名称:無水酪酸
CAS番号:106-31-0
物質ID: | 22A4174 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点は88℃[開放式](190°F)(Merck(14th, 2006))であり、所定の密閉式測定法でも>60℃≦93℃と判断できるので区分4とした。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点は279℃(535°F)であり(HSDB(2002))、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素を含むが、この元素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ノルマル酪酸のラットLD50値は、8790, 2940, 2000 mg/kg bw(いずれもPATTY(5th, 2001))とのデータがある。 健康有害性に関しては本物質の加水分解物であるノルマル酪酸(CAS;107-92-6)も参照のこと。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ノルマル酪酸のウサギLD50値は530 mg/kg bw(PATTY(5th, 2001))とのデータがある。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ノルマル酪酸のデータにおいて、ラットで2.4 mg/L /8h(saturated vapour)の投与で死亡なしとのデータがある(PATTY(5th, 2001))。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトの皮膚に本物質の蒸気が触れた場合に皮膚を刺激するとの報告がある(HSDB(2002))。また、ノルマル酪酸のデータにおいて、モルモットを用いた試験において(閉塞式/10mg/24h、開放式/500mg/24h)、重度の反応(a severe reaction)があるとの報告があること(PATTY(5th, 2001))、また、ウサギを用いた試験において(OECD TG 404,GLP準拠)、corrosiveとの報告があること(IUCLID(2000))から区分1とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ヒトの眼に本物質の蒸気が触れた場合に眼を刺激するとの報告がある(HSDB(2002))。また、ノルマル酪酸のデータにおいて、ウサギを用いた試験において(5%超の水溶液の滴下)、重度の角膜熱傷(Severe corneal burns)があるとの報告があること(PATTY(5th, 2001))から区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足で分類できない。なお、ノルマル酪酸のデータにおいて、ヒトの試験において(皮下注射、2週間、指標は白血球あるいは好酸球浸潤)感作性はないとの報告がある(PATTY(5th, 2001))が、通常の試験ではないので分類に採用しなかった。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ノルマル酪酸のデータにおいて、in vitro試験としてエームス試験で陰性、染色体異常試験で陰性(PATTY(5th, 2001))との報告がある。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ノルマル酪酸のデータにおいて、妊娠ラットの器宮形成期に経口投与した試験で、母獣の死亡率が高く、体重増加も著しく抑制されたが、仔に対する影響はなかった(PATTY(5th, 2001))との報告はあるが、生殖毒性に関する報告はない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(肺) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(肺) |
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質自身のデータはないが、ノルマル酪酸のウサギの吸入暴露試験(エアロゾル)で、区分2のガイダンス値を超えた40mg/L/1.5h(4時間換算{直15mg/L/4h)の用量で気管支の拡張、肺気腫の兆候が見られた(PATIY(5th、2001))との報告はあるが、他のウサギの吸入試験で区分1のガイダンス値範囲内の0.4mg/L/1.4h(4時間換算値0.24mg/L)の用量で肺のうっ血、浮種、無気肺、肺水腫が見られた(IUCLID(2000))の報告があり、区分1(肺)に相当するが、リスト2のデータであることから区分2(肺)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ノルマル酪酸のデータにおいて、ラットを用いた試験において(混餌投与、35週まで、投与量が不明)、体重増加抑制、胃の組織に乳頭腫症や過角化症が認められたとの報告がある(PATTY(5th, 2001))。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は水中で速やかに加水分解してn-酪酸 (CAS No. 107-92-6) となる (水中での半減期 = 1.679分 (pH = 8)、16.789分 (pH = 7) (HYDROWIN))。無水酪酸のデータは無いが、n-酪酸の藻類 (セネデスムス) 72時間EC50 = 46.7 mg/L (IUCLID, 2000) (無水酪酸換算 = 26 mg/L) であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 本物質は水中で速やかに加水分解してn-酪酸(CAS No. 107-92-6)となる(水中での半減期 = 1.679分(pH = 8)、16.789分(pH = 7)(HYDROWIN))。n-酪酸は急性毒性区分3であるが、急速分解性があり(OECD TG301Cによる28日間分解度 > 60%(IUCLID, 2000))、生物濃縮性が無いと予想される(LogPow = 1.24(PHYSPROP Database, 2011))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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