項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 75-65-0 |
名称 | tert-ブタノール |
物質ID | 25B0053 |
分類実施年度 | 平成25年度 |
分類実施者 | 厚生労働省、環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成22年度 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | GHS分類ガイダンス |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。ただし、融点が25.6℃のため、高温下では液体状となり、引火点11℃(密閉式)(ICSC(2008))、沸点83℃(ICSC(2008))であることから、液体であれば区分2に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 区分1 |
危険 |
H228 |
P370+P378
P210 P240 P241 P280 |
引火点11℃(密閉式)(ICSC(2008))というデータがあり、着火源との接触により容易に着火し、燃焼すれると考えられ、区分1と判断した。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点が470℃(ICSC(2008))であり、常温では発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素及び水素以外の元素と結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 区分外 |
- |
- | - | 本物質は融点が55℃以下の固体であり試験は可能であるが、データはない。ただし、液体として輸送される際に、鋼、アルミニウムは容器として適している(ホンメル(1996))という情報があることから、区分外と判定した。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、2,298 mg/kg(雌)、3,046 mg/kg(雄)(NITE有害性評価書(2007))、3,500 mg/kg(ACGIH(7th, 2001)、NTP TR436(1995)、NTP TR53(1997)、PATTY(6th, 2012))、2,200-3,500 mg/kg(DFGOT vol. 19(2003))の報告に基づき、区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kgの報告(NITE有害性評価書(2007)、PATTY(6th, 2012))及びウサギへの2,000 mg/kg適用試験で死亡が認められなかったとの記載(DFGOT vol.19.(2003))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | ラットLC50値(4時間)として、> 10,000 ppm(雌雄)(NITE有害性評価書(2007)、> 14,100 ppm(PATTY(6th, 2012))の報告があるが、これらのデータでは区分4か区分外かを判定できないため、分類できないとした。なお、GHSの定義における固体であるが、融点25℃(ICSC(2008))、蒸気圧40.7 mmHg(25.6℃)(HSDB(Access on September 2013))との報告があり、蒸気吸入が考えられ、これらの試験濃度(10,000 ppm、14,100 ppm)はいずれも飽和蒸気圧濃度(53,553 ppm)より低いので、粉じん/ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - | DFGOT vol. 19(2003)には、ウサギに無希釈の試験物質0.5 mLを適用した試験で2-4時間あるいは24時間後に刺激性は認められず、皮膚刺激性指数が0.4であったとの報告がある。NITE有害性評価書(2007)には、ウサギの皮膚に試験物質0.5 mLを適用した試験で軽度の皮膚刺激性がみられたとの報告がある。また、ACGIH(7th, 2001)には、5人のヒト被験者に適用した試験で、適用部位に軽度の紅斑と充血が認められたとの報告がある。以上の情報に基づき、区分外(国連分類基準の区分3又は区分外)とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
NITE有害性評価書(2007)には、ウサギの眼一次刺激性試験において、100 μLの適用で投与後96時間の判定において強度(未洗眼)・中等度(洗眼)の眼刺激性が報告されており、6匹中2匹の動物において、投与後34日においても角膜傷害が持続していたとの記述がある。また、DFGOT vol. 19(2003)には、ウサギの試験で、眼に無希釈の試験物質を適用後96時間までの間に中等度の刺激性が観察され、誘発された角膜傷害の回復は緩やかであったこと、また眼を洗浄しない場合の刺激性は重度であったとの記述がある。本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/R38」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。以上の情報に基づき区分2Aとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | DFGOT vol. 19(2003)には、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験(OECD TG 406)で感作性は認められなかったとの結果と、陽性率が25-30%で、「陽性」とはみなされない(GHS文書では30%以上(アジュバンド使用)の反応で陽性と考えられているため)結果が報告されている。一方、ヒトでは本物質を含む日焼け止め液により、顔、頚部、腕及び胸部に広範な掻痒性の発赤、小胞発疹を起こした男性1人に対し本物質の70%溶液をパッチテストした結果、紅斑と水泡がみられたとの報告(NITE有害性評価書(2007))や本物質は重大な感作性を有すると結論できない(DFGOT vol. 19(2003))と記載されている。以上の情報では、明確に感作性の有無を判断できないことから、分類できないとした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラットの骨髄細胞及びマウスの骨髄細胞及び末梢血赤血球の小核試験で陰性(NITE有害性評価書(2007)、NTP TR436(1995)、NTP DB(Access on September 2013))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験及び染色体異常試験で陰性である(NITE有害性評価書(2007)、NTP TR436(1995)、IUCLID(2000))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、本物質は、ACGIH(1994)でA4に分類されているが、他の国際機関による発がん性評価はない。