GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 107-31-3
名称 ぎ酸メチル  (再分類)
物質ID H26-B-031, R-012
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分1


危険
H224 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-19℃ (closed cup)、沸点31.5℃ (HSDB (Access on June 2014)) に基づいて区分1とした。
なお、国連分類はUN1243、クラス3、PGIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が449℃ (ICSC (2010)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P362+P364
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、1,500 mg/kg との報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2008)、IUCLID (2000)) に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、> 4,000 mg/kg との報告 (PATTY (6th, 2012)、IUCLID (2000)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値 (4時間) として、> 5.2 mg/L (2,115 ppm) との報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2008)、IUCLID (2000)) がある。LC50値が飽和蒸気圧濃度:671,786 ppm の90%よりも低いので、ミストを含まないものとみなした。このLC50値からでは、区分3、区分4、区分外のいずれかを特定できないので、分類できないとした。優先度の低い情報源 (RTECS (2004)) に代えて、優先度の高い新たな情報源 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2008)、IUCLID (2000)) を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
本物質の蒸気はヒトに対して強い刺激性を持つ (PATTY (6th, 2012)) との記載がある。動物の報告では、ウサギに本物質の原液を閉塞適用した試験において、一次刺激性スコアは0.67 であったとの報告 (SIDS (2008)) や、軽度の刺激性ありとの報告がある (SIDS (2008))。以上、動物の報告では区分外相当であるが、蒸気はヒトに対して強い刺激性を持つとの記載があることから区分2に変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギに本物質の原液を適用した試験において、軽度 - 中等度の角膜混濁 (2/3匹)、グレード1の虹彩炎 (2/3匹)、グレード2の結膜の発赤 (2/3匹)、グレード1の紅斑 (2/3匹)、グレード2又は3の眼脂 (2/3匹) がみられ軽度の刺激性ありとの報告がある (SIDS (2008))。また、ウサギを用いた別の試験では、虹彩炎を伴う中等度の角膜傷害がみられ、刺激性ありとされている (SIDS (2008))。また、本物質の蒸気をモルモットにばく露した試験において刺激性がみられている (PATTY (6th, 2012))。さらにヒトの眼に対しても刺激性があるとの記載がある (PATTY (6th, 2012))。以上の結果から、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoのデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性 (SIDS (2008)、IUCLID (2000)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on July 2014)) である。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 国際機関等による分類はない。データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
ヒトにおいては、吸入ばく露で鼻の刺激性、麻酔作用、呼吸困難、高濃度ばく露では痙攣、死亡を引き起こす。また、視力障害を引き起こすとの報告もある (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2014)、PATTY (6th, 2012))。
実験動物の吸入ばく露では、ラットに粗毛、努力呼吸、あえぎ、協調運動不全、衰弱、流涙、流涎、散在性出血を伴う肺の鬱血、モルモットに鼻、気道、肺の刺激性、麻酔作用、協調運動失調、中枢神経系抑制、ネコに肺の炎症、肺水腫、経口投与では、ラットに呼吸困難、無気力、ふらつき、不活発、あえぎ、肺の出血、肝臓、脾臓、腎臓及び胃腸に変色が認められた。経皮適用ではラットによろめき、不規則呼吸を引き起こしたとの報告がある (SIDS (2008)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2014))。これらの所見は、区分1ないし区分2に相当するガイダンス値の範囲であった。なお、肝臓、脾臓、腎臓及び胃腸の変色については、具体的な情報がないため臓器毒性として採用しなかった。
以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2 (呼吸器)


警告
H373 P260
P314
P501
ヒトでの知見は急性ばく露による情報のみであった。実験動物のデータも非常に限られており、ラットに本物質蒸気を2週間吸入ばく露した試験において、1.24 mg/L (ガイダンス値換算: 0.19 mg/L/6 hr) 以上で、鼻腔上皮に組織変化 (嗅上皮の変性、扁平上皮化生、炎症細胞浸潤) が認められたとの情報のみである (SIDS (2008))。ヒトでの吸入ばく露による知見がないこと、ラット吸入ばく露試験も投与期間が短く、影響も区分1の範囲の上限濃度からみられていることから、分類は区分2 (呼吸器) とした。なお、今回の分類では新たな情報源を追加し、区分を見直した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - HSDB (Access on June 2014) の収載データより算出した常温での動粘性率は0.329 mm2/sであるが、ヒトで吸引性呼吸器有害性を誘発するとの記述はなく、炭化水素でもないことから、区分はつかない。情報不足のため、分類できないとした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
-
-
- - 藻類(Desmodesmus subspicatus)の72時間ErC50 = 1063 mg/L、 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 > 500 mg/L、魚類(Leuciscus idus)の96時間LC50 = 115 mg/L (いずれもSIDS, 2008)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
藻類、甲殻類、魚類の急性毒性は区分外相当であり、難水溶性ではない(水溶解度=230000mg/L、PHYSPROP Database, 2009)ことから、区分外となる。
以上より、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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