項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 55-63-0 |
名称 | ニトログリセリン |
物質ID | 24B6512 |
分類実施年度 | 平成24年度 |
分類実施者 | 厚生労働省、環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | GHS分類ガイダンス |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 不安定爆発物 |
危険 |
H200 |
P201
P202 P281 P372 P373 P380 P401 P501 |
UNRTDGでは純品は輸送禁止とされている。なお、希釈品はクラス1.1Dに分類されている。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発物(不安定爆発物)に分類されている。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は270℃であり(ICSC(J)(2005))、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない |
- |
- | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が水素および炭素以外の元素(N)と結合しているが、データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P264 P270 P330 P501 |
ラットLD50値として3件[685 mg/kg(USEPA/HPV(2002); List1相当)、822~884 mg/kg(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008)、105 mg/kg(環境省リスク評価 第7巻(2009))]の報告の中、1件が区分3、2件が区分4に該当することから、該当数の多い区分4とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ラットLD50値 は >9560 mg/kg(OECD TG402、GLP準拠)(USEPA/HPV(2002))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - |
ウサギ6匹の皮膚に本物質原液0.5 mLを24時間適用した試験(16CFR 1500.41(FHSA)、GLP準拠)で、パッチ除去24時間後にわずかな紅斑と浮腫が見られたが、7日後に消失し、皮膚一次刺激指数は0.9で、軽度の刺激性(mild irritation)との評価結果(USEPA/HPV(2002))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。なお、ヒトでは、ボランティア24人にニトログリセリンの31、80 mgを24時間貼付し、ほぼ全員に貼付部位の紅斑が観察されたが、数時間で消退した(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))との報告がある。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 |
- |
- | - |
ウサギ(6匹)の結膜嚢に本物質原液0.1 mLを適用した試験(16CFR 1500.42(FHSA)、GLP準拠)で、非洗浄眼における唯一の影響は適用1時間後に3匹中2匹の結膜に排出物が観察されたことで、その他の観察時点では全例が正常であり、本物質は眼刺激物ではないと結論されている(USEPA/HPV(2002))ことから、区分外とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 |
P302+P352
P333+P313 P261 P272 P280 P321 P363 P501 |
モルモットのマキシマイゼーション試験において陽性率は40%(4/10)と中等度の感作性を示し、ヒトでも繰り返しの接触により少数のヒトに皮膚感作性を引き起こす可能性が高い(USEPA/HPV(2002))と記述されている。さらに、本物質はContact Dermatitis(Frosch)に感作性物質として掲載されている(Contact Dermatitis(5th, 2011)、List1相当)。以上の知見により、区分1とした。なお、ヒトではボランティア28人に惹起処置を含めたパッチテストにより皮膚感作性は認められなかった(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))との結果、また、アレルギー性接触皮膚炎を有する4人のダイナマイト作業者にニトログリセリンのパッチテストにより陽性の結果を示した(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))疫学調査の報告などがある。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 |
- |
- | - | ラットに13週間混餌投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)で陰性(USEPA/HPV(2002))、ラットに5または13週間混餌投与による末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験および2年間混餌投与による骨髄または腎臓細胞を用いた染色体異常試験(いずれの体細胞 in vivo変異原性試験)で陰性(USEPA/HPV(2002))の結果により区分外とした。なお、in vitro試験としては、エームス試験において陰性(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性(USEPA/HPV(2002))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | ラットの2年間混餌投与試験において、24ヵ月後に1.0%群(363~434 mg/kg bw/day)で肝細胞がん/腺腫が高頻度に観察された(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))。