GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 75-45-6
名称 クロロジフルオロメタン (再分類)
物質ID H26-B-038, R-016
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類できない
-
-
- - 爆発限界上限26.9% (Matheson (2001)) のデータはあるが、爆発限界下限のデータがなく、区分1と区分2を判断できないため、分類できない。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外
-
-
- - 爆発限界上限26.9% (Matheson (2001)) のデータがあり、可燃性があるため区分外とした。
5 高圧ガス 液化ガス


警告
H280 P410+P403 臨界温度 (96.0℃ (HSDB (Access on July 2014)) は+65℃を超えているため、液化ガス (低圧液化ガス) とした。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外
-
-
- - ラットのLC50値 (4時間) として、219,000 ppm との報告 (PATTY (6th, 2012)、EU-RAR (2007)、EHC 126 (1991)) に基づき、区分外とした。新たな情報源 (PATTY (6th, 2012)、EU-RAR (2007)、EHC 126 (1991)) を追加し、文章を見直した。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - 液状にした本物質0.5 mLをウサギに24 時間適用した皮膚刺激性試験で、軽度の刺激性がみられた (EU-RAR (2007)) との報告がある。EU-RAR (2007) では、この結果は刺激性によるものというよりは、物理的に気化し、組織が冷却されるために引き起こされたものである、としている。以上の結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) と判断した。なお、ラットに本物質を反復ばく露 (6週間、5日/週、2回/1日、各10秒間) した結果、皮膚の発赤とわずかな腫れがみられた (EHC 126 (1991)、ECETOC JACC (1989)) との報告がある。List1の情報追加及びガイダンスの変更により区分を変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
液化ガス状の本物質をウサギ6匹に5又は30秒間噴霧した眼刺激性試験で、1 時間後に軽微な結膜浮腫と軽微な発赤が認められたが、48 時間後には回復した (EU-RAR (2007)) との報告がある。EU-RAR (2007) はこの結果から眼刺激性物質の基準には合致しないとしているが、本分類では本物質ばく露による眼への影響を考慮し、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験 (マキシマイゼーション改変法) で陰性 (EHC 126 (1991)、EU-RAR (2007)) との報告があるが、ガイドラインに沿った試験ではなく陽性率等の詳細が不明であるため区分の判定に用いなかった。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット、マウスの優性致死試験、マウス骨髄細胞の小核試験及びラット、マウス骨髄細胞の染色体異常試験でいずれも陰性である (EU-RAR (2007)、ECETOC JACC (1989)、DFGOT vol. 3 (1992)、EHC_126 (1991)、IARC vol. 41 (1986)、PATTY (6th, 2012)、IUCLID (2000))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験並びにヒト細胞の不定期DNA合成試験で陰性である (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1987)、EU RAR (2007)、ECETOC JACC (1989)、EHC_126 (1991)、IARC vol. 41 (1986)、PATTY (6th, 2012)、IUCLID (2000))。以上のように、in vitro試験では陽性の結果が存在するが、in vivo試験では陰性のため、in vivoへの変異原性はないと判断した。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - IARCでグループ3 (IARC (1999))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) と分類されていることから、「分類できない」とした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、親動物に一般毒性がみられない用量 (1,000 ppm) において自然発生性の奇形としてまれな無眼球症、小眼球症がみられたとの報告がある (EU-RAR (2007)、IRIS (1993)、DFGOT vol. 3 (1992)、EHC 126 (1991))。これについては、別の試験施設での19回の催奇形性試験の試行による大規模な再現性試験が実施され、また、その後10年間の背景データとの比較が実施されている。その結果、再現性試験では、わずかな母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量 (50, 000 ppm) において発生率は低いものの有意な特異的な奇形 (無眼球、無眼球と小眼球の合併症) がみられており、母動物毒性との関連性は低いと考えられている。また、背景データとの比較においては、無眼球の発生率は背景データより高く、無眼球と小眼球の合併症は背景データの上限値と同等との報告がある (EU-RAR (2007))。EU-RAR (2007) では、特異的な奇形の発生率は低く、軽微な母動物毒性がみられる用量でみられていることから、カテゴリー3 (生殖能に関して有害)、R63をつけるのが妥当としている。
