項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 122-39-4 |
名称 | ジフェニルアミン (再分類) |
物質ID | H26-B-049, R-021 |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点が634℃ (ICSC (2006)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、> 800 mg/kg-> 15,000 mg/kg の範囲内において、11件の報告 (PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2004)、JMPR 949 (1998)、JMPR 701 (1984)、JMPR 157 (1969)) がある。最も多くのデータ (4件) (2,960 mg/kg (雄)、2,480 mg/kg (雌) (EU-RAR (2007)、JMPR 701 (1984))、3,000 mg/kg (雄)、2,700 mg/kg (雌) (JMPR 949 (1998))、3,000 mg/kg (EU-RAR (2007))、3,200 mg/kg (JMPR 157 (1969))) が該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。新たな情報源 (PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2004)、JMPR 949 (1998)、JMPR 701 (1984)、JMPR 157 (1969)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、JMPR 949 (1998))、及び> 5,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))、ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (EU-RAR (2007)、JMPR 701 (1984)) との報告に基づき、区分外とした。新たな情報源 (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、JMPR 949 (1998)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験の報告が多数あり、いずれも刺激性なし、又は軽度の刺激性がみられたとの結果であった (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、JMPR 701_ Diphenylamine (Pesticide residues in food 1984 evaluations))。以上の結果から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。List1の情報を追加し区分を変更した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 |
P305+P351+P338
P280 P310 |
ウサギ3匹に本物質0.1 gを適用した眼刺激性試験 (EU TG 及び OECD TGに準拠) において、角膜を含め刺激症状や眼の損傷が投与後 21 日より長く持続したことから「腐食性」を示す物質と判断されている (EU-RAR (2007))。また、1匹のウサギに本物質0.1gを7日間適用した試験において、腐食性と角膜混濁が観察された (JMPR 949_ Diphenylamine (addendum) (JMPR Evaluations 1998 Part II Toxicological))。一方、ウサギを用いた他の眼刺激性試験において、軽度の虹彩炎、中等度の結膜炎がみられたが10日以内に回復した (NITE初期リスク評価書 (2008)、JMPR701_ Diphenylamine (Pesticide residues in food 1984 evaluations)) との報告や、軽度の発赤及び浮腫 (1/2匹) がみられたが3日以内に消失したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。さらに、本物質のウサギに対する眼刺激性試験で刺激性は軽度であるとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から、腐食性と軽度の刺激性との相反するデータがあるが、ガイドラインに従った試験において腐食性がみられていることから、眼に対して重篤な影響をもたらす可能性を考慮し、区分1と判断した。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験において陰性との報告があるが (NITE初期リスク評価書 (2008)、JMPR 949_ Diphenylamine (addendum) (JMPR Evaluations 1998 Part II Toxicological))、試験法等詳細不明であるため分類に用いるには十分なデータでないと判断した。また、ヒトのパッチテストにおいて1012人中3名に陽性を示したとの報告がある (環境省リスク評価第3巻 (2004)) が、環境省リスク評価第3巻 (2004) では「本物質には感作性はないと考えられる」と考察していることや、試験条件等が詳細不明であることから、分類に用いるには十分なデータでないと判断した。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット及びマウスの骨髄細胞の小核試験、ラット骨髄細胞の染色体異常試験 (この試験は慢性毒性試験において骨髄細胞の染色体異常を調べたもの)、マウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性 (EU-RAR (2007)、NITE初期リスク評価書 (2008)、IRIS (1987)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、IUCLID (2000)、BUA 15 (1991)) である。In vitroでは、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で唯一陽性結果が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)) が、その他の情報は、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、ヒトリンパ球培養細胞の姉妹染色分体交換試験、ラット初代肝細胞の不定期DNA合成試験でいずれも陰性である (EU-RAR (2007)、NITE初期リスク評価書 (2008)、IRIS (1987)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、BUA 15 (1991)、NTP DB (Access on July 2014)、IUCLID (2000))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - |
