GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-67-8
名称 1,3,5-トリメチルベンゼン (再分類)
物質ID H26-B-067, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点50℃ (closed cup) (ICSC (2002)) に基づいて区分3とした。
なお、国連分類は2325、クラス3、PGIIIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が550℃ (ICSC (2002)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、4,300-8,642 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))、5,000 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013)) との2件の報告がある。区分を特定可能な1件の報告に基づき、区分外とした。新たな情報源 (環境省リスク評価第11巻:環境リスク初期評価 (2013)、NITE初期リスク評価書 (2008)) を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外
-
-
- - ラットのLC50値 (4時間) として、24 mg/L との報告 (環境省リスク評価第11巻 (2013)、NITE初期リスク評価書 (2008)、DFGOT vol. 4 (1992)) に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (12.1 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG404準拠) において、適用1時間後からごく軽度の発赤がみられ、144 時間後には中等度から重度になった (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から、区分2とした。なお、1時間後の観察で浮腫は軽度であり、144時間後に消失したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギの眼に本物質500 mgを24時間適用した結果、軽度の刺激性がみられたとの記載 (NITE初期リスク評価書 (2008)) から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、本物質の異性体を含む混合溶剤の職業ばく露で、塗料店の従業員37人が溶剤蒸気 (組成: 1,3,5-トリメチルベンゼン 30%、1,2,4-トリメチルベンゼン 50%、その他含有の可能性ある物質1,2,3-トリメチルベンゼン、1-メチル-2-エチルベンゼン、1-メチル-4-エチルベンゼン) に 7年間ばく露された結果、最高濃度にばく露されたヒトの 70%が喘息性気管支炎を発症したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。しかし、この知見は混合ばく露であり、本物質による影響か否か判断できないため、区分に用いるには不十分なデータと判断した。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、マウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験では高用量のみで陽性である (環境省リスク評価第11巻:環境リスク初期評価 (2013)、PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、HSDB (Access on August 2014))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (環境省リスク評価第11巻:環境リスク初期評価 (2013)、PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、DFGOT vol. 4 (1992))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で胎児にわずかな影響 (胎児体重の減少) がみられたが催奇形性はみられていない (環境省リスク評価第11巻:環境リスク初期評価 (2013))。生殖能に関する報告がないことから、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性、麻酔作用)


警告
H335
H336
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
本物質 (ヒトの報告では純度30%、実験動物では純度99%以上) はヒト並びに実験動物に呼吸器刺激性がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第11巻:環境リスク初期評価 (2013)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984))。ヒトにおいては、吸入ばく露で頭痛、眩暈、嗜眠、協調運動失調、嘔吐、経口摂取で肺に吸い込み化学性肺炎が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第11巻:環境リスク初期評価 (2013)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on August 2014))。
実験動物では、マウスの吸入ばく露で正向反射の喪失、中枢神経系抑制、ラットの吸入ばく露でロータロッド試験による EC50 は963 ppm (4.73 mg/L)、ホットプレート試験による痛覚消失の EC50 は 1,212 ppm (5.96 mg/L) の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。
ヒト及び実験動物の中枢神経系への影響は全般的に麻酔作用に含まれる症状であり、ヒトの「錯乱」については詳細不明であった。また、ヒトの化学性肺炎の所見は「10 吸引性呼吸器有害性」でカバーされた。以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
旧分類の区分3 (麻酔作用) に「気道刺激性」を追加した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでは本物質30%、1,2,4-トリメチルベンゼン50%を含む溶剤に数年間ばく露 (炭化水素濃度として10-60 ppm) された作業者27名中の多くに中枢神経系 (神経過敏、緊張、不安) 及び呼吸器 (喘息性気管支炎) への影響がみられた。血液検査では低色素性貧血及び血液凝固異常 (凝固時間の延長) の傾向が示された。原著者らはトリメチルベンゼンばく露による影響と主張したが、血液毒性は溶剤に混入していたベンゼンによる影響との他研究者による指摘も記述されている (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第11巻 (2013))。
実験動物ではラットに本物質 (蒸気と推定) を4週間吸入ばく露し、中枢神経系への影響評価のための行動検査を行った試験で、受動回避行動における潜時の短縮、条件づけ能動回避行動における試行回数の増加、ホットプレート試験における反応時間延長が区分1該当濃度 (125-500 mg/m3: 0.038-0.15 mg/L/6時間 (90日換算)) で認められ (環境省リスク評価第11巻 (2013)、NITE初期リスク評価書 (2008))、中枢神経系への影響が示唆されたが、ラットに3,000 mg/m3 (6時間/日) で5週間、又は1,000 mg/m3 (4時間/日) で6ヶ月間吸入ばく露した各試験では、前者で血清ALT活性の上昇 (ガイダンス値換算: 1.15 mg/L/6時間 (区分外))、後者で白血球の貪食作用の阻害 (ガイダンス値換算: 0.67 mg/L/6時間 (区分2相当)) がみられただけで、中枢神経作用、貧血又は血液凝固障害を疑う所見は得られていない (環境省リスク評価第11巻 (2013)、NITE初期リスク評価書 (2008))。一方、経口経路ではラットに90日間強制経口投与した試験で、NOAELが200 mg/kg/dayと決定されており、区分2までの用量範囲内では無毒性である (環境省リスク評価第11巻 (2013)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
以上、本物質を30%含む溶剤の反復吸入ばく露でヒトで懸念された中枢神経系、呼吸器及び血液系への影響に関して、実験動物を用いた試験で本物質ばく露による標的臓器影響と確認できたものはなかった。しかし、ヒトでの知見から、異性体混合物のトリメチルベンゼン (CAS No: 25551-13-7) と同様に区分1 (中枢神経系、呼吸器) と分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1


危険
H304 P301+P310
P331
P405
P501
炭化水素であり、動粘性率が8.9 mm2/s (密度: 0.8652 g/cm3 (20℃) (BUA 46 (1996))、及び粘性率:7.66 Pa・s (15.6℃) (BUA 46 (1996)) より算出) であることから区分1に分類した。なお、List 3 のICSCに経口摂取した場合、肺への吸引により化学性肺炎を生じるおそれがあるとの記述がある (ICSC (2002))。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
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11 水生環境有害性(長期間) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
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