GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 106-50-3
名称 パラ-フェニレンジアミン
物質ID 23B5580
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 発火点は400℃であり(ICSC(1997))、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値は80 mg/kgおよび98 mg/kg(いづれもDFGMAK-Doc.6(1994))により区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLDLo値は5000 mg/kg(IUCLID(2000))によりLD50値は5000 mg/kg超と判断され、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
ラットのLC50値は0.92 mg/L/4h(環境省リスク評価 第3巻(2004))により、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.0291 mg/L)を超えていることから粉塵の基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P264
P280
P321
P362
ウサギに本物質の2.5または25%ワセリン、10%オイル、50%水溶液を適用したドレイズ試験において、2.5%の濃度で軽度の刺激性(slightly irritant)、10~50%では中等度の刺激性(moderately irritant)を示したが回復がみられ、皮膚刺激指数は1.4~3.4であった(BUA 97(1995))との結果に基づき区分2とした。なお、ヒトでは6人のボランティアに本物質50%軟膏を適用した結果、軽微な刺激性(only slight irritation)であった(DFGMAK-Doc.6(1994))と報告されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギに本物質を希釈せずに適用したドレイズ試験において、刺激性スコア(AOIに相当)は17(最大110)であり、軽度の刺激性(slightly irritant)との結果(BUA 97(1995))、さらにウサギに30 mgを適用した別の試験で結膜の発赤および浮腫、角膜混濁が見られたが、7日以内に回復し、刺激性あり(irritant)との結果(BUA 97(1995))に基づき区分2Bとした。なお、ヒトで本物質を含む染毛剤が眼に入ると、眼球、眼瞼、結膜に重度の反応が起き、場合によっては虹彩炎や虹彩毛様体炎を伴う角膜上皮のびらんを生じ、重度の角膜潰瘍により不可逆的視覚障害や失明に至ることもある(ACGIH(2001))と記載されているが、染毛剤の成分が識別されていないので、本物質との関連の程度は不明である。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P341
P342+P311
P261
P285
P501
職業ばく露によりアレルギー性喘息の発症、直接的な刺激により咽頭に炎症を起こした労働者の報告があり、僅かな量のでも、3ヶ月~10年のばく露により喘息を起こすおそれがあるとの記載(ACGIH(2001))や、本物質は皮膚および気道に対し感作を示し、喘息になるおそれがあるとの記載(PATTY(5th, 2001))に基づき区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P261
P272
P280
P321
P363
P501
日本産業衛生学会で、感作性物質(皮膚:1群)(産衛学会勧告(2011))としていることから区分1Aとした。20匹のモルモットを用いたパッチテストで、全動物で陽性を示したとの報告(DFGMAK-Doc.6(1994))、ヒトのマキシマイゼーション試験で、陽性率が100%であったとの報告(ECETOC TR 77(1999))を含め、ヒトおよび動物とも「感作性あり」との試験報告が複数ある。また、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会では本物質をスタンダードアレルゲンとし(Japanese Standard Allergens(2008)、List1相当)、Contact Dermatitis(Frosch)(4th, 2006)に接触アレルギー物質として掲載されている(Contact Dermatitis(Frosch)(4th, 2006)、List1相当)。
5 生殖細胞変異原性 区分外
-
-
- - ラットの腹腔内投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)で陰性(NTP TR 174(1979))、ラットの経口およびマウスの腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)(IARC 16(1978)、DFGMAK-Doc.6(1994))で陰性の結果により区分外とした。なお、in vitro試験ではエームス試験で陽性(IARC 16(1978))、マウスリンフォーマ試験で陽性(ACGIH(2001))の結果が得られている。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - IARCでグループ3(IARC suppl.7(1987))、ACGIHでA4(ACGIH(2001))分類されていることから分類できないとした。なお、ラットの8ヵ月間経口投与試験、マウスの2年間経皮投与(週2回投与)試験で、いずれも腫瘍は認められず(IARC 16(1978)、DFGMAK-Doc.6(1994))、また、本物質の二塩酸塩のラットおよびマウスに2年間混餌投与による発がん性試験で、雌雄ラットおよび雌マウスで軽度の体重増加抑制が観察されのみで、両動物種雌雄とも死亡率に投与の影響はなく、いずれの部位においても試験物質投与と腫瘍発生率との間に統計学的に有意な関連は認められず、その結果、ラットおよびマウスでは、本物質の混餌投与により発がん性の確かな証拠は得られなかった(NTP TR 174(1979))と結論付けている。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットの妊娠6日~15日に経口投与した試験で、親動物に体重増加抑制や死亡が認められた用量で、仔の奇形または変異の増加は見られなかった(ACGIH(2001))との報告があるが、性機能および生殖能に対する影響に関した情報がないためデータ不足分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(心臓、筋肉、腎臓)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトで本物質摂取により、呼吸困難から、顔面、首、舌または咽喉に浮腫を生じ、時に血中CPKの上昇、乏尿、尿細管変性がみられ、横紋筋融解症となり最終的に急性腎不全に至った症例が、死亡例を含め複数の報告がある(DFGMAK-Doc.6(1994))。一方、マウスにガイダンス値区分1に相当する70 mg/kg bwを経鼻胃管投与後24時間以内に血中CPKの有意な上昇、24時間後に急性横紋筋融解と骨格筋の極細線維の壊死が観察された(DFGMAK-Doc.6(1994))。以上からヒトおよび動物の知見に基づき、区分1(心臓、筋肉、腎臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、神経系、腎臓)、区分2(心臓、筋肉)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
ヒトにおいて、本物質を含む市販の染毛剤を規則的に使用し、肝腫大と脾臓の肥大が見られ、入院後死亡までの11週間に進行性神経障害を発症した症例(ACGIH(2001))、本物質を含む染毛剤の5年間に亘る職業ばく露を受け、黄疸と肝臓の亜急性萎縮により死亡した症例(ACGIH(2001))、また、本物質を含む染毛剤を使用し消化器と神経症状が観察された症例、さらに本物質を含む染毛剤を1年半使用し中枢神経系に病理学的変化が認められた症例(DFGMAK-Doc.6(1994))の報告により、区分1(肝臓、神経系)とした。また、本物質を含む染毛剤を使用し、慢性腎不全、尿毒症、腎臓の極小化、糸球体の硝子化を伴い死亡した症例(DFGMAK-Doc.6(1994))、本物質を含む染毛剤を使用により、腎不全、尿毒症、乏尿、脈管炎、筋痛、腎臓肥大、糸球体腎炎を発症し、3週間後に死亡した症例(DFGMAK-Doc.6(1994))の報告により、区分1(腎臓)とした。一方、動物試験ではウサギの90日間の経口投与試験において、10 mg/kgの用量で心筋実質の変化(浮腫、筋線維の膨化、細胞質の均質化、横紋の消失)が認められ(ACGIH(2001))、用量は区分2のガイダンス値内であることから区分2(心臓、筋肉)とした。以上より、分類結果は区分1(肝臓、神経系、腎臓)、区分2(心臓、筋肉)となる。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
魚類(メダカ)の96時間LC50 = 0.066 mg/L(環境省生態影響試験, 2001)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(4週間でのBODによる分解度:5%(既存点検, 2002))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.043 mg/L(環境省生態影響試験, 2001)であることから、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(4週間でのBODによる分解度:5%(既存点検, 2002))、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 0.066 mg/L(環境省生態影響試験, 2001)であることから、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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