GHS分類結果

名称:塩化ストロンチウム
CAS番号:10476-85-4

結果:
物質ID: 22A4120
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - Non-combustible solid.(GESTIS(Access on Oct. 2010))という情報により区分外とした。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - Non-combustible solid.(GESTIS(Access on Oct. 2010))という情報により区分外とした。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - Non-combustible solid.(GESTIS(Access on Oct. 2010))という情報により区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 金属(Sr)を含むが水溶解度は54.7 g/100 g H2O(25℃)[Lide(90th, 2009)]というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 塩素を含み、この元素が金属(Sr)と結合しているが、ストロンチウムの反応性は カルシウムと同等(Strontium is similar to calcium in its chemical reactions(HSDB(2006))であり、塩化カルシウムに酸化性はないので、塩化ストロンチウムにも酸化性はないと思われる。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値 2250 mg/kg(CICAD 77(2010))に基づきJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスの経口投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)において陽性の結果(ATSDR(2004))に基づき区分2とした。なお、in vitro変異原性試験として、チャイニーズハムスター卵母細胞を用いた染色体異常試験では陰性(CICAD 77(2010))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足。なお、限定的な試験であるが、雄ラットに用いた3年間飲水投与した試験においてばく露に起因する腫瘍発生の報告はない(CICAD 77(2010))。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの三世代にわたり経口(飲水)投与した試験において、生殖に及ぼす影響は認められなかった(CICAD 77(2010))と報告されているが、受胎能への影響を評価するには提供された情報では不十分である(CICAD 77(2010))と記載されている。したがって、データ不足により「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットまたはマウスの混餌または飲水投与による複数の試験において、主要な所見は骨に対する影響であり、骨鉱化作用の増強、石灰化低下を伴う類骨の過剰肥厚を示し、成長抑制、骨端成長板の異常肥厚・肥大、骨幹端の石灰化障害と吸収などの影響が報告されている(IRIS(2002))が、いずれもガイダンス値範囲を超えた高用量の所見である。ラットの9週間飲水投与試験のNOAELはストロンチウムとして525 mg/kg(塩化ストロンチウムとしての90日換算値:658 mg/kg/day)であり(IRIS(2002))、また、ラットの3ヵ月飲水投与試験では、ガイダンス値範囲を超えた用量(塩化ストロンチウムとして145 mg/kg/day)で病理組織学的に影響は認められなかった(IRIS(2002))。したがって、経口経路では区分外相当となるが、他経路についてはデータがなく、影響が不明のため、特定標的臓器毒性(反復暴露)の分類として「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 125 mg/L(AQUIRE, 2011)から区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分外であり、難水溶性ではない(溶解度 = 547 g/L(NITE初期リスク評価書, 2010))ことから区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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