名称:トリフェニルホスフィン
CAS番号:603-35-0
物質ID: | 22A4216 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 半金属(P)を含むが、水溶解度0.279mg/L(Howard(1997)))というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素および塩素を含んでいない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
SIDS(Access on Dec. 2010)に記載されたラットLD50値は、700mg/kg(媒体:オリーブ油)、800〜1600 mg/kg(媒体:不明)、991〜1309 mg/kg(媒体:ピーナツ油)、>6400 mg/kg(媒体:aqueous suspension with tragacanth)、33100〜34100(媒体:1%メタノール水溶液への懸濁)、4290 mg/kg(媒体:不明)である。媒体が油の場合、700 mg/kg又は991〜1309 mg/kgであることから区分4とした。なお、水性懸濁液では区分外となる。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | SIDS(Access on Dec. 2010)に記載されたウサギLD50値は、>4000 mg/kg(媒体:50% アルコール懸濁液)、>5000 mg/kg(媒体:不明)及び>2000 mg/kg(媒体:不明)、ラットLD50値は、>2500 mg/kg(媒体:50% アルコール懸濁液)であり、分類JISによる基準の区分外(国連GHS分類の区分5又は区分外に該当)とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットLC50値:>12.5 mg/L/4hr(SIDS(Access on Dec. 2010))に基づき区分外とした。なお、95〜115℃で融解した被験物質(融点80.5℃)を霧状にして動物にばく露した粉塵またはミストでの試験である(なお、飽和蒸気圧濃度は0.0001mg/Lである(SRC Phys Prop(Access on Dec. 2010)。)。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
SIDS(Access on Dec. 2010)に記載されたウサギを用いた皮膚刺激性試験において、50%エタノール懸濁液塗布(閉鎖系貼付、ばく露時間:1, 5, 15分及び20時間)により、ばく露20時間、処置後24時間で雄のみ背部及び耳にわずかな紅斑(7日後には消失)がみられたとの報告、オリーブ油懸濁液(10%, 20%, 50%)塗布(20時間)により、背部において20%懸濁液でばく露後1日及び2日後に極わずかな紅斑(3日後に消失)、耳において50%懸濁液で4日間に渡り浮腫を伴う顕著な紅斑がみられたとの報告、開放系試験において"slightly irritating"(グレード3(平均値不明))との報告及び"moderately irritating"(24〜72時間後ドレイズスコアが2.63〜8.00)との報告、更にモルモットの試験で"slightly irritating"との報告に基づき、区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
SIDS(Access on Dec. 2010)に記載されたウサギを用いた眼刺激性試験において、固体直接投与(2匹)により、1〜24時間後でわずかから顕著な浮腫を伴う結膜発赤が1匹にみられ、8日後に角膜混濁がみられたとの報告、10%オリーブ油溶液投与(2匹)により、投与10分後に結膜の発赤がみられ、1〜3時間後に発赤及び浮腫がみられたが、24時間後には消失したとの報告、"slight injury"(グレード3(平均値不明))との報告及び5/6匹に結膜発赤及び4/6匹に結膜浮腫(角膜異常なし)との報告に基づき、区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
雌モルモットを用いた皮膚感作性試験(アジュバント使用)で陽性率80%であるとの報告(SIDS(Access on Dec. 2010))に基づき区分1とした。なお、MAK/BAT(2009)では分類Shとなっている。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | マウス腹腔内投与による小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)における陰性結果(SIDS(Access on Dec. 2010))に基づき区分外とした。なお、in vitroの試験については、微生物を用いたエームス試験及びチャイニーズハムスターを用いた小核試験において陰性の結果(SIDS(Access on Dec. 2010))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | SIDS(Access on Dec. 2010)記載の交配後(6-19日)のWistarラットを用いた経口投与試験(OECD TG414、GLP準拠)において、最高用量の90mg/kg/dayで母動物への一般毒性(血液系及び肝臓)が現れるのに対し妊娠パラメーター及び胎仔の発育に影響は認められなかったとの報告、雌雄Wistarラットを用いた3ヶ月経口投与試験(OECD TG 408、GLP準拠)において60mg/kg/dayで一般毒性(血液系及び肝臓)が現れるのに対して120mg/kg/dayで生殖器重量に変化は認められないとの報告はあるが、出生後の仔の発育についてのデータがなく分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
SIDS(Access on Dec. 2010)記載のラット吸入試験(粉塵:12.5mg/L;ガイダンスでは区分外に相当)において、呼吸器への刺激、唾液(分泌)過多、流涙がみられたが、組織に肉眼的及び重量に変化はなかったとの報告、ラット経口投与試験において呼吸困難及びアパシー(6400mg/kg投与群:ガイダンスでは区分外に相当)がみられたが、器官に異常は認めらないとの報告、ウサギ経皮投与試験(4000mg/kg)及びラット経皮投与試験(2500mg/kg)において生存動物の器官に病理的変化は認められなかったとの報告に基づき区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経、心臓)、区分2(肝臓) |
警告 危険 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経、心臓) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
SIDS(Access on Dec. 2010)記載の雌雄Wistarラットを用いた3ヶ月経口投与試験(OECD TG 408、GLP準拠)において60 mg/kg/dayの投与量(区分2相当)で、雌のプロトロンビン時間短縮、AST、ALTの減少、肝重量増加、雌雄で肝の小葉中心性肥大がみられたとの報告、雌Wistarラット10匹を用いた4週間経口投与試験(GLP準拠)において90日換算7.8 mg/kg/dayの投与量(区分1相当)で低体温、不安定歩行、立毛、皮膚蒼白、血清コリンエステラーゼ活性低下、赤血球コリンエステラーゼ活性上昇、胃のびらん及び潰瘍、肝肥大、近位坐骨神経の軸索変性がみられたとの報告、その他ウサギ及びイヌを用いた経口投与試験においてガイダンス区分1相当の投与量で脳、脊髄への損傷を伴う神経障害(運動失調、四肢脱力)及び心肥大がみられたとの報告がある。また、SIDS(Access on Dec. 2010)記載の雌雄ビーグル犬を用いた5週間吸入(粉塵)試験において90日換算0.028 mg/L/dayの投与量(区分2相当)で後肢の神経障害、0.0097 mg/L/day(区分1相当)で脊髄の散在性変性がみられたとの報告、雌雄ビーグル犬を用いた4週間吸入(粉塵)試験において90日換算0.0294 mg/L/dayの投与量(区分2相当)で神経障害(歩行不全)、0.0056 mg/L/day(区分1相当)で中枢神経系の組織病理変化がみられたとの報告がある。従って標的臓器は神経、心臓及び肝臓と考えられ、区分は区分1(神経、心臓)、区分2(肝臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 藻類、甲殻類及び魚類 のデータはいずれも水溶解度(0.09 mg/L(SIDS, 2002))までの濃度で急性毒性がないことから区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分4 | - | - | H413: 長期継続的影響によって水生生物に有害のおそれ |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
難水溶性で、水溶解度までの濃度で急性毒性が報告されておらず、急速分解性がなく(SIDS, 2002)、かつLogKow = 5.69(PHYSPROP Database, 2011)であることから区分4とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |