名称:オクタン-1-チオール(別名:ノルマル-オクチルメルカプタン)
CAS番号:111-88-6
物質ID: | 22A4141 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点68℃ [密閉式](GESTIS(Access on August. 2010))は> 60℃ かつ ≦93℃であることから、区分4に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点は240℃(GESTIS(Access on August. 2010))であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素、塩素および酸素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
List 1に記載された複数のラットLD50値の中で、情報源が確かでOECDテストガイドラインに従って実施された試験データである 約2000 mg/kg(雄)および1293 mg/kg bw(雌)(厚労省報告(Access on August. 2010))に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 | 警告 | H312: 皮膚に接触すると有害 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値:>2000 mg/kg bw(PATTY(5th, 2001))およびウサギのLD50値:1686 mg/kg bw(PATTY(5th, 2001))より、危険性が高い区分となるウサギのデータに基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | ラットに508 ppm/4h(3.04 mg/L/4h)のばく露で死亡はなく、LDLo:>5.08 mg/L/4hとある(PATTY(5th, 2001))が、このデータのみでは区分を特定できないので分類できない。なお、試験濃度が飽和蒸気圧濃度とその90%に相当する濃度の間にあるので、「ミストが混在している蒸気」として蒸気の基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた試験の結果、刺激性スコア0.3で軽微な刺激物(slight irritant)(PATTY(5th, 2001))との報告に基づき区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギを用いた試験の結果、中等度または軽度の刺激性(moderate or slight irritation)(PATTY(5th, 2001))との報告に基づき区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いた試験の結果、中等度の皮膚感作物質(moderate skin sensitizer)である(PATTY(5th, 2001))と報告されているが、試験法および感作された動物の比率について記載がないので、データ不足のため「分類できない」とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivo試験のデータがないので分類できない。なお、in vitro試験としては、エームス試験及びCHL細胞を用いた染色体異常試験で陰性結果(厚労省報告(Access on August. 2010))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG 422)において、親動物の生殖機能への影響として、平均性周期日数の延長および分娩率の低下が250 mg/kg群の雌で認められたが、その他、親動物の性機能・生殖能に係わる指標、仔の発生に係わる指標、新生仔の生存に係わる指標に被験物質の影響を示唆する変化は認められなかった(厚労省報告(Access on August. 2010))。なお、性周期の軽度な延長については、反復投与の影響による雌親動物の全身状態の悪化に伴う二次的な変化の可能性も考えられており、また、250 mg/kg群の分娩率 85.85%は、背景データの下限(86.74%)を僅かに下回る程度であり、雌親動物の生殖機能に対する影響としては軽度なものと推察されるとの記述(厚労省報告(Access on August 2010))により、いずれも分類の根拠としなかった。したがって、当該物質は性機能・生殖能対する影響をもたらさないが、催奇形性を含む仔の発生に及ぼす影響についてはデータがなく不明のため「分類できない」とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(中枢神経系)、区分3(麻酔作用) | 警告 |
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた急性経口毒性試験において、一般状態の観察で、1000 mg/kg bw以上で死亡が発生し、自発運動の低下、歩行失調あるいは歩行異常、側臥位あるいは腹臥位、うずくまり、流涙あるいは紅涙など、2000 mg/kg群で貧血様症状、体温低下、振戦、易刺激性および流涎が認められた(厚労省報告(Access on August. 2010))。これらの症状に加えて、当該物質は中枢神経系に影響を及ぼし、高用量では意識低下を起こす可能性があるとの指摘(HSDB(2006))もあり、区分2(中枢神経系)とした。また、ラットを用いた別の急性経口毒性試験(LD50: 2000〜2445 mg/kg)では、嗜眠と麻酔の症状が記載されている(PATTY(5th, 2001))ことから、区分3(麻酔作用)とした。なお、その他に前胃のびらんあるいは潰瘍など胃腸管傷害が報告されているが、経口投与された試験物質の粘膜刺激を示唆する変化と考えられている(厚労省報告(Access on August. 2010))ことから、分類の対象としなかった。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(造血系) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(造血系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422)において、主な所見として250 mg/kg(90日換算:97.2〜117 mg/kg/day)の用量で、一般状態では自発運動低下、歩行異常、体重増加抑制、血液学検査では赤血球数およびヘモグロビン濃度の低値、血液生化学検査ではGPTおよび総ビリルピンの高値、トリグリセライドの低値、剖検では牌臓の暗赤色化および腫大、前胃壁の肥厚が認められた。病理組織学検査では、被験物質に起因する変化として、250 mg/kg群の牌臓および大腿骨骨髄、50 mg/kg以上の群の胃について、前者では赤血球系の造血亢進とヘモジデリン沈着の増強、後者では被験物質の刺激性に起因する前胃の肩平上皮の過形成、角化亢進、粘膜下組織の水腫、炎症性細胞浸潤が認められた(厚労省報告(Access on August. 2010))。以上の結果から、ガイダンス値区分2の範囲に相当する用量(97.2〜117 mg/kg/day)で血液、牌臓および大腿骨骨髄に影響が現れ、赤血球系の造血亢進とヘモジデリン沈着の増強が認められたとの記述(厚労省報告(Access on August. 2010))に基づき、区分2(造血系)とした。なお、50 mg/kg(90日換算:19.4〜23.3 mg/kg/day)以上での胃の変化については、反復経口投与された試験物質の刺激作用による影響との判断(厚労省報告(Access on August. 2010))もあり、分類の根拠としなかった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間EC50 = 0.014 mg/L(環境省生態影響試験, 2002)から区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性に関する適切なデータがないことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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