GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 1309-64-4
名称 三酸化二アンチモン
物質ID 24B6523
分類実施年度 平成24年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成19年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 物理化学的危険性・健康に対する有害性:政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)、環境に対する有害性:国連GHS文書(改訂4版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性(ICSC(2003))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性(ICSC(2003))。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性(ICSC(2003))。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 水に対して安定(水溶解度1.4mg/100ml(30℃)(ICSC(2003)))。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ヒトの疫学事例で、死亡がみられており(CERIハザードデータ集 2001-7(2002))、ヒト健康に対する急性的な懸念が示唆され、ある状況下ではヒトの死亡がみられたため、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義による固体であるため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - EUリスク警句(2005)では刺激性ありとしているが、根拠となるデータが不明のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-
-
- - 3省GHS分類では、RTECSに記載されている「ウサギの眼に100mg投与で軽度の(mild)刺激性」との試験結果に基づき「区分2B」と分類されている。一方、パブリックコメントの文献(LPT(2005))には、OECD テストガイドラインに従ったGLP試験機関のウサギを用いた試験結果から「刺激性なし(non-irritating)」と明示されている。即ち、ウサギを用いた試験で陽性と陰性の1例ずつが存在する。 LPT(2005)の文献はパブリックコメントでは未公開であるとしているが、一般ルートで入手可能であるので、当事業において考察に使用した。
ここで、前者の陽性結果の試験は1972年に行われたものであり、用いた物質の性状や症状の詳細は不明である。 これに対して、後者の陰性結果の試験は、2002年のOECDテストガイドラインに則って行われたものであり、物質の由来と性状や発生した症状の詳細が記載されている。 従って、試験の信頼性は後者の陰性結果が優ると考えられる。 よって、本物質の分類は「区分2B」から「区分外」へ修正するのが妥当と考える。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外
-
-
- - PATTY(4th, 2000)、CERIハザードデータ集 2001-7(2002)、IARC 47(1989)の記述から、生殖細胞in vivo経世代変異原性試験なし、生殖細胞 in vivo変異原性試験(染色体異常試験)陰性であり、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)については結果(1回投与で陰性、21日目までの投与で骨髄の染色体が変化する度合が増加)を陰性と判断し区分外とした。なお、専門家の判断(文献検索により収集した情報に基き判断した分類結果)も区分外であり本分類結果と合致する。
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ACGIH(2001)でA2に分類されていることから、区分1Bとした。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 本物質(三酸化二アンチモン)自体の生殖発生毒性試験は、生殖毒性1件、発生毒性2件の計3件の報告がある。生殖毒性については、雌ラットを用い、交配前1.5~2ヵ月より、無処置の雄との交配、妊娠期間を通じ出産の3~5日前まで吸入ばく露した試験で、妊娠率の低下、同腹仔数の減少が見られ、受胎能に悪影響を及ぼす可能性が示された。しかし、吸収または胎仔死亡の発生率のデータがなく、1用量(ダスト:250 mg/m3)のみの試験で対照群での形態学的検査が実施されていないなど、試験条件全体が不明瞭で、試験物質の純度、粒径等も不明なため、この試験の結果から結論は得られず、リスク評価には使用できないと述べられている(NITE初期リスク評価書 132(2008)、EU-RAR(2008)DRAFT)。一方、発生毒性については、ラットの妊娠期間中(21日間)に吸入ばく露した試験で、母動物の体重変化に影響はなく、着床前後の子宮内胚・胎児死亡率の増加がみられたが、試験物質が酸化アンチモンと伝えられているのみで純度や粒径、試験条件等の報告もなく、試験物質に関する情報を欠くため、この試験は確定的ものではないと結論されている(NITE初期リスク評価書 132(2008)、EU-RAR(2008)DRAFT)。唯一、残り1件の発生毒性試験(OECD TG 414)において、2.6~6.3 mg/m3の濃度で吸入ばく露により、母動物に一般毒性が観察された一方、催奇形性を含め発生毒性は認められなかった(EU-RAR(2008)DRAFT)と報告されているが、分類ガイダンスの変更もあり、この結果のみでは分類できない。前述のように性機能・生殖能に対する影響について、評価に耐える生殖毒性試験のデータがなく、データ不足のため「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器)


警告
H371 P308+P311
P260
P264
P270
P405
P501
心臓に関しては、3省GHS分類結果の判定根拠としている資料の元文献に当該記述が見当たらないのでGHS分類の「区分1(心臓)」は、削除することが妥当である。
呼吸器に関しては、3省GHS分類結果の判定根拠で使用したCERIハザードデータ集の元文献を順次精査して判断すると、「区分2」である。一方、パブリックコメントで提示された文献から判断すると「区分外」である。いずれも有用なデータによる区分が異なるので、危険性を周知させる観点から「区分2」とすることが妥当である。
以上より、「区分1(心臓)、区分2(呼吸器)」を「区分2(呼吸器)」に修正する。
なお、平成19年度パブリックコメントで提供された文献(LPT, 2005)は、パブリックコメントでは未公開であるとしているが、一般ルートで入手可能であるので、当事業において考察に使用した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトについては「胸部レントゲン検査で肺炎が確認された」、「 アンチモン塵肺症が見られさら塵肺症が疑われた」、「胸部レントゲン像異常とアンチモンの肺内残留と曝露期間の関係を報告した」、「浸潤状に広がった直径1mm未満の斑状陰影 の存在とそれの肺中葉部への集積」(IRIS(2002))等の記述があり、実験動物では「剖検では肺の色調変化が見られた。粒子含有食細胞、変性食細胞、肺胞壁内の細胞屑が観察された」、「間質性線維化、肺胞上皮細胞の肥大及び過形成」、「肉芽腫様炎症および肉芽腫」(IRIS(2002))、「体重減少、肺の間質性線維化、肺胞上皮細胞の肥大及び過形成、立方及び円柱上皮化生、コレステロール裂」(CERIハザードデータ集 2001-7(2002))等の記述があることから、呼吸器及び消化器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1 に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
藻類(セレナストラム)の72時間EC50=67mg/L(CERIハザードデータ集、2002)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
-
-
H412 P273
P501
急性毒性が区分3、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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