本物質は、ACGIH (7th, 2001) でA4、EPA (2006) で”Not Likely to be Carcinogenic to Humans”に分類されている。これらの国際機関等による分類ではACGIHで「分類できない」、EPAで「区分外」相当となり、区分は分かれる。また、EU-RAR (2007) では、JMPR (1998) を引用し、ラット、マウス、イヌに発がん性を示さないと結論している。以上より、国際機関等による分類に基づき、より新しいACGIH (2010) を優先させ「分類できない」とした。 なお、本邦で2011年にGLP下、OECD TG 451に準拠して実施された、F344雌雄ラット及び雌雄B6D2F1マウスの混餌投与による2年間発がん性試験 (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on May 2014)) で、ラット雄では脾臓の血管系腫瘍の発生の増加傾向、並びに脾臓と皮下組織を含む全臓器の血管系腫瘍の発生増加、雌では子宮に腺癌の発生の増加傾向が認められ、マウスでは雄で脾臓及び肝臓等を含む全臓器に血管系腫瘍の発生増加が認められている。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ラットを用いた経口経路での2世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (体重減少、脾臓の黒紫色化、脾臓うっ血・ヘモジデリン沈着、脾臓肥大、肝臓相対重量増加、肝細胞肥大、腎臓近位尿細管褐色色素沈着、肝臓クッパー細胞への褐色色素沈着、乳腺腫脹、側腹部触診による腫瘤 (病理組織学的検査なし)) がみられる用量 (450 mg/kg bw/day相当) で着床痕数の減少、同腹児数の減少がみられている (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、JMPR (1998))。 ラット、ウサギを用いた経口経路での催奇形性試験において、母動物毒性がみられる用量においても発生毒性はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、JMPR (1998))。 以上より、2世代生殖毒性試験において親動物毒性のみられる用量で同腹児数の減少がみられたことから、ガイダンス文書に従い区分2とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系、血液系)、区分3 (気道刺激性) |
危険 警告 |
H370
H335 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
ヒトにおいて、吸入ばく露により、気道 (粘膜) 刺激性を有する (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2014)、PATTY (6th, 2012))。また、血液に影響を及ぼしてメトヘモグロビン血症、その他、泌尿器への影響 (詳細不明)、吸入ばく露や経口摂取によって、咳、咽頭痛、チアノ-ゼ、頭痛、眩暈、吐き気、錯乱、痙攣、意識喪失をおこすとの報告がある。また、経皮経路で吸収されてチアノ-ゼ等を引き起こすことがある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2014)、PATTY (6th, 2012))。 以上より、区分1 (中枢神経系、血液系)、区分3 (気道刺激性) とした。なお、泌尿器への影響は血液系への影響の二次的影響と考え区分の対象としなかった。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2 (血液系、腎臓) |
警告 |
H373 |
P260
P314 P501 |
ヒトでは本物質の職業ばく露による中毒症状として、膀胱刺激症状、頻脈、高血圧、湿疹が生じるとの記述がある (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008)) が、ばく露の詳細が不明であり、原著での確認が困難 (1957年発刊の書籍の記述をACGIHが引用。他評価書はACGIHよりの再引用) であるため、信頼性の観点からも分類に使用するには不適切な知見と判断した。この他、利用可能な情報はなく、ヒトで分類に利用可能な知見はない。 実験動物では、ラットに90日間又は2年間混餌投与、及びイヌ (ビーグル) に1年間強制 (カプセル) 経口投与した試験において、区分2に該当する用量 (15-93 mg/kg/day) で、貧血様所見 (赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の減少など) が認められ、血液毒性による二次的影響と考えられる所見 (ヘモジデリン沈着、髄外造血、色素沈着、うっ血) が脾臓、肝臓、腎臓の各臓器にみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007))。同様の所見はマウスに90日間又は78週間混餌投与試験でも区分2の範囲内から区分外の高用量 (73- >110 mg/kg/day) で認められ (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007))、さらに厚生労働省委託によるラット及びマウスを用いた13週間又は2年間混餌投与試験でも、区分2の用量範囲 (12-93 mg/kg/day) における貧血所見及び脾臓、肝臓、腎臓への二次的影響が確認されている (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on May 2014))。一方、ラットに28日間強制経口投与した試験において、区分2のほぼ上限値 (333 mg/kg/day: 90日換算 (103 mg/kg/day)) の用量で、腎臓に重量増加とともに尿細管の変性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)) との記述より、「腎臓」を標的臓器に加えることとした。 以上より、区分2 (血液系、腎臓) に分類した。なお、旧分類は冒頭のヒトでの職業ばく露による影響を中心に分類した結果であった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.31 mg/L (NITE 初期リスク評価書, 2008、EU-RAR, 2008)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
急速分解性がなく(BODによる分解度=0%(既存点検, 1977))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(生長阻害) = 0.0273 mg/L(環境庁生態影響試験, 1995、環境省リスク評価第5巻, 2006)であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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