項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 98-82-8 |
名称 | クメン |
物質ID | 23B5530 |
分類実施年度 | 平成23年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 物理化学的危険性・健康に対する有害性:政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)、環境に対する有害性:国連GHS文書(改訂4版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 |
警告 |
H226 |
P303+P361+P353
P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点31℃ [密閉式](ICSC(2000))は ≧ 23℃ かつ ≦60℃ であることから、区分3に該当する。なお、UNRTDG(UN1918)でクラス3PGIIIである。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点が420℃(ICSC(2000))であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - |
ラットのLD50値として5件のデータ(1400 mg/kg、4000 mg/kg、2700 mg/kg、3980 mg/kg(以上 EU-RAR(2001))、2910 mg/kg(ACGIH(2001)))において、1件が区分4、4件がJIS分類基準の区分外に該当することから、該当数の多いJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ウサギのLD50として2件のデータ(10600 mg/kg および >3150 mg/kg(以上 EU-RAR(2001))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 |
危険 |
H331 |
P304+P340
P403+P233 P261 P271 P311 P321 P405 P501 |
マウスの4時間ばく露によるLC50値は約2000 ppm(DFGMAK-Doc.13(1999))に基づき、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(5921 ppm)の90%より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気として気体の基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 |
- |
- | - |
ラットの4時間ばく露によるLC50は8000 ppm(39.3 mg/L)(ACGIH(2001))に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(5920 ppm)を超えているので、ミストでの試験とみなした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - |
ウサギに本物質原液0.5 mLを24時間適用した試験で、皮膚の脱脂と薄片が僅かに観察されたのみで軽度の刺激性(slightly irritating)との評価結果(ACGIH(2001))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B |
警告 |
H320 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 |
ウサギの眼に本物質2滴を適用した試験で、結膜に軽度の刺激が見られたが角膜に損傷はなく、軽度の刺激性(slightly irritating)との評価結果(ACGIH(2001))、また、ウサギの眼に本物質原液0.1 mLを24時間適用した試験で、中等度の発赤と滲出液が見られたが、5日以内に完全に回復したとの結果(ACGIH(2001))に基づき、区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 |
- |
- | - |
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験(OECD TG 406)で皮膚感作性はなかった(no skin sensitization)との報告(CICAD 18(1999))に基づき、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 |
- |
- | - |
マウスに経口投与による骨髄を用いた小核試験およびマウスに吸入ばく露による末梢血と骨髄を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)において、陰性の結果(DFGMAK-Doc.13(1999)、NTP DB:(Access on Sep. 2011))が得られていることから区分外とした。なお、in vitro試験として、エームス試験、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いた染色体異常試験、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いたHGPRT試験でいずれも陰性(ACGIH(2001)、CICAD 18(1999))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
IARCの発がん性評価によりグループ2Bに分類される(IARC news(vol.101, 2011))ことから、区分2とした。なお、ラットおよびマウスに2年間吸入ばく露による発がん性試験において、ラットでは鼻腔の呼吸上皮の腺腫、および尿細管の腺腫またはがん腫の発生率増加、マウスでは肺胞・細気管支の腫瘍の発生率増加がそれぞれ報告され、発がん性の証拠とされている(NTP TR 542(2009))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
