GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 141-43-5
名称 2-アミノエタノール (再分類)
物質ID H26-B-007, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成19年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4
-
警告
H227 P370+P378
P403+P235
P210
P280
P501
引火点85℃ (closed cup)、沸点171℃ (ICSC (2014)) に基づいて区分4とした。
なお、国連分類はUN2491、クラス8、PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が410℃ (ICSC (2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、1,720 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on May 2014))、3,320 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、ACGIH (7th, 2001))、10,200 mg/kg、20,000 mg/kg、1,515-3,320 mg/kg (DFGOT vol. 12 (1999))、500-20,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) との6件の報告がある。分類ガイダンスに基づき、最も多くのデータが該当する区分外とした。(1件が区分4、3件が区分外 (うち1件が国連分類基準の区分5) に該当する。また、2件は複数データの集約であるため該当数に含めなかった。)
新たな情報 (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on May 2014)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 12 (1999)、NITE初期リスク評価書 (2008)) を追加し、ガイダンスの改訂により、最も多くのデータが該当する区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P280
P312
P321
P362
P364
P501
ウサギのLD50値として、1,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、1,018 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第9巻 (2011))、1,025 mg/kg (DFGOT vol. 12 (1999)) との3件の報告がある。分類ガイダンスに基づき、最も多くのデータが該当する区分4とした。(1件が区分3、2件が区分4に該当する。)
新たな情報 (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、DFGOT vol. 12 (1999)) を追加し、ガイダンスの改訂に基づき、最も多くのデータが該当する区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、飽和蒸気をラットに8時間ばく露 (4時間換算値:739 ppm) した結果、中毒症状がみられなかったとの報告 (DFGOT vol. 12 (1999)) がある。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギの皮膚に原液を1分間又は5分間適用後洗浄した試験において、適用1日後に皮膚に出血と適用時間に依存した発赤、壊死がみられ、8 日以後は、鱗屑の形成がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008))。また、別のウサギの皮膚に原液を適用した2試験及びウサギの耳介に適用した1試験においていずれも適用部位に壊死が認められた (NITE初期リスク評価書 (2008))。また、ヒトのボランティアに1.5 時間半閉塞経皮適用した試験で、発赤、浮腫が認められたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から区分1Aとした。なお、本物質はEU DSD分類において「C; R34」、EU CLP分類において「H314 Skin corr. 1B」に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギを用いた眼刺激性試験において、原液投与により瞬膜から結膜、眼瞼の縁にかけての重度の化学火傷や、角膜混濁、重度の浮腫が認められ、8日後に回復しなかった (NITE初期リスク評価書 (2008))。また、別のウサギを用いた2件の眼刺激性試験においても重度の刺激性が認められている (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から、区分1とした。なお、ヒトの眼に 30 %の水溶液を一滴点眼した試験で、一時的な刺激性と充血が認められたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 金属用腐食防止剤として使われている 本物質1mg/m3以上に吸入ばく露された作業者に、上部呼吸器の炎症、慢性の気管支炎がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告がある。また、本物質を含むヘアケア製品によって喘息発作を起こした14人に対しエアロゾル吸入誘発試験を実施した結果、全員に陽性反応がみられたとの記載がある (BUA 202 (1996))。しかし、BUA 202 (1996) では職業ばく露においてみられる症状がモノエタノールアミン単独に由来するとは明らかにはされていないと結論している。以上から、上記のヒトデータは本物質単一のばく露と発生症状の間の関連性を決定するための条件と結果が不足しているヒト事例であり、分類に用いるには不十分なデータと判断した。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
モルモットを用いた皮膚感作性試験において、中程度の感作性 (4/5匹) がみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。また、疫学情報では本物質を含む水溶性オイルを使用している施盤工作業者に対するパッチテストで強い陽性結果がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008))。また、金属用腐食防止剤として使われている本物質の蒸気に1-3 年間ばく露された104人の作業者 (男性 64人、女性 40人) に、アレルギー性皮膚疾患、湿疹が認められたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。 以上の結果から区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの小核試験で陰性 (初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、DFGOT vo.12 (1999))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性 (初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、DFGOT vo.12 (1999)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on July 2014)) である。