GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-31-6
名称 無水マレイン酸
物質ID 25B0026
分類実施年度 平成25年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。分類ガイダンスに従い分類を見直した。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 自己反応性に関連する原子団(不飽和結合)を有するが、国連分類UN2215、クラス8に分類されており、上位の自己反応性化学品には該当しない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 発火点が477℃(ICSC(1997))であり、常温では発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点53℃(ICSC(1997))。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 融点が55℃以下の固体ではあるが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として対象とした13件のデータ[ 235 mg/kg(雌)(DFGOT vol.4(1992))、400 mg/kg(NITE初期リスク評価書(2008)、DFGOT vol.4(1992)、CICAD 75(2009))、409 mg/kg(雄)(DFGOT vol.4(1992))、495 mg/kg、824 mg/kg、840 mg/kg、850 mg/kg、900 mg/kg(DFGOT vol.4(1992))、1.03 g/kg(雄)、1.09 g/kg(SIDS(2007))、1,050 mg/kg(DFGOT vol.4(1992))、1,100 mg/kg(DFGOT vol.4(1992))、約1g/kg(ACGIH(7th, 2011)、SIDS(2007))]は、1件が区分3、12件が区分4に該当することから、該当数の多い区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギを用いた LD50=2,620 mg/kg(DFGOT vol.4(1992)、ACGIH(7th, 2011)、CICAD 75(2009)、SIDS(2007))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。なお、今回の調査で入手した情報(ACGIH(7th, 2011)、CICAD 75(2009)、SIDS(2007))に基づき分類した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
DFGOT vol.4(1992)のウサギを用いた皮膚刺激性試験データの記述に、4時間適用の結果ではないが、「水で湿潤粉末の適用で壊死を生じた」とある。また、SIDS(2007)には、ウサギを用いた4時間適用の皮膚刺激性試験で「重度の刺激性」との記載がある。さらに、本物質は、EU DSD分類において「C; R34」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。今回の調査で入手した SIDS(2007)と、EU DSD分類及びEU CLP分類を追加した。細区分の情報(ウサギのドレイズ法またはヒトでの知見が軽微で7日以内に回復することを示す情報)が得られなかったため「区分1」に変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
DFGOT vol.4(1992)のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に「重度の刺激性と、時に非可逆性の損傷がみられた」、及び、ACGIH(7th, 2011)のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に「重度で永続的なうっ血と、角膜内血管進入がみられた」との記載がある。また、SIDS(2007)には、ウサギを用いた眼刺激性試験で「重度の刺激性」との記述があり、NITE初期リスク評価書(2008)には、ウサギを用いた別の眼刺激性試験で、「結膜嚢への適用の結果、腐食性がみられた」との記述がある。さらに、本物質は皮膚腐食性物質であり、EU DSD分類において「C; R34」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
本物質は産衛学会勧告(2012)において「呼吸器感作性物質第2群」に、ACGIH(7th, 2011)において「Sensitizer(SEN)」に、DFG vol.11(1998)において「Sah」に、EU DSD分類において「R42/43」、EU CLP分類において「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている。さらに日本職業・環境アレルギー学会特設委員会(2004)が気道感作性物質として報告していることから、区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