ラットおよびウサギの器官形成期に吸入ばく露した発生毒性試験において、ラットにおいて高濃度群で摂餌量の有意な減少、体重増加の有意な抑制など一般毒性が認めらたが、着床数や性比、胎仔体重などの生殖指標に影響はなく、奇形や変異の発生増加もみられなかった(環境省リスク評価 第6巻(2008))。また、ウサギにおいても高濃度群で母動物の死亡(2/15例)、および摂餌量の有意な減少、体重増加の有意な抑制など一般毒性がみられ、吸収胚や着床死亡胚の割合が高く、生存胎仔の割合が低い傾向にあったものの、有意差を示した妊娠指標はなく、奇形の発生増加はなかった(環境省リスク評価 第6巻(2008))。以上の結果から、仔の発生に対する悪影響はないが、性機能および生殖能に対する影響についてはデータ不足であり判断できないため「分類できない」とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用、気道刺激性) |
危険 警告 |
H370
H336 H335 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
経口投与では、ラットに1350~2000 mg/kgの用量で運動障害、麻酔、白血球数の低下、剖検による肝臓と腎臓の変化(EU-RAR(2001))、吸入ばく露(蒸気)では、ラットに6時間に2.45 mg/L以上のばく露(4時間換算値:3.0 mg/L)で歩行異常(EU-RAR(2001)、DFGMAK-Doc.13 (1999))、マウスに4時間ばく露(LC50 = 9.89 mg/L)で麻酔、運動失調、反射消失等の中枢神経抑制症状、病理組織学的検査では肝臓と腎臓の脂肪沈着、脾リンパ小節細網細胞に核の断片の貪食が観察された(DFGMAK-Doc.13(1999))。さらにマウスを用いた別の試験でも中枢神経抑制症状、肝臓、腎臓および脾臓における病理学的変化が10 mg/Lを7時間ばく露(4時間換算値:13.23 mg/L)により観察されている(EU-RAR(2001))。以上の影響は経口投与ではガイダンス値から区分2相当となるが、吸入ばく露の場合に区分1相当の用量範囲でも認められていることから、区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓)とした。また、経口および吸入とも中枢神経系抑制症状の一つとして麻酔が記載されていることから、区分3(麻酔作用)とした。一方、マウスに短時間の吸入ばく露が呼吸数の低下と上気道粘膜の刺激をもたらした(DFGMAK-Doc.13(1999))との報告により区分3(気道刺激性)とした。 なお、上記のラットの経口投与試験(1350~2000 mg/kg)で白血球数の低下も見られているが(EU-RAR(2001))、血液の影響として変化に一貫性がないため分類の根拠としなかった。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない |
- |
- | - | ラットの6ヵ月間反復経口投与試験(0, 154, 462, 769 mg/kg bw/day)において、高用量群で腎臓重量に影響がみられたが、その他の影響はなく、NOAELは154 mg/kg bw/dayと報告されている(EU-RAR(2001))ことから、経口経路では区分外相当となる。一方、ラットおよびマウスを用いた14週間吸入ばく露(蒸気)試験(用量は両動物種とも 0, 62.5, 125, 250, 500, 1000 ppm [0, 0.30, 0.61, 1.23, 2.46, 4.9 mg/L])においてガイダンス値範囲内の用量で認められた影響は、雄ラットの腎臓でのα2μグロブリンの蓄積による病変のみで、その他には悪影響を示す所見は認められなかった(NTP TR 542(2009))。この腎臓の所見は雄ラットに特有でヒトには当てはまらないとされていることから、吸入経路の場合も区分外に相当する。しかし、経皮ばく露ついての影響はデータがなく不明のため、特定標的臓器毒性(反復暴露)の分類としては「分類できない」とした。なお、ヒトでの情報として、本物質を溶剤として1~2 年にわたって使用していた労働者で、毎日のばく露が原因となる傷害の発生はなかった(環境省リスク評価 第6巻(2008))との報告がある。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 区分1 |
危険 |
H304 |
P301+P310
P331 P405 P501 |
炭化水素であり、40℃での動粘性率が0.73 mm2/s(EU-RAR(2001))と20.5mm2/s以下であることから、区分1とした。なお、「液体を飲み込むと肺に吸い込んで化学性肺炎を起こすことがある(環境省リスク評価 第5巻(2006))との記載があり、また、EUではR65に分類されている。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 |
- |
H401 |
P273
P501 |
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50 = 1.2 mg/L(CICADS 18, 1999)から、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 |
- |
H411 |
P273
P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(84/449/EECに従った分解度試験(揮発容器使用)における28日間での分解度:13%(EU-RAR, 2001))、藻類(Scenedesmus subspicatus)の72時間NOEC = 0.22 mg/L(EU-RAR, 2001)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.35 mg/L(EU-RAR, 2001他)であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(84/449/EECに従った分解度試験(揮発容器使用)における28日間での分解度:13%(EU-RAR, 2001))、魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 2.7 mg/L(環境省リスク評価第6巻, 2008)であることから、区分2となる。 以上の結果から、区分2とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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