名称:塩化亜鉛
CAS番号:7646-85-7
物質ID: | 25B0004 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成25年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC(2002))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC(2002))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC(2002))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度:432 g/100 g(25℃)very good(ICSC(2002))という情報があり、水と激しく反応しないことが認められている。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 所定の試験によるデータがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機物質である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
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警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50=1,100 mg/kg bw(EU-RAR(2004), DFGOT vol.18(2002))、LD50=350 mg/kg bw(EPA Pesticides(1992))より区分4とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、旧分類の根拠であるIUCLIDの結果は「LDLo」であったため不採用とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 |
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危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験で、背部皮膚に本物質0.5 mL(脱イオン水での1%懸濁液)を開放および閉塞適用した結果、いずれも全例(4/4)に重度の刺激性がみられた。開放適用の試験では、表皮及び真皮浅層に、錯角化症、角化亢進、炎症性変化、濾胞上皮の棘細胞増生がみられ、閉塞適用の試験ではさらに、赤斑及び潰瘍もみられた(EU-RAR(2004))。EU-RAR(2004)には、「ECクライテリアでは、本物質は皮膚腐食性物質に分類されている」と記載されており、「この試験結果はガイドライン準拠によるものではないが、「classification and labeling(R34)」を正当化する」と結論している。本物質は、EU DSD分類において「R34」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
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危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
事故で眼に濃縮塩化亜鉛のばく露を受けたヒトの報告が2例ある(EU-RAR(2004))。浮腫に次いで永続的な角膜瘢痕化に至り、回復に6〜28週を要したとの記述(EU-RAR(2004))、「本物質は腐食性物質である」との記述に基づき区分1とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトではんだ液による職業性喘息が報告されている(DFGOT vol.18(2002))が、塩化アンモニウムにもばく露されているので原因不明。よって、データ不足のため分類できないとした。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、塩化亜鉛について、マウスを用いたin vivo骨髄染色体異常試験で陽性知見が報告されているものの、より高用量を用いた硫酸亜鉛によるマウスあるいはラットの染色体異常試験、小核試験、優性致死試験では陰性であること、及び、亜鉛化合物の生物活性は亜鉛陽イオンによると考えられることから、証拠の重みづけに基づき、塩化亜鉛がin vivo 遺伝毒性物質とはみなされていない(EU-RAR(2004))。なお、in vitroでは、細菌を用いる復帰突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陰性、極めて高用量によるヒトリンパ球を用いた小核試験で陽性と報告されている(NITE初期リスク評価書(2008)、EU-RAR(2004)、EHC(2001))。なお、旧分類ではラットおよびマウスを用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)を陽性としているが、今回は EU-RAR(2004)、EHC(2001)で信頼性に疑問を呈しているため陽性と判断しなかった。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 米国EPAによりIに分類されている(IRIS(2005))ことに基づき、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、マウスを用いた生殖毒性試験において生殖毒性(妊娠率、産児数、出生率の低下)が認められたが、雌親動物が10例中2〜5例死亡し、肝臓及び脾臓重量の減少が見られる母動物毒性が顕著なため、(NITE 初期リスク評価書(2008))分類の根拠としなかった。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器) |
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危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器) |
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトにおいて、塩化亜鉛のヒュームによる吸入ばく露で、一過性の気道刺激性症状から重度の呼吸器障害(慢性病変)をきたすことが報告されている(NITE初期リスク評価書(2008))。また、軍人が訓練中に塩化亜鉛に吸入ばく露され、重度の急性呼吸不全(ARDS)をきたし死亡例が生じたとの報告(PATTY(6th, 2012))、同じく吸入ばく露により、間質性肺線維症を生じ、呼吸不全により死亡した例など、致死的な呼吸器障害例も見られるとの記述から、区分1(呼吸器)に分類した。旧分類で標的臓器とされた「肝」、「膵」についてはEHC 221(2001)に該当する知見は確認できなかった。また、他の評価書(EU-RAR(2004)、NITE初期リスク評価書(2008)など)にもこのような記述がないため、標的臓器から削除した。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。旧分類に用いたDFGOT vol.18(2002)のマウスのデータは塩化亜鉛単体による吸入ばく露データではなく、ヘキサクロロエタン、硝酸カリウム、酸化亜鉛などを含む多種混合物での吸入ばく露データであり、分類根拠として採用するのは適切ではない。その他の評価書(NITE初期リスク評価書(2008)、EU-RAR(2004))にもZnCl2単体による信頼性のある反復ばく露のデータはない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
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警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
珪藻類(ニッチア)による72時間EC50=0.065 mg Zn/L(本物質換算値: 0.135 mg/L)(EHC 221, 2001、NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
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警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
金属化合物で水中での挙動が不明であり、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 15.6 μg Zn/L(本物質換算値: 32.5μg/L)(EU-RAR, 2010)から、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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