名称:クロロアセトアルデヒド
CAS番号:107-20-0
物質ID: | 22B4506 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点190°F(87.7℃)[密閉式](Sax(11th, 2004)、HSDB(2009))は > 60℃ かつ ≦93℃ であることから、区分4に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。なお、純品を放置しておくと重合する(Merck(14th, 2006))という情報がある。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が88℃(HSDB(2009))という情報があり、常温で発火しないと判断した。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素および塩素を含む有機化合物であるが、これら元素は炭素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値が6件[23 mg/kg(ACGIH(2001))、89 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、110.5 mg/kg、127.5 mg/kg、133 mg/kg、98 mg/kg(以上の4件はDFGMAK-Doc.12(1999)]あり、1件が区分2、5件が区分3に該当し、最も多くのデータが該当する区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分2 | 危険 | H310: 皮膚に接触すると生命に危険 |
P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。 P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギについてはLD50値が3件[67 mg/kg(ACGIH(2001))、267 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、330.2 mg/kg(DFGMAK-Doc.12(1999))]あり、1件が区分2、2件が区分3に該当するので、該当数の多い区分3となる。また、ラットについてはLD50値が2件[140 mg/kg、129 mg/kg(以上の2件はDFGMAK-Doc.12(1999))]あり、いずれも区分2に該当するので区分2となる。以上より、危険性の高いラットのデータに基づき区分2とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分1 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLC50値として202.5 ppmV/1h(103 ppmV/4h)(PATTY(5th, 2001))、202.5-243 ppmV/1h(103-121 ppmV/4h)、<25 ppmV/7h(<33 ppmV/4h)、<50 ppmV/3.5h(<46.7 ppmV/4h)、<100 ppmV/2h(<70.7 ppmV/4h)(以上の4件は(DFGMAK-Doc.12(1999))があり、2件が区分2、3件が区分1に該当し、該当数の多い区分1とした。なお、LC50値が蒸気圧飽和濃度(84605 ppmV)の90%より低いので、「ミストをほとんど含まない蒸気」として気体の基準値を適用した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギの腹部皮膚にに55%水溶液を適用した試験で、重度の腐食性(severe corrosion)を示し(DFGMAK-Doc.12(1999))、またウサギに30%水溶液を適用した別の試験でも皮膚に重度の損傷(severe damage)を起こした(ACGIH(2001))との報告により区分1とした。なお、EU分類ではC; R34に分類されている(EU-Annex I(Access on June 2009))。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギの眼に30%水溶液を適用した試験において重度の損傷(severe damage)を起こしたとの結果(ACGIH(2001))、かつ、ヒトで40%水溶液が眼に入った時、組織破壊を含む眼に重篤な損傷をもたらしたとの記載(ACGIH(2001))に基づき、区分1とした。なお、本物質は皮膚に対しても腐食性が認められている。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いたMaximization Test(Magnusson-Kligman Test)において、皮膚刺激性を示さない濃度0.002%で感作性は起こさなかったとの報告があるが(DFGMAK-Doc.12(1999))、陽性率や感作性の有無が結論付けられているかどうかなど試験結果の詳細が不明なため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質はビニルクロライドの代謝物で二官能性のアルキル化剤(bifunctional alkylating metabolites)であり、その最終発癌誘発形(ultimate carcinogenic form)と考えられ、アセトアルデヒドとの類似性を考慮すると区分2の可能性も示唆される。しかし既存のデータで明確なin vivo試験での陽性知見はなく(マウスおよびラットに経口投与による肝臓または脾臓を用いたDNA鎖切断試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)で陰性(DFGMAK-Doc.12(1999)))、また区分2をサポートするデータもない。従って現在得られている知見からではデータ不足で分類できない。なおin vitro試験では、複数のエームス試験(NTP DB(Access on June 2009)、DFGMAK-Doc.12(1999))、CHL細胞を用いた染色体異常試験(安衛法変異原データ集(1996))、ヒトリンパ芽細胞を用いたHPRT試験(DFGMAK-Doc.12(1999))でいずれも陽性の報告がある。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
EU分類では、Carc. Cat. 3; R40(EU-Annex I(Access on June 2009))であるが、その根拠となる情報は不明ではある。しかし、動物試験で、マウスの雄に2年間飲水投与した試験において、死亡率に影響はなく、唯一投与に関連した腫瘍性変化は肝臓腫瘍の発生増加で、肝臓癌の発生率および肝臓の腺腫、癌腫、結節の合計の発生率が背景対照に比べて増加した(DFGMAK-Doc.12(1999))との報告があり、MOAから総合的に判断し区分2とした。なお、マウスを用い12.5 mg/kgを週1回630〜636日間にわたり経口投与した試験、および50 mg/kgを週3回581日間にわたり経皮投与した試験では発がん性の証拠となるデータは得られていない(DFGMAK-Doc.12(1999))。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器系、全身毒性) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器系、全身毒性) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの蒸気吸入による急性毒性試験(LC50値:0.65 mg/L/1h = 0.33 mg/L/4h)において、流涎、鼻汁、呼吸困難などの症状に加え、死亡動物の剖検で肺水腫、無気肺および水胸が認められた(DFGMAK-Doc.12(1999))ことに基づき、ガイダンス値(LC50値から推定)から判断して区分1(呼吸器系)とした。さらに、ラットの急性経口毒性試験(LD50値:90〜133 mg/kg)で活動低下、不規則性呼吸、眩惑行動などの症状、ラットの急性経皮毒性試験(LD50値:129〜140 mg/kg)では活動低下、振戦、運動失調、呼吸困難、一般状態の悪化などの症状が観察されている(DFGMAK-Doc.12(1999))ので、両経路とも影響の一部に呼吸器系症状が含まれている。しかし、それらの影響と併せ死亡がガイダンス値区分1(経口・経皮共にLD50値から推定)の範囲で発生しており、呼吸器系以外の影響については標的臓器の特定が困難なため、区分1(全身毒性)とした。なお、ヒトでは蒸気ばく露により重篤な有害性を示し、鼻腔や口腔の粘膜、上気道に影響を与え、灼熱感、気道狭窄、息苦しさや咳を生じたの記述(ACGIH(2001))がある。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(肝臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスに平均17 mg/kg/dayを2年間飲水投与した試験の30週目の中間検査において、肝臓で重量増加に加え、空胞化、細胞質変化、巨細胞、慢性炎症、過形成、壊死の非腫瘍性変化の発生率が増加したとの報告(DFGMAK-Doc.12(1999))に基づき、ガイダンス値から判断して区分2(肝臓)とした。なお、2年経過後の検査では投与に関連する唯一の腫瘍性変化として肝臓腫瘍が報告されている(DFGMAK-Doc.12(1999))。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ゼブラフィッシュ)での96時間LC50=42.7 umol/L(3.35mg/L)(AQUIRE, 2010)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分2であり、急速分解性が不明であるため、区分2とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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