GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 109-86-4
名称 エチレングリコールモノメチルエーテル
物質ID 24B6505
分類実施年度 平成24年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点39℃ [密閉式](ICSC(2003))は ≧ 23℃ かつ ≦60℃ であることから、区分3に該当する。なお、UNRTDG(UN1188)クラス3PGIIIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点は285℃であり(Ullmanns(E)(6th, 2003))、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、「鋼およびステンレス鋼は容器として耐久性がある。銅およびアルミニウムは腐食される」(ホンメル(1996))との情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として対象とした6件のデータ[2370 mg/kg、2460 mg/kg(以上2件 環境省リスク評価第4巻(2005))、3250 mg/kg、3400 mg/kg(以上2件 ECETOC TR 95 Volume II(2005))、2300 mg/kg、3900 mg/kg(以上2件 PATTY(5th, 2001))]は、全てJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5に相当)に該当する。
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P280
P312
P322
P363
P501
ウサギのLD50値として対象とした5件のデータ[1280 mg/kg、2000 mg/kg(以上2件 環境省リスク評価第4巻(2005))、1300 mg/kg(ECETOC TR 95 Volume II(2005))、1290 mg/kg、3900 mg/kg(以上2件 PATTY(5th, 2001))]は、4件が区分4、1件が区分外に該当することから、該当数の多い区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
ラットの7時間吸入ばく露によるLC50値は4700 mg/m3(4時間換算値:6.218 mg/L = 1998 ppm)(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))に基づき、区分3とした。なお、LC50値(4.7 mg/L/7h)が飽和蒸気圧濃度(38.9 mg/L)の90%より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気として、気体の基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - ウサギの皮膚に本物質原液0.5 mLを4時間適用した試験で、刺激性なし(not irritant)の結果(ECETOC TR95 Volume II(2005))に基づき区分外とした。なお、その他にウサギを用いた別の試験では、483 mgを24時間の適用により軽度の刺激性(slightly irritating)との結果(IUCLID(2000))、さらにウサギの皮膚に反復、かつ長期のばく露で明らかな刺激性は認められなかったとの結果((PATTY(5th, 2001)))などが報告されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-
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- - ウサギの結膜嚢に本物質原液0.1 mLを適用した試験(OECD TG 405)で、適用後24~72時間の刺激性の平均スコアが結膜発赤 1.3~1.1、結膜浮腫 0.5~0.2、角膜混濁 0.2~0.0を示し、刺激性なし(not irritant)との評価結果(ECETOC TR 95 Volume II(2005)、BUA 198(1996))に基づき、区分外とした。なお、ヒトの情報で、ばく露により眼に刺激性を示したが、48時間後には完全に回復したとの報告(PATTY(5th, 2001))があるが、一例の報告であることから分類に採用しなかった。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - モルモットのマキシマイゼーション試験の結果、本物質は皮膚感作性物質ではなかった(CICAD 67(2010))との記載はあるが、それ以上の記載はなく試験条件および試験結果を含め詳細不明のため「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外
-
-
- - マウスまたはラットに経口または吸入による複数の優性致死試験(生殖細胞経世代in vivo変異原性試験)の報告があり、一部に弱陽性があるものの概ね陰性の結果であること、およびマウスまたはラットに経口または吸入による複数の染色体異常試験(in vivo変異原性試験)において陰性の結果が報告されている(以上、化学物質の初期リスク評価書 88(2007))ことから区分外とした。なお、2件のマウスの小核試験(in vivo変異原性試験)で陰性と弱陽性(ECETOC TR 95 Vol.II(2005))、in vitro試験ではエームス試験、マウスリンフォーマ試験、チャイニーズハムスターCHO細胞を用いたHGPRT試験およびGPT試験の結果は全て陰性、また、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験では培養時間が1時間で陰性であったが24時間では陽性(化学物質の初期リスク評価書 88(2007)であった。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データなし。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
