GHS分類結果

名称:1,3-ジイソプロピルカルボジイミド
CAS番号:693-13-0

結果:
物質ID: 22A4123
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で液体(MSDS(東京化成)(Access on Nov. 2010)である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で液体(MSDS(東京化成)(Access on Nov. 2010)である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で液体(MSDS(東京化成)(Access on Nov. 2010)である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点31℃ [密閉式](MSDS(Sigma-Aldrich)(Access on Nov. 2010))は ≧ 23℃ ≦60℃ であることから、区分3に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体(MSDS(東京化成)(Access on Nov. 2010)である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体(MSDS(東京化成)(Access on Nov. 2010)である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素および塩素を含んでいない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体(MSDS(東京化成)(Access on Nov. 2010)である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足。なお、List 3の情報として、マウスの皮膚に24時間開放適用し、刺激性は軽度(mild)との報告(RTECS(2007))がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - ヒトの情報として、本物質蒸気による急性ばく露を受けた1人の労働者で、ばく露12〜18時間後に痛みを伴うかすみ目となり、34時間後に症状が最も強くなり視力障害を起こし、2週間後に軽快した。この一時的な視力障害は角膜上層の損傷によるものであった(NTP TR 523(2007))との報告がある。また、軽度〜中等度のマスタードガス傷害と類似していると述べられている(NTP TR 523(2007))。以上からヒトへの刺激性も示唆されるが、通常の眼刺激性試験の報告もないためデータ不足で分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は感作性物質としてContact Dermatitis(Frosch)(4th, 2006)に掲載されていることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - マウスに3ヵ月または4ヵ月間経皮投与による赤血球を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陽性結果(NTP TR 523 10(2007))の報告があるが、再現性が認められるもののその反応の程度は2倍程度である。マウスの単回腹腔内投与による末梢血小核試験でも陽性結果(体細胞in vivo変異原性試験)(NTP DB(1995))が得られているが、その反応は対照の2倍弱であり、明確な用量反応性もない。雄マウスおよび雄ラットへの3回腹腔内投与骨髄小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)においては陰性である(NTP DB(1995))。以上から得られた陽性結果は明確な陽性反応ではなく、他に区分2とするには十分な知見が得られていないため分類できないとした。また、in vitro試験として、エームス試験では陰性(NTP DB(1994))および曖昧な結果(NTP DB(2007))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足。なお、ラットおよびマウスに2年間経皮投与した試験において、両動物種とも本物質投与に起因する腫瘍発生率の増加は認められなかった(NTP TR 523(2007))と報告されているが、その他の経路による試験の報告はない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(中枢神経系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスに3ヵ月間経皮投与した試験において、痙攣、運動失調、呼吸異常、嗜眠などの症状がラットで80 mg/kg/day以上、マウスでは140 mg/kg/day以上で観察された(NTP TR 523(2007))。また、ラットに2年間経皮投与した試験では、40 mg/kg/dayで運動失調、興奮、歩行障害、筋緊張低下、呼吸異常、嗜眠、発声、痙攣が観察され、重度の神経症状を示したと述べられ、主な脳の病理学的所見として、神経壊死、出血、線維素様壊死が記載され(NTP TR 523(2007))、発現用量の40 mg/kg/dayはガイダンス値範囲区分2に相当することから、区分2(中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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