GHS分類結果

名称:4-エチルビフェニル
CAS番号:5707-44-8

結果:
物質ID: 22A4278
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が55℃以下の固体であるが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は1000〜2000 mg/kg(雌)および >2000 mg/kg(雄)(OECD TG 401; GLP)(厚労省報告(Access on Jan. 2011))により、危険性の高い雌の区分に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro試験では、エームス試験、およびチャイニーズハムスター肺由来の線維芽細胞(CHL/IU細胞)を用いた染色体異常試験でいずれも陰性(厚労省報告(Access on Jan. 2011))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに経口投与による簡易生殖毒性試験(OECD TG 421: GLP)において、300 mg/kg群で母動物に死亡例(4/12例)が発生したが、100 mg/kg群では死亡はなく、親動物の一般毒性として、雄で体重の低値、雌で一過性の摂餌量低下がみられ、併せて、同用量(100 mg/kg)で妊娠期間の延長、死産仔数の高値、出生率の低値、哺育4日目の生存仔数および生存率の低値等の親動物の生殖発生および新生仔への影響が観察された(厚労省報告(Access on Jan. 2011))ことに基づき、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(全身毒性) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの急性経口毒性試験(250〜2000 mg/kg)において、雄で死亡例はみられず、雌では1000 mg/kgで1/5例、2000 mg/kgで4/5例が死亡し、雄の500 mg/kgおよび雌の1000 mg/kg以上で鎮静あるいは活動性の低下が、雄の1000 mg/kg以上および雌の2000 mg/kgで腹臥位姿勢が観察された(厚労省報告(Access on Jan. 2011))。また、死亡例の剖検所見では、脾臓の小型化、腎孟の拡張、心臓の淡色化、腺胃粘膜の黒色、褐色斑等がみられ、消化管障害あるいは循環障害が疑われたが、直接の死因を特定できなかった(厚労省報告(Access on Jan. 2011))と記述されている。以上より、毒性症状および死亡の発生がガイダンス値区分2に相当する用量範囲でみられているが、標的臓器の特定は困難なため、区分2(全身毒性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓、肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの28日間反復経口投与毒性試験(化審法ガイドライン;GLP)において、100 mg/kg/day以上で腎尿細管、500 mg/kg/day以上で腎乳頭が傷害され、1000 mg/kg/dayを投与することにより、重篤な例では死に至ることが明らかとなった(厚労省報告(Access on Jan. 2011))。また、100 mg/kg/day以上の用量で、肝細胞の肥大と細胞質が好酸性で顆粒状を呈し、一部の例では限局性壊死がみられ、1000 mg/kg/dayでは、肝障害作用もあることが示唆された(厚労省報告(Access on Jan. 2011))と記述されている。以上の結果から、ガイダンス値区分2に相当する100 mg/kg/day(90日換算:31.1 mg/kg/day)の用量で腎臓および肝臓に対する悪影響またはその兆候が認められたことから、区分2(腎臓、肝臓)とした。なお、これらの腎臓および肝臓の変化は、腎乳頭を除き投与中止により回復傾向にあった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50 = 0.15 mg/L(環境庁生態影響試験, 1999)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:0%(既存点検, 2003))ことから区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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