GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 67-63-0
名称 イソプロピルアルコール
物質ID 25B0016
分類実施年度 平成25年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点12℃(closed cup)、沸点82.3℃(HSDB(Access on July 2013))に基づいて区分2とした。
なお、国連分類はUN1219、クラス3、PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が399℃(HSDB(Access on July 2013))であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していない。分類ガイダンスに従い分類を見直した。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50=4,384 mg/kg(EPA Pesticides(1995))、4,396 mg/kg(EHC 103(1990))、4,710 mg/kg(EHC 103(1990)、PATTY(6th, 2012)、SIDS(2002))、5,000 mg/kg(環境省リスク評価第6巻(2006))、5,045 mg/kg(環境省リスク評価第6巻(2006))、5,280 mg/kg(EHC 103(1990)、SIDS(2002))、5,300 mg/kg(PATTY(6th, 2012))、5,480 mg/kg(EHC 103(1990)、PATTY(6th, 2012))、5,500 mg/kg((EHC 103(1990)、SIDS(2002))、5,840 mg/kg(PATTY(6th, 2012)、SIDS(2002))に基づき、区分外とした。
今回の調査で入手したEPA Pesticides(1995)、PATTY(6th, 2012)、環境省リスク初期評価第6巻(2006)の情報を追加し、JIS分類基準に従い、区分5から区分外に変更した。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50=12,870 mg/kg(EHC 103(1990),(PATTY(6th, 2012),(SIDS(2002))に基づき、区分外とした。なお、文献の優先度変更により、今回の調査で入手したPATTY(6th, 2012)のデータを根拠データとした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
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- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外
-
-
- - ラットのLC50(4時間)=68.5 mg/L(27,908 ppmV)(EPA Pesticides(1995))、72.6 mg/L(29,512 ppmV)(EHC 103(1990), SIDS(2002))に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(53,762 ppmV(25℃))の90%より低いため、分類にはミストを含まないものとしてppmVを単位とする基準値を適用した。なお、今回の調査で入手したEPA Pesticides(1995)のデータを根拠とした。今回の調査で得たより信頼性の高い情報源から分類した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - EHC 103(1990)、PATTY(6th, 2012)、ECETOC TR66(1995)のウサギ皮膚刺激性試験では、刺激性なし又は軽度の刺激性の報告があるが、EHC 103(1990)のヒトでのボランティア及びアルコール中毒患者の治療のため皮膚適用した試験では刺激性を示さないとの報告から、軽微ないし軽度の刺激性があると考えられ、JIS 分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
EHC(1990)、SIDS(2002)、PATTY(6th, 2012)、ECETOC TR48(1998)のウサギでの眼刺激性試験では、軽度から重度の刺激性の報告があるとの記述があるが、重篤な損傷性は記載されていないことから、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoでは、体細胞変異原性試験であるマウスの骨髄細胞を用いる小核試験(SIDS(2002))、ラットの骨髄細胞を用いる染色体異常試験(EHC 103(1990))で陰性の結果が報告されている。in vitroでは、染色体異常試験のデータはなく、細菌を用いる復帰突然変異試験(SIDS(2002)、EHC 103(1990))、哺乳類培養細胞を用いるhgprt遺伝子突然変異試験(SIDS(2002))で陰性である。なお、IARC 71(1999)、環境省リスク評価第6巻(2008)では変異原性なしと記載している。分類ガイダンスの改訂により区分を変更した。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - IARC 71(1999)でグループ3、ACGIH(7th, 2001)でA4に分類されていることから、分類できないとした。分類ガイダンスの改訂により区分を変更した。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ラットの経口投与による2世代試験では生殖発生毒性は認められなかったとの記述がある(IARC 71(1999)、EHC 103(1990))が、このデータの詳細は明らかではない。比較的新しいラットの経口投与による2世代試験では親動物に一般毒性影響(肝臓及び腎臓の組織変化を伴う重量増加)が認められる用量で、雄親動物に交尾率の低下、児動物には生後に体重の低値及び死亡率の増加が見られたと記述されている(PATTY(6th, 2012))、SIDS(2002))。雄親動物における交尾率の低下と新生児への有害影響は、親動物への一般毒性による二次的・非特異的な影響とは考えがたい。また、妊娠雌ラットに吸入暴露した発生毒性試験において、胎児には軽微な影響(体重低値、骨格変異)が見られたのみで、奇形の発生はなかったが、母動物毒性(不安定歩行、嗜眠、摂餌量及び体重増加量減少)がみられる用量で着床不全、全胚吸収など生殖毒性影響がみられている(PATTY(6th, 2012))。以上の結果、分類ガイダンスに従い区分2に分類した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、全身毒性)、区分3(気道刺激性)



危険
警告
H370
H335
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
SIDS(2002)、EHC 103(1990)、環境省リスク評価第6巻(2005)の記述から、本物質はヒトで急性中毒として中枢神経抑制(嗜眠、昏睡、呼吸抑制など)、消化管への刺激性(吐き気、嘔吐)、血圧、体温低下、不整脈など循環器系への影響を含み、全身的に有害影響を生じる。また、吸入ばく露により鼻、喉への刺激性(咳、咽頭痛)を示す(EHC 103(1990)、環境省リスク評価第6巻(2005))ことから、気道刺激性を有する。以上より、区分1(中枢神経系、全身毒性)、及び区分3(気道刺激性)に分類した。なお、旧分類では区分1(腎臓)を採用したが、根拠となるデータはList 3の情報源からのヒトの症例報告によるもので、原著は古く、List 1及び2の複数の情報源では採用されておらず、標的臓器としての腎臓は不適切と判断し削除した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系)、区分2(呼吸器、肝臓、脾臓)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
ラットに本物質の蒸気を4ヶ月間吸入ばく露試験で、100 mg/m3(ガイダンス値換算濃度: 0.067 mg/L/6 hr)以上で白血球数の減少が見られ、500 mg/m3(ガイダンス値換算濃度: 0.33 mg/L/6 hr)群では呼吸器(肺、気管支)、肝臓、脾臓に病理学的な影響が認められた(EHC 103(1990))との記述から、標的臓器は血液系、呼吸器、肝臓、脾臓であると判断し、血液は区分1、呼吸器、肝臓、脾臓は区分2とした。なお、吸入又は経口経路による動物試験において、区分2のガイダンス値を上回る用量で、麻酔作用、血液系への影響がみられている(SIDS(2002)、PATTY(6th, 2012))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。旧分類のデータが確認できないことと、分類ガイダンスの変更により分類を見直した。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
-
-
- - 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 > 1000 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 > 1000 mg/L、魚類(メダカ)96時間LC50 > 100 mg/L(いずれも環境庁生態影響試験, 1997)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:86%(既存点検, 1993))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC > 100 mg/L(環境庁生態影響試験(1997)、環境省リスク評価(2008))であることから、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急性毒性が区分外であり、難水溶性ではない(In water, infinitely soluble at 25 ℃、HSDB, 2013)ことから区分外となる。
以上の結果から、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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