なお、本物質の2年間経口投与(飲水)によるマウス及びラットの発がん試験で、雌マウスの 20 mg/mL群において甲状腺の濾胞細胞腺腫の有意な発生率増加、雄ラットの 2.5 mg/mL群で尿細管腺腫と腺がんを合わせた発生率の有意な増加がみられている(NITE有害性評価書(2007)、NTP TR436(1995))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ラットを用いた経口経路(強制)生殖発生スクリーニング試験(OECD TG 421)において、親動物に一般毒性(雄で腎臓重量増加、雌で投与2-4週間の間、一過性の傾眠、運動失調)がみられる用量で妊娠期間の延長がみられ、さらに親動物に肝臓重量増加(雄)、雌で妊娠期間中の体重増加抑制がみられる用量で死産児数増加、生存児数減少、生存児低体重、平均同腹児数の低下がみられている(NITE有害性評価書(2007))こと、マウスの妊娠6~20日に混餌投与により用量依存的な同腹児数低下と死産児数増加がみられている(NTP TR53(1997)、NITE有害性評価書(2007)、DFGOT vol.19(2003))こと、さらに、ラットの妊娠8日~出生までの混餌投与により、親動物で体重増加抑制が認めらた用量で分娩時体重減少、生後の体重増加抑制、同腹児数低下、周産期及び生後の死亡率増加が示されている(DFGOT vol.19(2003))ことに基づき、区分2とした。なお、親動物の性機能及び生殖能に対する悪影響、及び児の発生における催奇形性は認めれていない(NITE有害性評価書(2007)、DFGOT vol.19(2003))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(麻酔作用、気道刺激性) |
警告 |
H336
H335 |
P304+P340
P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
ラットに経口投与(4,000-6,000 mg/kg)による中枢神経系の抑制(ACGIH(7th, 2001))、ウサギに経口投与あるいはラットに吸入ばく露による麻酔作用(ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.19(2003)、NITE有害性評価書(2007)、PATTY(6th, 2012))がそれぞれ認められ、高濃度の蒸気ばく露による昏睡がみられた(NIOSH Publications 81-123(1978))。一方、無嗅覚のヒトでは約2秒間のばく露で鼻に刺激性がみられる(DFGOT vol.19(2003))との記載があり、EU分類ではR36/37に区分されている。以上の知見に基づき区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。これらの所見の他に、ラットに1,850 mg/kgを経口投与による肝臓のトリグリセライド濃度の増加(ACGIH(7th, 2001)、NTP TR53(1997))があるが、さらに高用量の経口投与(4,000-6,000 mg/kg)によりトリグリセライド、コレステロール、リン脂質に変化は認められなかった(ACGIH(7th, 2001))と記載がある。したがって、肝臓の所見に関してはデータの一貫性を欠き、また、病理組織学的裏付けがないため分類根拠としなかった。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない |
- |
- | - | ラット及びマウスの13週間及び2年間経口(飲水)投与試験において、区分2のガイダンス値範囲内の用量までは毒性影響はみられず、区分外の高用量(200 mg/kg/day以上)ではラット、マウスとも膀胱(移行上皮の過形成、炎症)に、加えて区分外の用量でラットで腎臓(石灰化、慢性腎症(雌雄ともにみられたが、雄では雄ラット特異的な硝子滴の増加を伴っていた))、マウスで甲状腺(濾胞上皮細胞の過形成)に影響がみられた(NTP TR436(1995)、NITE有害性評価書(2007))。また、吸入経路では、ラット又はマウスに蒸気を13週間吸入ばく露した試験において、区分2のガイダンス値を超える高濃度(1080 ppm = 3.2 mg/L)でラットでは赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少、肝臓及び腎臓重量の増加が、マウスでは死亡、体重増加抑制がみられている(NTP TR53(1997)、NITE有害性評価書(2007))。なお、ラットでは区分2の範囲内の濃度(135 ppm = 0.41 mg/L)から用量依存的な腎症の重篤度の増加が雄のみにみられたが、ラット13週間経口投与でも雄では腎症の重篤度の増加と共に硝子滴の増加がみられており、α2u-グロブリンによる雄ラット特異的な現象と考えられた。以上より、経口及び吸入経路では区分外相当であるが、経皮ばく露による毒性情報がなく、データ不足のため分類できないとした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 |
- |
- | - | 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 > 110 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 > 110mg/L、魚類(メダカ)96時間LC50 > 120 mg/L(いずれも環境省生態影響試験, 2009)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性でない(BODによる分解度:2.5%(既存点検, 1977)が、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 110 mg/L(環境省生態影響試験, 2009)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類の急性毒性が区分外相当であり、難水溶性ではない(miscible、ICSC, 2008)ことから、区分外となる。 以上の結果から、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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