GHS分類結果

名称:1-ヘプタノール
CAS番号:111-70-6

結果:
物質ID: 22A4168
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点70℃ [密閉式](ICSC(2005))は > 60℃ かつ ≦93℃ であることから、区分4に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団・自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は275℃であり(ICSC(2005))、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値 6.2g/kg(雄)、5.5 g/kg(雌)、3.25 g/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値 約2g/kg および >5 g/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外に相当)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 飽和蒸気による4時間のばく露で死亡なし(PATTY(5th, 2001))の報告があるが、このデータのみでは区分が特定できないので分類できない。なお、25℃における飽和蒸気圧濃度は1.35 mg/Lである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足。なお、マウスのLC50値として6.6 mg/L(1390 ppm)(PATTY(5th, 2001))が得られているが、ばく露時間が不明のため分類できない。LC50値が飽和蒸気圧濃度(1.35 mg/L)を超えているので、粉塵/ミストの区分基準値が適用される。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギに試験物質原液を24時間適用した試験で、中等度の刺激性(moderately irritating)との結果(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分2とした。なお、ヒトでは本物質 1%を含むワセリンを48時間閉塞貼付し刺激性が見られなかった(PATTY(5th, 2001)元文献:D. L. J. Opdyke, Food Cosmet. Toxicol.13,p 697-698(1975))と報告されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験で、中等度の刺激性(moderately irritating)との結果(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - ヒトで20名のボランティアによるマキシマイゼーション試験で、試験物質は皮膚感作性を引き起こさなかった(PATTY(5th, 2001))との報告があり、元文献(Food Cosmet. Toxicol. 13, 697-698(1975))を確認したが、それ以上の記載はなく、試験の詳細が不明のため「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo 試験のデータがなく分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。なお、ウサギの6ヶ月経口投与試験で最高用量の50 mg/kgがNOELとの記載がある(JECFA WHO FOOD ADDITIVES SERIES 40(1998))。ラットおよびウサギを用いた吸入試験で結膜の発赤、血中コリンエステラーゼの低下、0.18 〜0.35 mg/L(38 〜74 ppm)の濃度で2 h/日 4.5 ヶ月のばく露により、軽微な血液学的な変化、非特異的な病理学的変化が見られている(PATTY(5th, 2001)が、ばく露濃度や期間、動物種の記載がない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 本物質は炭素数3以上13を超えない一級のノルマルアルコールであり、動粘性率は7.1 mm2/s(粘性率 5.81 mPa・s(25℃)、密度0.822 g/cm3(Lide(90th, 2009)))であることから国連分類基準の区分2となるがJIS分類基準では分類できない。なお、関連情報として、ラットに0.2mLの吸引で10匹中10匹が死亡し、呼吸不全による即死との記載(PATTY(5th, 2001))がある。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(メダカ)による96時間LC50 = 18 mg/L(環境省生態影響試験, 2000)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性に関する適切なデータが得られていないが、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 1.4 mg/L(環境省生態影響試験, 2000)より、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性に関する適切なデータが得られておらず、魚類(メダカ)による96時間LC50 = 18 mg/L(環境省生態影響試験, 2000)であることから、区分3となる。 以上の結果を比較し、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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