また、別の試験では約8週齢のラットに本物質500 mg/kg/day相当用量を76週間(84週齢まで)混餌投与により、32週齢から肝細胞腺腫が出現、78週齢から肝細胞がんが出現、84週齢では肝細胞腺腫及び高分化型肝細胞がんの出現頻度は共に50~75%であり、肝細胞がんの発生は本物質の長期食餌経由によるものであることが示された(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))と報告されている。一方、マウスを用いた試験では、飲水投与(0、10、40、330 mg/L)による18ヶ月間の発がん性試験で、雌で下垂体腺腫のわずかな増加が見られたが、2年間の混餌による試験では腫瘍の増加は認めらなかった(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))。以上から、ラットでは腫瘍の発生が認められているものの、上記の2年間混餌投与試験は使用した動物数も少なく(各用量38匹)、他の試験も特殊な試験であり、またマウスでは腫瘍の発生に関して明確でないことから、専門家判断により「分類できない」とした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2、追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響 |
警告 |
H361
H362 |
P308+P313
P201 P202 P281 P405 P501 P260 P263 P264 P270 |
ラットに混餌投与による3世代生殖試験(US FDA Guidelines)において、高用量群(混餌濃度1%)では親動物(F0世代)の体重に有意な減少が見られ、高用量群の第二世代第一産仔(F1a)で性比を除く同腹仔の指標が全て低下し、高用量群の第二世代第二産仔(F1b)および第三世代第一産仔(F2a)でほとんどの指標がある程度の低下を示し、第三世代第一産仔(F2a)の雄が重度の不妊につながる精子形成不全を起こした(USEPA/HPV(2002))。さらに、ラットの器官形成期に混餌投与した発生毒性試験(US FDA Guidelines)では、横隔膜ヘルニアが母動物が体重低下を示した高用量群でのみ発生し、試験物質に起因するされている(USEPA/HPV(2002))ことから、区分2とした。また、本物質は冠動脈拡張剤として使用されている医薬品でもあり、授乳婦に投与する場合には授乳を中止させる(動物試験で授乳中への移行が報告されている)との記載(医療用医薬品集(2010))により、「追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響」とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(心血管系、血液、神経系) |
危険 |
H370 |
P307+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
本物質は血管拡張作用を有し、医薬品の冠動脈拡張剤として使用されており(医療用医薬品集(2010))、大量ばく露で吐き気、嘔吐、血圧低下と抑うつが、ときに錯乱、せん妄、メトヘモグロビン血症、チアノーゼが起きる(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))。また、皮膚吸収もあり、速やかに吸収されて、動脈および静脈血管に対する強い拡張作用を示し、本物質を経皮的あるいは蒸気のばく露により、頭痛、血圧低下などの症状が現れる(産業医学28巻3号(1986))。事例報告として、47歳女性が意図的に本物質24 mgを飲み、15分以内にけいれんを起こし、数時間チェーンストークス呼吸(120 回呼吸/分)が続き、収縮期血圧は上昇し、明らかな頻脈を示したが、抗けいれん薬の投与や呼吸装置の装着などにより、その後完全に回復した(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))。以上より、本物質によるヒトへの影響は、血管拡張作用とに伴う頭痛、血圧低下やチアノーゼの症状、メトヘモグロビン血症、抑うつ、せん妄、錯乱等から区分1(心血管系、血液、神経系)とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(心血管系) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
本物質は血管拡張作用を有し、冠動脈拡張剤として医薬品に使用されている(医療用医薬品集(2010))。本物質には耐性と習慣性があり、継続した投与を中止すると離脱反応により心血管疾患のリスクは高まり、「月曜日の狭心症 Monday morning angina」と呼ばれる症状が発現することがある(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))。一方、疫学調査として、米国の弾薬施設で働く男性作業者について本物質ばく露と心血管疾患による死亡との関連を調査した結果、虚血性心疾患による死亡は、年齢とばく露に関連しており、特に45歳以下の高頻度ばく露群では非ばく露対照群の約 3倍であった(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))。また、純粋なニトログリセリンの取り扱い作業者で急死や狭心症の発作報告があり、本物質とニトログリコールを原料とするダイナマイト製造作業者の疫学調査では、心・脳血管疾患の死亡率増加が認められる(産業医学28巻3号(1986))。さらに、ダイナマイト作業の前歴を持つ者は、そうでない居住者と比べ心疾患による死亡の発生頻度が高いことを示すスウェーデンの報告(ACGHI(7th, 2001))もある。以上の報告はいずれも本物質のばく露による心血管障害の増加を示しており、区分1(心血管系)とした。なお、動物試験で反復投与により、メトヘモグロビンの産生、肝臓や腎臓における組織学的変化などが報告されている(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139(2008))が、ガイダンス値範囲を超える高用量の所見、または軽微な影響であり、分類の根拠としなかった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の96時間EC50 = 0.4 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(ファットヘッドミノー)の30日間NOEC = 0.03 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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