GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 1308-38-9
名称 酸化クロム (III)   (再分類)
物質ID H26-B-036, R-015
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性である (ICSC (2004))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性である (ICSC (2004))。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性である (ICSC (2004))。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 水に不溶という情報があり (ICSC (2004))、水と激しく反応しないことが認められている。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - ハロゲン元素を含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg、> 15,000 mg/kg との報告 (CICAD 76 (2009)) に基づき、区分外とした。新たな情報源 (CICAD 76 (2009)) を追加し、分類を見直した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - ウサギを用いた皮膚刺激性試験の報告が2件 (1件はOECD TG 404、GLP準拠) あり、両試験で刺激性がみられなかった (CICAD 76 (2009))。以上の結果から区分外とした。データの追加により区分を変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-
-
- - ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405、GLP準拠) において、眼刺激性がみられなかったとの報告がある (CICAD 76 (2009))。また、別のウサギを用いた試験においても眼刺激性はみられなかったとの報告がある (CICAD 76 (2009))。以上の結果から区分外とした。データの追加により区分を変更した。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
日本産業衛生学会は本物質を含むクロム化合物として気道感作性物質「第2群」に分類している (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1989))。一方で、三価クロム化合物へのばく露によって職業性喘息が誘発されたことを示す明白な証拠は、現時点では見つかっていない (CICAD 76 (2009)) との記載がある。ガイダンスによると、日本産業衛生学会の第1群、第2群については1A相当として扱うとあるが、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1989) では本物質を明示していないことから、本分類では細区分を行わず、区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
日本産業衛生学会は本物質を含むクロム化合物として皮膚感作性物質「第1群」に分類している (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1989))。また、モルモットに三価クロムを適用した結果、感作性がみられたとの報告がある (EHC 61 (1988))。さらに、三価クロムはハプテン性抗原決定基として機能し得るが、皮膚への浸透力が弱いため三価クロム塩の感作能力は低い (CICAD 76 (2009)) との記載がある。ガイダンスによると、日本産業衛生学会の第1群、第2群については1A相当として扱うとあるが、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1989) では本物質を明示していないことから、本分類では細区分を行わず、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、酸化クロム (III) が 98.9%含まれた酸化クロム緑のマウス骨髄小核試験で陰性である (CICAD 76 (2009))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性 (IARC vol. 23 (1980))、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、遺伝子突然変異試験、姉妹染色分体交換試験で陽性、ヒト末梢血リンパ球の染色体異常試験で陽性 (CICAD 76 (2009)、IARC vol. 23 (1980)、IARC 49 (1990)) である。
6 発がん性 分類できない
-
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- - IARC (1990) でグループ3 (Chromium (III) として)、ACGIH (2008) でA4 (Metal and CrIII compoundsとして)、EPA (1998) でグループD (Chromium (III) , insoluble saltsとして) に分類されていることから、「分類できない」とした。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた経口経路 (混餌) での生殖毒性試験において受胎率や妊娠期間、同腹児数等に影響はなく、奇形の発生もないとの報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010)、CICAD 76 (2009))。しかし、親動物数が9匹/性/群と少ないこと、他に催奇形性に関する十分な情報がないことからデータ不足のため分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでは、ドイツの工場で酸化クロムの製造に従事した作業者の集団において、急性の呼吸器疾患の発生頻度に軽度の増加がみられたが、慢性化するような症状ではなく、10年以上勤務している作業者の集団においても肺機能、胸部X線検査、血液検査等でも呼吸器系に異常所見はみられなかったとの報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010))。
しかしながら、実験動物では、ラットに本物質のダスト (MMAD: 1.8-1.9 μm) を13週間吸入ばく露した試験において、区分1の濃度範囲 (4.4-14 mg/m3: 0.0044-0.014 mg/L/6 hr) で、縦隔リンパ節のリンパ組織の増生、肺胞中隔の炎症性変化、黒色色素を充満したマクロファージの肺胞中隔への凝集を伴う間質性肺炎及び肺胞中隔の過形成が認められたとの試験報告 (環境省リスク評価第8巻 (2010)、CICAD 76 (2009)) があり、区分1 (呼吸器) とした。なお、旧分類時以後に酸化クロムの粉じん吸入ばく露試験を含めた評価書 (環境省リスク評価第8巻 (2010)、CICAD 76 (2009)) が発行されたため、分類結果が変わった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
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- - デ-タ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
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- - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
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- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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