In vitro遺伝子突然変異試験のデータはない。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 国際機関等による発がん性分類はない。なお、F344ラット雌雄の2年間飲水投与発がん性試験 (0、800、2,400 or 7,200 ppm (w/w)) 及び B6D2F1マウス雌雄の2年間飲水投与発がん性試験 (0、800、2,000 or 5,000 ppm (w/w)) でいずれも発がん性は認められなかった (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on May 2014))。その他のデータはない。したがって、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた経口経路での催奇形性試験 において母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量 (450 mg/kg bw/day) においても、胎児、新生児に異常はみられていない。妊娠マウスに妊娠6-15日に強制経口投与し分娩させた試験では、母動物毒性 (16%が死亡し、活動低下、円背姿勢、努力性呼吸又は頻呼吸、喘鳴、稀に振戦、立毛、腟からの血性分泌物などがみられ、出産3日後の体重の有意な減少) がみられる用量 (850 mg/kg bw/day) において、出産率の有意な低下がみられたが同腹児数、児の生存率、出生時体重及び体重増加に影響はみられていない (環境省リスク評価第9巻 (2011))。
なお、このほかにMankes (1986) によるラットを用いた経口経路での催奇形性試験において母動物毒性がみられない用量において胚/胎児毒性 (吸収胚又は胎児死亡、低体重)、変異や奇形 (胸骨の変異、腎症/水尿管症) の増加がみられたとの報告があるが、GLPのもとで実施した他の試験結果との間に大きな差があり、その原因として、安全性評価を意図した実験計画でないこと、1 群の動物数が10匹と少ないこと、奇形分類が一般的でないこと、通常の発達段階の腎臓所見も異常としていることなどが指摘されている (環境省リスク評価第9巻 (2011))。したがって、この報告はGHS分類に用いなかった。
以上のように、催奇形性は認められていないが、生殖能に関する情報が得られていないため分類できないとした。


8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
ヒトにおいては、吸入ばく露で、咳、頭痛、息切れ、咽頭痛、嘔吐、脱力感、眩暈、上腕のしびれ、胸の痛み、1 mg/m3以上の吸入ばく露で上部呼吸器の炎症、慢性の気管支炎、急性肝障害から慢性肝炎の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、DEFGOT vol.12 (1999))、また、経口摂取では腹痛、灼熱感、ショック・虚脱、中枢神経系に影響を与え、意識低下を引き起こす (環境省リスク評価第9巻 (2011))。
実験動物では、経口経路で、無気力、運動減少、よろめき歩行、間代性及び強直性痙攣、呼吸困難、腹臥位、運動神経麻痺、過度の緊張、鎮静、筋の震え、遅発性死亡の報告があり、剖検結果では肝実質細胞壊死の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、BUA 202 (1996))。これらの症状はガイダンス値の区分2又は3に相当する範囲でみられた。さらに、本物質は呼吸器刺激性物質であり、神経毒性物質であるとの記載 (PATTY (6th, 2012)) がある。
以上より、実験動物においては症状はガイダンス値の区分2又は3に相当する範囲でみられているが、ヒトへの影響を重視し、区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓)、区分3 (麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分2 (呼吸器)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでは分類に利用可能なデータはなかった。実験動物については、ラットの13週間混餌投与試験 (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 12 (1999)、PATTY (6th, 2012))、ラット及びマウスの13週間及び104週間飲水投与試験 (厚労省委託がん原性試験 (Access on May 2014)) において、いずれも区分2をはるかに超える用量で、主に腎臓への影響 (重量増加、血中尿素窒素増加、尿タンパク陽性、腎乳頭変性/壊死) がみられたに過ぎず、経口経路では区分外相当と考えられた。
吸入経路ではラット、モルモット、イヌに本物質蒸気を濃度及びばく露期間を可変させ、いずれも24時間/日吸入ばく露した試験 (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT (vol. 12, 1999)、環境省環境リスク評価第9巻 (2011)、PATTY (6th, 2012)、記述内容は原著 (Weeks, M. H. et al. (1960)) で確認した) において、ラット及びイヌでは12-15 mg/m3を40日間、又は60日間ばく露 (ガイダンス値換算: 0.021-0.04 mg/L/6 hr) で活動性低下が、ラット、モルモット、イヌに29-64 mg/m3を90日間ばく露 (ガイダンス値換算: 0.12-0.26 mg/L/6 hr) で嗜眠がみられ、中枢神経系への影響が区分1の範囲で認められた。また、高濃度ばく露群ではラットへの162 mg/m3の30日間ばく露、並びにモルモットへの184 mg/m3の24日間ばく露で、死亡例が多発 (ラットで83% (37/45例)、モルモットで75% (23/30例)) し、死亡例を含む病理学的検査で消化管、肝臓、腎臓、肺、骨髄、精巣に肉眼ないし組織変化が認められたが、これらは死後変化を含む所見の可能性がある、又は全身的に疲弊した状況でみられる消耗性変化の可能性が考えられ、標的臓器の対象外とした。なお、標的臓器(単回ばく露)の項に記述したように、本物質が呼吸器刺激性物質であることから、反復ばく露の標的臓器としても、区分1(中枢神経系)に加えて区分2 (呼吸器) を追加した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため、分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
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11 水生環境有害性(長期間) -
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- - -
12 オゾン層への有害性 -
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- - -


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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