GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 64-18-6
名称 ぎ酸  (再分類)
物質ID H26-B-029, R-065
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点50℃ (closed cup) (HSDB (Access on July 2014)) に基づいて区分3とした。

7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が520℃ (ICSC (1997)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P362+P364
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、700 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011))、1,100 mg/kg (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))、1,830 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、730-1,830 mg/kg (DFGOT vol. 19 (2003))、1,100-1,850 mg/kg (NTP TR19 (1992)) との報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
ラットのLC50値 (4時間) として、7.4 mg/L (=3,929 ppm) との報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011)、DFGOT vol. 19 (2003)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (42,162 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。

1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、腐食性及び強度の刺激がみられた (DFGOT vol. 19 (2003)、IUCLID (2000)) との報告や、ヒトの皮膚に対して腐食性を示すとの記載が多数ある (SIDS (2011)、 NTP TR19 (1992)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1978)、環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)) ことから、区分1とした。なお、本物質はpH = 2.2 (at 10g/L, 20℃) (IUCLID (2000)) であり、EU DSD分類において「C: R35」、EU CLP分類において「H314 Skin Corr. 1A」に分類されている。

3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギを用いた眼刺激性試験において、刺激性あるいは腐食性がみられたとの報告 (SIDS (2011)、DFGOT vol. 19 (2003))、角膜に熱傷が生じたとの報告 (PATTY (6th, 2012)) がある。また、ヒトの眼に対して強い腐食性を示すとの記載が多数あり (SIDS (2011)、NTP TR19 (1992))、結膜炎や角膜炎を生じ、回復性のない傷害を残すとの記載がある (PATTY (6th, 2012))。以上の結果から区分1とした。なお本物質はpH = 2.2 (at 10g/L, 20℃) (IUCLID (2000)) である。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外
-
-
- - モルモットを用いたビューラー試験 (OECD TG406、GLP適合) において、感作誘発後、全投与群20匹に皮膚反応はみられず陰性であった (SIDS (2011)) との結果から、区分外とした。SIDS (2011) の情報を追加し区分を変更した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoのデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、ヒトリンパ球及び哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性であると結論されている (SIDS (2011)、PATTY (6th, 2012)、IUCLID (2000)、NTP DB (Access on July 2014)、DFGOT vol. 19 (2003))。
6 発がん性 区分外
-
-
- - 国際機関等による分類はない。個別の情報としては、ぎ酸カリウムの2,000 mg/kg/dayまでの用量で、ラット、マウス (ともに雌雄) に2年間 (ラット:104週間、マウス:80週間) 混餌投与した発がん性試験 (OECD TG 453と比較可能) の結果は陰性 (SIDS (2011)) である。また、ぎ酸カルシウムの150-200 mg/kg/dayで雌雄ラットに1.5年間飲水投与した試験 (試験条件が不十分との記載有り) で陰性 (BUA 81 (1995)) である。以上より、ラット、マウスの発がん性試験でいずれも陰性であることから「区分外」とした。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた経口経路 (飲水) での多世代生殖毒性試験において出生児の体重や体長に影響はなかったとの報告 (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、DFGOT vol. 19 (2003)) があるが1用量の試験であり評価するには情報が不十分である。また、ラットを用い7ヵ月まで1.0%の飲水投与により、児の生存率が50-67%低下したとの報告 (NTP TR19 (1992)) があるが、試験法及び結果についてそれ以上の具体的な記述がない。
マウスを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験において、妊娠10日及び18日の検査において胎児の神経管欠損に影響はみられていない (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、DFGOT vol. 19 (2003))。この試験は、メタノールが誘発する外脳症機序をぎ酸ナトリウムで調べる目的であり、投与期間がメタノールの外脳症の感受期である妊娠8日のみに限定した試験であることから、外脳症以外の催奇形性については十分な情報でないと考えられる。
以上のように、生殖毒性 (生殖能、催奇形性) に関する十分な情報がないことから分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、血液系、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質は、腐食性が強く、口、喉、食道、胃粘膜に対して傷害を引き起こす (NTP TR19 (1992))。
ヒトにおいては、経口摂取で、咽頭痛、灼熱感、腹痛、胃痙攣、嘔吐、鼻・喉頭及び胃腸管粘膜の充血、浮腫及び壊死、食道狭窄、胃穿孔、胃腸管出血、その他、嚥下困難、意識喪失、中枢神経系抑制、重篤なアシドーシス、溶血、血尿、血液凝固障害、無尿、尿毒症、急性腎不全、腎症、肝障害、血管ショック、循環器不全、肺炎、死亡が報告されている (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、BUA 81 (1995)、DFGOT vol. 19 (2003)、NTP TR19 (1992))。蒸気の吸入ばく露では、咽頭痛、咳、灼熱感、息苦しさ、意識喪失、鼻炎、気管支炎、呼吸困難、呼吸器不全、肺水腫、アシドーシス、急性腎不全、死亡がみられている (NTP TR19 (1992)、環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。経皮ばく露では、熱いぎ酸を顔に誤ってかけた作業者で、顕著な嚥下困難及び呼吸困難により6時間後に死亡 (ACGIH (7th, 2001))、3歳の少女が全身皮膚の35%以上をばく露した事故で、火傷、重篤なアシドーシスが報告されている (PATTY (6th, 2012))。その他、ばく露経路は記載されていないが、大量ばく露で視力障害、精神障害を含む中枢神経抑制 (PATTY (6th, 2012))、本物質の保存液にばく露された農夫では、重篤な循環器疾患及び腎臓疾患を生じた (PATTY (6th, 2012)) との報告がある。
実験動物では、ラットの経口投与で、円背位、呼吸困難、鼻血、血尿、低体温、病理検査で、胃、肝臓、腎臓の充血、ラットの吸入ばく露で、流涎、痛みの反射消失、呼吸困難、呼吸音、鼓腸、無気力、円背位姿勢、不安定歩行がみられている (SIDS (2011))。これらの所見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。
以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、血液系、腎臓) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2 (呼吸器)


警告
H373 P260
P314
P501
ヒトでの本物質反復ばく露による影響に関する情報はない。実験動物ではラット及びマウスに本物質蒸気を13週間吸入ばく露した試験において、標的臓器を特定可能な全身影響は認められなかったが、局所影響としてマウスでは区分1 (0.12 mg/L/6hr)、ラットでは区分2 (0.24 mg/L/6hr) に該当する濃度で、嗅上皮の変性 (ラット、マウス)、呼吸上皮の扁平化生 (ラット) がみられた (SIDS (2011)、NTP TR19 (1992)、DFGOT vol. 19 (2003)、PATTY (6th, 2012))。ヒトでの吸入ばく露による影響が不明であるため、ラット、マウスの両動物種で呼吸器への影響が共通に認められた濃度区分より、区分2 (呼吸器) に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
藻類(セネデスムス)での96時間EC50 = 25mg/L(HSDB, 2009)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急性毒性は本物質の酸で実施された試験結果で分類したが、慢性毒性については塩のデータを用いて分類する。カリウム塩を用いた藻類生長阻害試験(スケレトネマを用いた72時間ErC > 1000 mg/L)、甲殻類急性遊泳阻害試験(オオミジンコを用いた48時間EC50 = 540 mg/L)、魚類急性毒性試験(ゼブラフィッシュを用いた96時間LC50 = 1560 mg/L)においては、いずれも区分外相当(SIDS, 2011)であり、ぎ酸(水溶解度=1000000 mg/L、PHYSPROP Database 2009)及びぎ酸カルシウム(水溶解度=16 g/100 mL、ICSC, 2006)ともに難水溶性ではないことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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