GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 147-24-0
名称 塩酸ジフェンヒドラミン
物質ID 23A5056
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHS定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHS定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHS定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHS定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHS定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - 酸素を含む有機化合物であるが、この酸素は炭素以外の元素と化学結合していない。また、塩素はアミンとイオン結合した塩素イオンであり、他物質の酸化には寄与しないと考えられる。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として3件のデータ(500、545、856 mg/kg bw)(NTP TR355(1989))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - in vivo試験のデータが無く分類できない。なお、in vitro試験では、エームス試験およびマウスリンフォーマ試験の結果はいずれも陰性であったが、CHO細胞を用いた染色体異常試験のS9mix非存在下で陽性(NTP DB(Access on May. 2011))、また、ヒトの白血球または線維芽細胞を用いた染色体異常試験のS9mix非存在下で陰性(NTP TR355(1989))の報告がある。

6 発がん性 分類できない
-
-
- - ラットおよびマウスを用いた2年間混餌投与試験において、マウスでは肝臓の脂肪変性が雌の高用量群で認められたのみで雌雄とも発がん性の証拠はなく、ラットの場合は雄で稀な脳腫瘍(星状細胞腫、神経膠腫)および肺胞細気管支腫瘍の発生率の僅かな増加、雌で下垂体腺腫の発生率の僅かな増加が認められ、発がん性について不確かな証拠であると報告されている(NTP TR 355(1989))。以上の2種の動物による2年間投与試験の結果、発がん性に関する明確な結論が得られていないので「分類できない」とした。
7 生殖毒性 区分2、追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響


警告
H361
H362
P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
P260
P263
P264
P270
マウスの器官形成期または妊娠11~14日に経口投与した試験において、母動物に体重増加抑制、活動亢進、痙攣の症状などの一般毒性が見られ、併せて口蓋裂の用量依存的な発生増加傾向が認められた(NTP TER 82069(1983))。さらに、腹腔内投与であるがラットに妊娠10日目の投与により、口蓋裂、停留精巣、水腎などを含む奇形の発生が報告されている(NTP TR 355(1989))。一方、ヒトでは妊娠初期の3ヵ月間に本物質を頻繁に摂取した妊婦では口蓋裂の児を持つ割合が有意に高かった(NTP TR 355(1989))。以上の報告により、ヒトに対する発生毒性が疑われる物質として区分2とした。一方、医薬品添付文書の「妊婦・産婦・授乳婦等への投与」の項において、「授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせる」、さらに、「母乳を通して、乳児の昏睡がみられたとの報告がある」との記載(医療用医薬品集(2010)、List1相当)により、追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響を採用した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトで本物質の過剰投与による急性症状は、意識障害、幻覚、興奮、散瞳、頻脈、協調不能、痙攣などであり、心肺停止による死亡例では昏睡発症の可能性もある(NTP TR355(1989))と記載されている。また、25 mgを2回投与された子が急性錐体外路系運動障害を発症した(HSDB(2003))との報告もある。本物質を含めヒスタミン拮抗物質の急性中毒では、中枢性興奮作用が最も高い危険性を有する(HSDB(2003))と述べられている。以上の知見に基づき、区分1(中枢神経系)とした。なお、ラットまたはマウスに経口投与後の中毒症状として、運動神経興奮、痙攣、振戦、嗜眠、腹臥位などが観察されている(NTP TR355(1989))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系)、区分2(肝臓)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
本物質は抗ヒスタミン剤として医薬品使用されており、添付文書に精神神経系の副作用(めまい、倦怠感、神経過敏など)が記載されている(医療用医薬品集(2010)、List1相当)。動物試験でもイヌに40 mg/kg/dayの経口投与(投与期間不明)により過敏、かつ軽度の協調不能を示し、25~40 mg/kg/dayの投与により神経原性反応を引き起こすと結論されている(NTP TR 355(1989))。以上の知見に基づき、区分1(神経系)とした。一方、ラットの13週間混餌投与試験の313~2500 ppm(15.6~125 mg/kg/day)およびマウスの103週間混餌投与試験の313 ppm(46~47 mg/kg/day)において、肝臓で脂肪蓄積による細胞質空胞化または脂肪変性(NTP TR 355(1989))が報告されている。また、ラットの103週間混餌投与試験では肝臓の肉芽腫の発生率増加も報告されている(NTP TR 355(1989))。これらの肝臓所見はガイダンス値区分2の範囲にあり、区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
-
- - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-
-
- - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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