GHS分類結果

名称:クマリン
CAS番号:91-64-5

結果:
物質ID: 22A4108
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この元素は炭素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値のデータが3件(290、520、680 mg/kg bw)(JECFA WHO Food Additives Series 16(1981))あり、2件が区分4に相当するため区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 経口投与したマウスの骨髄細胞を使用した小核試験(体細胞を用いる in vivo 変異原性試験)で陰性(NTP DB(Access on Oct. 2010))の報告より区分外とした。なお、in vitro試験であるエームステスト、及び染色体異常試験においていずれも代謝活性系で陽性、非代謝活性系で陰性(NTP DB(Access on Oct. 2010))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - IARCでグループ3に分類されている。なお、ラットを使用した103週間の発がん性試験において尿細管の腺腫の増加は無かったが、投与停止後の腎臓の腺腫が増加したが用量依存性はなかった。総胆管及び尿細管の過形成が雄雌共に認められたが、投与停止の観察期間で肝臓の症状は回復し、尿細管の腺腫は有意に増加はしなかった(IARC 77(2000)(National Toxicology Program(1993))の報告がある。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠マウスの妊娠6〜17日目の間混餌投与した試験において着床数、及び吸収、胎児の死亡、胎児重量の減少率に影響はなかった(IARC 77(2000))との報告はあるが、性機能および生殖能に対する影響の報告がないため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、腎臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを使用し2年間経口投与した試験(用量:0、25、50、100 mg/kg/day)において、50および100 mg/kg/dayの用量でGTP、γGTP活性の増加と共に肝細胞壊死、線維化、細胞変性、細胞質変質、総胆管の過形成重症化が、及び腎障害の重症化がいずれも雌雄に、区分2のガイダンス値内の投与量で認められた(NTP TR 422(1993))ことから区分2(肝臓、腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類 (オオミジンコ) の48時間LC50 = 13.5 mg/L (AQUIRE, 2011) から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分3であるが、急速分解性があり (良分解、BODによる分解度:100% (既存点検, 1977))、かつ生物蓄積性が低いと予想される (Log Kow = 1.39 (PHYSPROP Database, 2011)) ことから区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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