのみ(EU-RAR(2009))であったが、100 mgを適用した別の試験(EU test guideline B5)では24時間で6匹全例に中程度の結膜反応が見られ、2匹にグレード1または2の角膜混濁が見られた。これらは3日以内に回復したとの結果(EU-RAR(2009))に基づき区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、試験動物のいずれも惹起処理後に皮膚反応を示さなかったとの結果(EU-RAR(2009))により、陽性率は0%(0/10)となり、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 経口投与したラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo 変異原性試験)で陰性(EU-RAR(2009))に基づき、区分外とした。なお、In vitro 試験では、エームス試験で陰性(EU-RAR(2009)、既存化学物質 変異原性試験データ 補遺3版(2005)、チャイニーズハムスター V79 細胞を用いた小核試験のS9mix存在下で弱陽性(EU-RAR(2009))の報告がある。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
雄ラットに70日間混餌投与後無投与の雌との交配による生殖試験において、親動物での一般毒性として体重増加抑制が観察された用量で受胎率および妊娠率の顕著な低下が認められている(EU-RAR(2009))ことから区分2とした。なお、出生仔について同腹仔数、性比、平均体重は対照群と投与群との間で差はなく、外表異常も記録されていない。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
経口投与により、ラットを用いた試験で500〜2000 mg/kgで流涎過多、尾の直立、後肢の伸張、さらに痙攣に次ぐ側臥位(EU-RAR(2009))、別の試験では500〜900 mg/kgで活動低下、運動失調、前肢障害、振戦、虚脱、流涎過多、徐呼吸、痛覚反射の欠如、痙性、縮瞳などの症状(EU-RAR(2009))、また、マウスを用いた試験では350〜800 mg/kgで協調不能と挙尾反応(脊髄興奮)、痛覚刺激の欠如、前肢の麻痺(EU-RAR(2009))が報告されている。吸入ばく露の場合もラットに粉塵0.495〜1.802 mg/Lにより、前肢の神経障害が報告されている(EU-RAR(2009))。発現用量として経口投与でガイダンス値区分2相当であるが、吸入ばく露では区分1の範囲が含まれることから、区分1(神経系)とした。なお、ラット経口投与試験(500〜2000 mg/kg)において、生存例の精巣で輸精管の生殖細胞変性による両側性萎縮が見られ、別の試験でも組織学的に精巣の低精子形成が720 mg/kg経口投与の全例に現れ、対照群と比べ輸精管の生殖細胞が減少した(EU-RAR(2009))との情報があるが、本GHS分類における生殖毒性が区分2であることから分類に採用しなかった。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(腎臓)、区分2(肝臓) |
警告 危険 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに100〜10000 ppm(6〜500 mg/kg/day)を90日間混餌投与した試験において、3160 ppm(320 mg/kg/day)以上で肝臓および腎臓に対する影響、死亡例の発生、全投与群で腎尿細管壊死と乳頭壊死、精巣の両側性萎縮に加え、少数例で後肢麻痺、組織学的に洞様毛細血管のうっ血と小葉中心性肝細胞の脂肪変性が認められた(EU-RAR(2009))。また、ラットに17.5〜140 mg/kg/dayを13週間経皮投与では、小球性低色素性貧血、コレステロール低下、BUNおよびリン濃度の増加が認められ、ばく露に関連する病理学的変化は上の2用量(70 mg/kg/day以上)での3つの臓器に限定される、即ち、肝臓(細胞質の空胞化)、腎臓(遠位曲尿細管上皮の拡張、円柱、間質性腎炎と乳頭壊死)、および精巣(後期精子細胞を欠く散在性輸精管の変性、生殖細胞種の減少、巨細胞形成)であると記述されている(EU-RAR(2009))。経皮投与試験では17. 5および35 mg/kg/dayの雌でも、多病巣性、小葉周辺性〜汎小葉性、脂質陽性の肝細胞空胞化を特徴とする病変が認められている(EU-RAR(2009))。以上の知見に基づき、腎臓については経口投与によりガイダンス値の区分1相当の用量まで影響が認められたことから区分1(腎臓)とし、肝臓については経皮投与でガイダンス値区分2相当用量での影響に基づき、区分2(肝臓)とした。なお、精巣の所見は、本GHS分類における生殖毒性が区分2であることから分類に採用しなかった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(キンギョ)での96時間 LC50(pH = 5)= 4 mg/L(EU-RAR, 2009)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(28日間でのBOD分解度 = 0、0、12%(既存点検, 1990))ことから、区分2とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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