名称:1,1-ジメチルヒドラジン(別名:ジメチルヒドラジン)
CAS番号:57-14-7
物質ID: | 22B4526 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | ヒドラジン類であり、爆発性に関わる原子団(隣接した窒素原子)を含むが、UNRTDG(UN1163)はクラス6.1、副次危険3、8 PGIであり上位の火薬類には該当しないと判断した。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分2 | 危険 | H225: 引火性の高い液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点-15℃ [密閉式](ICSC(2008))は < 23℃ であり、かつ、初留点63℃(ICSC(2008))は >35℃ であることから、区分2に該当する。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | ヒドラジン類であり、爆発性に関わる原子団(隣接した窒素原子)を含むが、UNRTDG(UN1163)はクラス6.1、副次危険3、8 PGIであり上位の自己反応性には該当しないと判断した。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が249℃(ICSC(2008))であり、常温では発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値は122 mg/kg bw(NITE初期リスク評価書(2008)、PATTY(5th, 2001))、250 mg/kg bw(PATTY(5th, 2001))および360 mg/kg bw(PATTY(5th, 2001))であるとの報告があり、区分3が2件、区分4が1件であることから該当する区分の多い区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 | 警告 | H312: 皮膚に接触すると有害 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギLD50値は1060 mg/kg bw(NITE初期リスク評価書(2008)、ACGIH-TLV(1993)、PATTY(5th, 2001))であるとの報告に基づき区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50値は0.620 mg/L/4h(252 ppm/4h)(環境省リスク評価第8巻(2010)、NITE初期リスク評価書(2008)、ASTDR(1997)、PATTY(5th, 2001))であるとの報告に基づき区分2とした。なお、0.620 mg/Lは飽和蒸気圧濃度(507.8mg/L)の90%より低いので「ミストがほとんど混在しない蒸気」として気体の基準値を適用した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ヒトへの影響として、眼、皮膚及び気道を刺激する。眼に入ったり、皮膚に付くと発赤、痛みを生じるとの報告(環境省リスク評価第8巻(2010))、ウサギとモルモットを用いた皮膚刺激性試験で、少量適用するとわずかに紅斑がみられる(PATTY(5th, 2001))。ことから区分2とした。なお、EUリスク警句でR34とされている(EC-JRC(ESIS)(Access on Dec. 2010))。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ヒトへの影響として、眼、皮膚及び気道を刺激する。眼に入ったり、皮膚に付くと発赤、痛みを生じるとの報告(環境省リスク評価第8巻(2010))、ウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度の結膜炎やわずかな紅斑がみられ、それらは5日以内に消失した(PATTY(5th, 2001))。げっ歯類を用いた眼刺激性試験の結果の記述に「永続性の眼の損傷はみられなかったとの記載(PATTY(5th, 2001))に基づき区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウス肝臓を用いた小核試験ならびにマウス脾臓を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)の陽性(NITE初期リスク評価書(2008)、IARC 71(1999))報告に基づき、区分2とした。なお、マウス精子を用いた小核試験(同時に実施された骨髄小核試験は陰性で整合性がとれていない)、マウス肺を用いたDNA鎖損傷、切断試験及びラット肝臓を用いたDNA結合試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)で陽性、in vitro試験のエームステスト(NITE初期リスク評価書(2008))、チャイニーズハムスターCHL細胞及びCHO細胞を用いた染色体異常試験(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, No.217(2008)、IARC 71(1999))、マウスリンパ腫L5178Y細胞及びチャイニーズハムスターV79細胞を用いた遺伝子突然変異試験(NITE初期リスク評価書(2008)、IARC 71(1999))で陽性と報告されている。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
