項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 120-80-9 |
名称 | カテコール(別名:ピロカテコール) |
物質ID | 24B6516 |
分類実施年度 | 平成24年度 |
分類実施者 | 厚生労働省、環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | GHS分類ガイダンス |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 可燃性(ICSC(J)(1997))との情報があるが、所定の試験法のデータがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は510℃であり(HSDB(2009))、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分3 |
危険 |
H301 |
P301+P310
P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
ラットのLD50値は260 mg/kg(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))および300 mg/kg(SIDS(Access on Apr. 2012))に基づき、区分3とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 |
危険 |
H311 |
P302+P352
P280 P312 P322 P361 P363 P405 P501 |
ラットのLD50値は600 mg/kg(NITE初期リスク評価書(2008))、およびウサギのLD50値は800 mg/kg(NITE初期リスク評価書(2008))はいずれも区分3に該当する。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | ラットに1.5 mg/Lの濃度を8時間ばく露(4時間換算値:3.0 mg/L)して死亡が発生しなかった(ACGIH(2001))ことから、LC0 > 3.0 mg/L/4hとなるが、区分を特定できないので分類できない。なお、試験濃度(1.5 mg/L)は飽和蒸気圧濃度(0.13 mg/L)より高いため粉塵による試験とみなした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 |
P302+P352
P332+P313 P264 P280 P321 P362 |
ウサギ(6匹)に本物質0.5 gを24時間の閉塞適用した皮膚一次刺激性試験(US Federal Register(1961))において、24時間後に全動物で中等度の紅斑とわずかな浮腫が見られたが、72時間後には症状は軽減、14日後には消退し、中等度の刺激性との評価結果(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))に基づき、区分2とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 |
P305+P351+P338
P280 P310 |
ウサギ(6匹)に本物質0.1gを適用した眼一次刺激性試験(US Federal Register(1961))において、点眼直後から結膜に中等度の発赤、浮腫、滲出液分泌及び角膜混濁がみられ、24時間後には結膜充血、眼瞼閉鎖、著しい滲出液分泌、虹彩炎、重度の角膜混濁を示した。48、72時間後も回復がせず、14日後には全例に角膜パンヌスの形成及び円錐角膜がみられ、重度の刺激性と判定された(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))。14日後の角膜パンヌスの形成及び円錐角膜は不可逆性の症状であり、この判定結果に基づき区分1とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 |
P302+P352
P333+P313 P261 P272 P280 P321 P363 P501 |
永久型染毛クリームを使用した18歳の女性が眼の周囲に急性の接触皮膚炎を生じ、皮膚炎の回復後、クリームの構成成分についてICDRG(国際接触皮膚炎学会)基準に基づくパッチテストの結果、本物質は陽性反応を示し、アレルギー性接触皮膚炎の原因物質であることが示された(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))との報告、さらに、10年間レントゲン撮影及び写真現像技師として働いていた33歳の女性が作業2年後から手に皮膚炎を発症し、かゆみを伴う扁平上皮の角化がみられ、現像薬の一つである本物質でICDRG基準のパッチテストの結果、中等度の陽性反応がみられた(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))との報告がある。以上より、本物質によりアレルギー性接触皮膚炎が生じることを示した症例報告が別ーの機関から計2件あることから、区分1とした。なお、動物試験ではOECDで承認された試験法ではないが、モルモットを用いた2種の皮膚感作性試験(Freund's Complete Adjuvant TestおよびSplit Adjuvant Test)でいずれも陽性の結果(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))が報告されている。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 |
警告 |
H341 |
P308+P313
P201 P202 P281 P405 P501 |
マウスに経口または腹腔内投与により、骨髄細胞を用いた小核試験の陽性結果(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))に基づき区分2とした。マウスの経口または腹腔内投与による別の小核試験では、陰性の結果(NTP DB(1994)、NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))が報告され、また、ラットに経口投与による遺伝毒性試験(DNA合成、切断、修復試験)では陰性および陽性の両方の結果(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))が報告されている。一方、in vitro試験では、エームス試験で概ね陰性、哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験、染色体異常試験および小核試験で陽性の結果(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 |
P308+P313
P201 P202 P281 P405 P501 |
発がん性の評価において、IARCによりグループ2B(IARC 71(1999))、ACGIHによりA3(ACGIH(2001))、日本産業衛生学会により第2群B(産衛学会勧告(2011))に分類されていることから、区分2とした。なお、マウスおよびラットに約2年間混餌投与した発がん性試験において、マウスでは悪性腫瘍の発生率増加は認められなかったが、ラットでは複数の系統で、本物質が腺胃の腺がんを誘発した(IARC 71(1999))と報告されている。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 |
P308+P313
P201 P202 P281 P405 P501 |
ラットの妊娠11日目に経口投与した試験において、母動物の体重増加抑制、および用量に依存した死亡の増加がみられ、出生後6日までの仔動物数が減少し、後肢の麻痺、短尾または曲尾の出生仔の割合が用量依存的に増加した(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))ことから区分2とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性) |
危険 警告 |
H370
H335 |
P307+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
ヒトについての情報として、本物質は短期ばく露により中枢神経系に影響を与え、抑制、痙攣、呼吸不全を生じる(環境省リスク評価第2巻(2003))、また、皮膚からの吸収により、中枢神経系に対する影響(けいれん等)はフェノールより強い(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))と記載されている。以上の知見に基づき区分1(中枢神経系)とした。また、本物質は短期ばく露により気道を刺激する(環境省リスク評価第2巻(2003))、あるいは吸入により咽喉および肺の灼熱感に続き、著しい呼吸数増加を来たす(PATTY(5th,2001))と記載されていることから、区分3(気道刺激性)とした。なお、動物試験ではラットに吸入ばく露後2.0 mg/L以上で継続的な震えがみられ(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))、また、ラットに経皮適用した試験では875 mg/kg以上で投与5分後から著しい震えが現れた(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))と報告されている。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない |
- |
- | - |
ラットに104週間混餌投与による影響として、0.1%(33 mg/kg/day)以上の投与群で胃幽門腺過形成、胃周囲リンパ節ののう胞性腫大または拡張、0.2%以上投与群で胃幽門部の肥厚、さらに0.4%以上投与群では前胃に扁平上皮の過形成がみられた(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0 No.145(2008))。また、ラットおよびマウスに150~300 mg/kg/dayを13週間経口投与した試験では、前胃の過形成と扁平上皮乳頭腫の発生が見られている(ACGIH(2001))が、胃以外のその他の諸器官での悪影響を示す報告は見当たらない。本物質は刺激性/腐食性であることから、経口投与による消化器での局所影響を生じ、また、ラットの胃で発がん性を示し、前がん病変も発生していることから、本項ではこの結果を分類に用いず「分類できない」とした。なお、ヒトの情報として、本物質およびフェノールにばく露した30人の労働者で、喉の痛み、咳、眼の刺激の訴えがあり、中でも皮膚への障害が多く、検診を行なった結果、造血系、肝臓、腎臓の機能低下は見られず、尿検査でも異常はみられなかった(IUCLID(2000))との記述がある。また「腎細管の変性病変」(PATTY(4th, 1999))との記載もあり、腎臓への影響が示唆されるが詳細は不明である。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 |
- |
H401 |
P273
P501 |
甲殻類(オオミジンコ)による24時間EC50 = 1.66 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - |
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。 甲殻類(オオミジンコ)による24時間EC50 = 1.66 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であるが、急速分解性があり(良分解性(2週間でのBODによる分解度:83%)(既存点検, 1979))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= 0.88(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外となる。 以上の結果より、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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