GHS分類結果

名称:トリエチレンジアミン
CAS番号:280-57-9

結果:
物質ID: 22A4192
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点は350℃であり(GESTIS(Access on Oct. 2010))、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は、得られた4件(700, 1070, 1870, 2260 mg/kg bw)(SIDS(2005))のデータのうち、3件が区分4、1件がJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)であり、該当数の多い区分である区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50値は > 3200 mg/kg bw(SIDS(2005))であり、かつ死亡なしとの報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットで飽和蒸気圧濃度(4.48 ml/L)/8h(4時間換算値:8.96 ml/L)で死亡なし(LC50 >8.96 ml/L/4h)(SIDS(2005))、別のラットの20.2 ml/L/1h(4時間換算値:5.05 ml/L)で死亡なし(LC50 >5.05 ml/L/4h)(SIDS(2005))との報告があり、いずれも区分外に該当する。なお、試験濃度は飽和蒸気圧濃度(4.48mg/L)よりも高いため、粉塵・ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いたDraize Testにおいて、PDII : 4.05との報告がある(SIDS(2005))ことから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験(OECD TG405、GLP準拠)において、PIS(A primary irritation score)は7.1/13であるとの報告(SIDS(2005))から区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いた2件のmaximization test(OECD TG406、GLP)において、感作性なしとの報告があることから(SIDS(2005))、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの小核試験(in vivo変異原性試験)における陰性結果(SIDS(2005))に基づき区分外とした。なお、in vitroの試験については、エームス試験において陰性の結果(SIDS(2005))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422、GLP準拠)において、親動物(雌雄)の有意な一般毒性を認めた高用量群で、吸収胚の増加、生存同腹仔数の減少、出産後の生存仔数および仔の体重増加率の減少が認められた(SIDS(2005))ことから区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口急性毒性試験において、ガイダンス値区分2に相当する1000-1500 mg/kgの用量で活動低下と被毛の乱れを生じ、2時間以内に半昏睡または昏睡状態となり、一部の動物は死亡、残りは1-3時間後に正常に復し、剖検では目立った変化は認められなかった(SIDS(2005))ことから区分2(中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(上気道) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(上気道) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた6時間、週5回、4週間の吸入試験(OECD TG412、GLP準拠)において、ガイダンスの区分1の用量に該当する0.06, 0.41 mg/L(analytical)90日換算値:0.02、0.14mg/L)の投与群において軽度から中等度の慢性喉頭炎が認められている(SIDS(2005))ことから、区分1(上気道)とした。なお、死亡した雌については急性の重度な壊死性喉頭炎が認められた。また、ラットを用いた28日間の反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422、GLP準拠が2件)において、ガイダンスの区分2を超える用量(1000 mg/kg/day 90日換算値:333mg/kg/day)において、腎への影響(炎症性及び増殖性の変化、急性腎盂炎、)や膀胱への影響が散見されている(SIDS(2005))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)による96時間 LC50 = 1,730 mg/L(AQUIRE, 2011)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分外であり、難水溶性でない(水溶解度 = 450 mg/L(PHYSPROP Database, 2011))ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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