発がん性分類はIARCでグループ2B(IARC 71(1999))、NTPでRAHC(NTP RoC(11th, 2004))、ACGIHでA3(ACGIH-TLV(2010))、EPAでB2(EPA RED(2009))、EUでカテゴリー 2、及び日本産業衛生学会で2B(産衛学会勧告(2010))に分類されていることに基づき区分2とした。なお、マウス、ラット、ハムスターに飲水投与した結果、マウスにおいて顕著な生存期間の短縮とともに、血管、肺、腎臓、肝臓の腫瘍及び肺がん、ラットでは肝臓腫瘍、ハムスターでは血管及び盲腸腫瘍の増加が報告されている(NITE初期リスク評価書(2008))。また、マウス、ラットに6か月間吸入暴露した試験では、本物質に0.12%混入している発がん物質のジメチルニトロソアミンが腫瘍発生に関連している可能性があるが、マウスで血管肉腫及びクッパー細胞肉腫の増加、ラットで肺腺腫、扁平上皮がん、膵島細胞がん、線維性組織球腫、色素嫌性腺腫の増加がそれぞれ報告されている(NITE初期リスク評価書(2008))。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 妊娠ラットの器官形成期に腹腔内投与した発生毒性試験において、最高用量(60 mg/kg/日)で母動物の体重増加抑制、胎児体重減少と吸収胚増加が見られたが催奇形性はなかった(NITE初期リスク評価書(2008))と報告されている。また、雄マウスに腹腔内投与後の精子の形態に及ぼす影響について、異常が増加したとの報告の一方、異常が見られなかったとする報告もあり、相反する結果となっている(NITE初期リスク評価書(2008))。生殖・発生毒性に関して、その他には直接本物質ばく露によるデータはなく、母動物が体重増加抑制を示した高用量でのみ吸収胚増加が認められたが、腹腔内投与のデータであることから「分類できない」とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系、呼吸器) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系、呼吸器) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトへの影響として、濃度不明であるが吸入暴露により呼吸器に対する作用、吐き気、嘔吐、神経学的影響、肺水腫が認められ(PATTY(5th, 2001))、大量の経皮暴露により昏睡し中枢神経系への影響がある(ASTDR(1997))と報告されている。これに基づき区分1(神経系、呼吸器)とした。なお、動物に対する急性暴露による主な症状は嘔吐、痙攣などの神経系への影響であり、肉眼的病理検査では過血糖症や痙攣の二次的な影響と考えられる肺の浮腫や出血が認められた(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, No.217(2008))と報告されている。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓、血液系、神経系、呼吸器系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、血液系、神経系、呼吸器系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質のばく露を受けた労働者の調査例で、血清ALT活性の上昇、肝臓の脂肪変性等の肝臓への影響が報告され(環境省リスク評価第8巻(平成22年))、また、ロケット液体燃料充填作業中にばく露を受けた従業員に肝臓への影響が認められ、46名に血清ALT上昇、この中の26名の肝臓生検により6名に脂肪変性が認められたと(NITE初期リスク評価書(2008))報告されているなど、ヒトでの複数の事例報告に基づき区分1(肝臓)とした。一方、ラット、マウスおよびイヌに反復吸入ばく露した験において、マウスまたはラットでは75 ppm(蒸気)を6〜7週間ばく露(90日換算値:約0.09 mg/L)により、振戦、嗜眠、呼吸困難の症状、イヌに25 ppm(蒸気)を13週間のばく露(90日換算値:約0.06 mg/L)で肺胞出血、肺気腫の症状がそれぞれみられ(環境省リスク評価第8巻(平成22年))、用量はガイダンス値区分1に相当することから、区分1(神経系、呼吸器系)とした。さらに、イヌに5 ppmを26週間のばく露で軽度の貧血、脾臓のヘモジデリン沈着の所見(環境省リスク評価第8巻(平成22年))があり、ヒトで長期または反復ばく露すると、血液に影響を与え、貧血を起こすことがあるとの記載(環境省リスク評価第8巻(平成22年))により、区分1(血液)とした。以上より、分類結果は区分1(肝臓、神経系、呼吸器系、血液)となる。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50=1.3mg/L(環境省生態影響試験、2009)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 2000))ことから、区分2とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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