本物質は産衛学会勧告(2012)において「皮膚感作性物質第2群」に、ACGIH(7th, 2011)において「Sensitizer(SEN)」に、DFG vol.11(1998)において「Sah」に、EU DSD分類において「R42/43」、EU CLP分類において「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。さらに、CERIハザードデータ集(2001)のモルモットを用いたマキシマイゼーション法の結果の記述に「陽性」とあり、また、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会(2004)が皮膚感作性物質として報告していることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いる染色体異常試験で陰性である(NITE初期リスク評価書(2008)、SIDS(2007)、ACGIH(7th, 2011)、DFGOT vol.4(1992))。一方、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験(NITE初期リスク評価書(2008)、SIDS(2007)、ACGIH(7th, 2011)、DFGOT vol.4(1992)、NTP DB(Access on July 2013))で陰性であるが、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験で陽性である(SIDS(2007)、NITE初期リスク評価書(2008))。なお、この陽性結果は詳細不明であり不確かと評価されている(SIDS(2007))。分類ガイダンスの改訂により区分を変更した。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - ACGIHでA4に分類されている(ACGIH(7th, 2011))ことから、分類できないとした。分類ガイダンスの改訂により区分を変更した。
7 生殖毒性 区分外
-
-
- - ラットに経口投与した2世代生殖毒性試験において、親動物に死亡、体重増加抑制など顕著な毒性が発現する用量まで親動物の生殖毒性及び児動物の発生影響は認められなかった(NITE初期リスク評価書(2008)、SIDS(2007)、DFGOT vol.4(1992))との記述、並びにラットの経口投与による催奇形性試験において、母動物毒性(体重増加抑制、体重減少)が発現する用量でも胎児には影響がみられなかった(NITE初期リスク評価書(2008)、SIDS(2007)、ACGIH(7th, 2011)、DFGOT vol.4(1992))との記述から、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、消化管、肝臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトでは鼻、喉に刺激性を示し(NITE初期リスク評価書(2008)、環境省リスク評価第2巻:暫定的有害性評価シート(2003))、重篤な症例では気管支炎、気腫(環境省リスク評価第2巻:暫定的有害性評価シート(2003))、喘息を生じることがある(環境省リスク評価第2巻:暫定的有害性評価シート(2003)、DFGOT vol.4(1992))との記述より、区分1(呼吸器)に分類した。一方、実験動物ではラット又はイヌの経口投与で消化管粘膜刺激による消化管の急性炎症、吐血、血便、並びにラットの経口投与で肺、肝臓の出血が区分1のガイダンス値の用量(180-256 mg/kg)でみられた(NITE初期リスク評価書(2008)、DFGOT vol.4(1992))との記述から、区分1(消化管、肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、血液系)、区分2(腎臓)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでは吸入による職業ばく露で呼吸器症状(咳、鼻炎、息苦しさ、喘鳴)が見られたとの報告(NITE初期リスク評価書(2008))がある。また、吸入による職業ばく露を受けたヒトで溶血性貧血を生じた症例が報告されており(ACGIH 7th, 2011))、一試験のみの所見であるが、実験動物(ラット4週間混餌投与)でも貧血所見がみられており(NITE初期リスク評価書(2008))、ヒトでの溶血性貧血は本物質反復ばく露による影響と判断した。この他、実験動物ではラットの90日間経口(混餌)投与試験において、区分2のガイダンス値上限の用量(100 mg/kg/day)で腎臓への影響(腎臓の腫大、褪色、尿細管のびまん性拡張、変性など)が、また、ラット、ハムスター、サルの6ヶ月間吸入ばく露試験において、区分1のガイダンス値の範囲内の濃度(ガイダンス値換算濃度: 0.001 mg/L)で鼻腔粘膜への影響(粘膜上皮の化生または過形成、炎症)が認められた(NITE初期リスク評価書(2008))。以上より、区分1(呼吸器、血液系)、区分2(腎臓)に分類した。なお、旧分類はList 2, 3の情報源を主体に分類しており、今回はList 1の情報源を基に分類したため、分類結果が一部変更された(旧分類より区分2(肝臓、脾臓)を削除)。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
魚類(ニジマス、ブルーギル)の96時間LC50 = 75 mg/L(SIDS, 2007)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
-
-
H412 P273
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる分解度:54.8%(既存点検, 1975))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 150 mg/L(SIDS, 2007)であることから、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる分解度:54.8%(既存点検, 1975))、魚類(ニジマス、ブルーギル)の96時間LC50 = 75 mg/L(SIDS, 2007)であることから、区分3となる。
以上の結果を比較し、区分3した。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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