一方、PATTY (6th, 2012) では、ラットの複数の試験でみられていることからばく露と関連したもののようであるが、高用量での低い発生率は、非常に弱い反応、単にばく露と間接的に関連したもののようであるとしている。
以上のことから、旧分類で区分1Bとした分類根拠の意義を検討した結果、ばく露との関連性は否定できないものの発生率が非常に低いことから、区分2とするのが妥当であり、区分1Bから区分2に変更した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、心血管系)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
ヒトにおいては、吸入ばく露で不整脈、息切れ、錯乱、意識喪失、嗜眠、非常に高濃度で心血管障害、中枢神経抑制を生じる。事故例では、剖検で暗赤色の血液、肺のうっ血、浮腫、出血、気腫を示し、色素沈着した肺胞マクロファージ、肝細胞の脂肪性小滴が報告されている (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、EU-RAR (2007)、EHC 126 (1991))。また、本物質に弱い麻酔作用が報告されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1987))。
実験動物では、中枢神経系抑制及び窒息 (動物種不記載) (ACGIH (7th, 2001))、ラットで麻酔作用、振戦、痙攣、昏睡、浅呼吸、呼吸抑制、ウサギで協調運動失調、窒息、その他、平衡感覚の鈍化、呼吸促迫などの中枢神経系抑制、心血管系影響としてはサルで心筋の収縮力低下、血圧低下、肺抵抗の増大、呼吸量の低下、マウス、ネコで心臓の不整脈、アドレナリン誘発性不整脈の感受性亢進、ラットで心拍数減少、心収縮力低下、頸動脈圧低下、動脈性低血圧、イヌで心臓感作が報告されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1987)、DFGOT vol. 3 (1992)、EU-RAR (2007)、ECETOC JACC (1989)、EHC 126 (1991)、EU-RAR (2007)、HSDB (Access on June 2014))。実験動物の所見は、区分2を超えるガイダンス値の範囲であった。
以上より、ヒトの所見にもとづいて、区分1 (中枢神経系、心血管系)、区分3 (麻酔作用) とした。なお、ヒトの事例で、肝臓の脂肪性小滴が報告されているが、死亡例にみられた知見であり一般化できないと判断して区分の対象としなかった。また、肺の所見は死亡例での知見のため区分として採用しなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - 凍結組織切片を処理中に本物質にばく露された病理研究室の研究員のうち1名が心筋梗塞により死亡し、また死亡後に他の研究員が過剰な動悸を訴えた。調査により、本物質ばく露と動悸の間には関連性があると報告されたが、対照群の設定がなく、症状の記憶も客観性を欠き、信頼性は乏しいと判断されている (EU-RAR (2007))。また、本物質を含むクロロフルオロカーボン化合物にばく露された冷蔵庫修理業者を対象とした疫学調査において、胸部X線、肺機能検査、心電図、血液及び尿検査に異常はみられていないが、ふらつき、動悸の発生頻度が対照群より高かったとの研究報告があるが、EUは研究計画が十分でなく、この報告からは結論を導けないと結論した (EU-RAR (2007))。すなわち、ヒトでは本物質ばく露との関連性が明らかな有害性知見はこれまで得られていない。
実験動物では、マウスに83-94週間、ラットに117-131週間、本物質を吸入ばく露した試験で、50,000 ppmの高濃度で過活動性 (マウス)、体重増加抑制 (ラット) など僅かな影響がみられたのみで、これらの試験結果より、本物質のNOAELは10,000 ppmと設定されている (EU-RAR (2007)、IRIS (1992)、環境省リスク評価第5巻: 暫定版有害性評価シート (2006))。本物質はガスであり、吸入ばく露が主なばく露経路であることを踏まえれば、実験動物の試験結果からは、区分外に分類されることになる。しかしながら、ヒトでの反復吸入ばく露による影響の有無について、結論を下すには知見が不十分で、依然不明な状況であるものと考え、「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
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- - 本物質はGHSの定義によるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
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- - 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 433 mg/L、魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50= 777 mg/L (いずれもEU-RAR, 2007) であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
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- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
甲殻類、魚類の急性毒性は区分外相当であり、難水溶性ではない(水溶解度=2700 mg/L、PHYSPROP Database, 2009)ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 区分1


警告
H420 P502 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されているため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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