GHS分類結果

名称:トリフェニルホスフィンオキシド
CAS番号:791-28-6

結果:
物質ID: 22A4218
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に(P-O)を含むが、自己反応性に関わる原子団でないため分類対象外とした。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点は590℃であり(IUCLID(2000))、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 半金属(P)を含むが、水溶解度62.8 mg/L(SRC Phys Prop(Access on Nov. 2010))というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素および水素以外の元素と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50:3件(>2000, ca 685, ca 1330 mg/kg bw)(IUCLID(2000))のデータのうち、区分4が2件、区分外が1件であることから該当数の多い区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験において刺激性なし(not irritating)との結果(IUCLID(2000))により区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験において刺激性なし(not irritating)との結果(IUCLID(2000))により区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo 試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro 試験として、エームス試験で陰性(IUCLID(2000))との報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギおよびネコに215 mg/kgを経口投与後の症状として、振戦、強直性発作、痙攣、四肢脱力、散瞳、傾眠などが記載され(IUCLID(2000))、さらにイヌに100 mg/kgを経口投与後、痙攣、振戦などの症状を示したが、翌日までに回復したとの報告(IUCLID(2000))もあり、区分2(中枢神経系)とした。なお、ガイダンス値から判断すると区分1相当であるが、List 2のデータであって、分類ガイダンスの判定基準1b3)を満たさないため、ガイダンスにしたがって区分2とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに3ヶ月間混餌投与により、500 ppm(50mg/kg/day)で肝重量の増加および肝上皮細胞の変性が認められ(IUCLID(2000))、また、イヌに3ヶ月間の混餌した試験では、2000 ppm(80 mg/kg/day)以上の用量で肝細胞性黄疸の病変内で肝内胆汁鬱滞として現れた肝障害を引き起こした(IUCLID(2000))との報告があり、いずれの用量もガイダンス値区分2の範囲内であることから区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Scenedesmus subspicatus)の72時間EC50 = 18.1 mg/L(IUCLID, 2000)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分3であり、急速分解性がない(BIOWIN)ことから区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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