マウスおよびラットの雌雄を用い、交配前から交配期間、分娩、哺育期間に至るまで飲水投与した、NTP連続交配プロトコールによる生殖試験において、生存産仔数の減少、受胎率の低下、妊娠回数の減少がみられた(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))こと、この飲水投与試験のラットでは受胎率の低下がさほど顕著ではなかったが、強制経口、吸入および経皮投与した生殖試験では明確に認められた(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))こと、さらに、妊娠動物を用い主に器官形成期に投与した発生毒性試験で、マウスに胎児死亡、前後肢の指の奇形(合指、短指、欠指、多指)、骨格奇形(頚椎弓の分岐・分離)、外表奇形(外脳)の発生率の増加、ウサギに吸収胚、外表奇形(関節拘縮、内反足、無爪、短指、欠指等)、内臓奇形(心室中隔欠損、鎖骨下動脈形成不全、無腎、腎奇形、腎盂拡張、横隔膜ヘルニア、卵巣欠損等)、骨格奇形(指骨欠損)の発生率の増加、ラットでは、胎児死亡、自然発生的に見られない心血管系の奇形発生、アカゲザルでは胎児死亡の増加がそれぞれ報告されている(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))ことから区分1Bとした。なお、EUにおいてR60-61(EC-JRC(ESIS)に分類されている(Access on May. 2012))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、腎臓、精巣)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトの事例報告として、本物質が混入したブランデーを摂取した44歳男性が昏睡に続き意識喪失を起こした(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))こと、また、本物質 100 mLを誤飲した23歳および41歳の2人の男性が錯乱、激昂などの神経症状を呈した(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))こと、さらに本物質の急性影響として脳と髄膜にうっ血水腫が見られた(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))との記載もあり、区分1(中枢神経系)とした。また、上述の事例において44歳男性には剖検で腎臓の黒色化と尿細管の変性がみられたこと、誤飲した2人の男性の1人にシュウ酸塩尿がみられ、腎障害が疑われたこと、さらに別に本物質を誤飲した18~58歳の3人の男性に腎障害が見られた(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))報告があり、区分1(腎臓)とした。一方、動物試験でラットに150 mg/kg の単回投与で精母細胞の変性、壊死(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))、また、ラットに1000 ppm(3.11 mg/L)を4時間吸入ばく露により、精母細胞の傷害を伴った精胚上皮の変性(ACGIH(2006))が報告され、両経路ともガイダンス値の区分1に相当することから、区分1(精巣)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、造血系、精巣)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトの知見として、シャツの襟加工に本物質(33%)とエタノールの混液を使用していた労働者19人中12人に強い疲労感、嗜眠、振戦、反射異常など神経症状が認められ、血液検査では幼若白血球が多く、骨髄影響によると考えられる大赤血球貧血もほぼ半分の労働者でみられた(環境省リスク評価 第4巻(2005))こと、マイクロフィルム生産工場で本物質にばく露された1人の労働者に貧血と中枢神経系障害が認められた(ACGIH(2006))こと、さらに、本物質を使用していた労働者の中に脳症と貧血の事例が5件報告されたが、作業場を改善し本物質の空気中濃度が低下後は有害影響が見られなくなった(ACGIH(2006))こと、など複数の疫学調査の結果または事例報告に基づき、区分1(中枢神経系、造血系)とした。また造船所で働く男性塗装作業員に精子減少症、無精子症や一射精あたりの精子数減少が認められており、動物試験においても、ラットに13週間飲水投与した試験で、750 ppm(約70 mg/kg/日)以上で精巣の萎縮、精上皮の変性(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))、また、ウサギの13週間吸入ばく露試験により100 ppm(0.31 mg/L)以上で重度の精細管の変性(化学物質の初期リスク評価書 88(2007))が報告されていることから区分1(精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
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-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
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- - 魚類(メダカ)の96時間LC50 > 88.9 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 > 84.8 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50 ≧ 93.2 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
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- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(良分解性(2週間でのBODによる分解度:73、82、94%)(既存点検, 1988))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC > 84.8 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOECr ≧93.2(NITE初期リスク評価書, 2007)であることから、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(メダカ)による96時間LC50 > 88.9 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)であり、難水溶性ではない(水溶解度=1000000mg/L、PHYSPROP Database, 2009)ことから、区分外となる。
以上の結果より、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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