GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 95-53-4
名称 o-トルイジン/トルイジン塩類(再分類)
物質ID H26-B-069, R-028
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成23年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4
-
警告
H227 P370+P378
P403+P235
P210
P280
P501
引火点85℃ (closed cup) (ISCS (2009)) に基づいて区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が480℃ (ISCS (2009)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機物質。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P362+P364
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、635 mg/kg (DFGOT vol. 3 (1992))、670 mg/kg (DFGOT vol. 3 (1992)、ACGIH (7th, 2001)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1991))、750 mg/kg (SIDS (2006))、900 mg/kg (環境省リスク評価第1巻 (2002)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 7 (1998)、DFGOT vol. 3 (1992)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1991))、940 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、CICAD 7 (1998)、DFGOT vol. 3 (1992))、670-940 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))、900-940 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との複数報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50値として、3,250 mg/kg との報告 (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2006)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992)、CICAD 7 (1998)) に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
ラットのLC50値 (4時間) として、3.827 mg/L との報告 (SIDS (2006)) に基づき、区分4とした。なお、試験は蒸気/エアロゾルにて行われたとの記載 (SIDS (2006)) があるが、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (1.5 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - ウサギに本物質を24時間適用した報告 (半閉塞適用又は閉塞適用) が2件ある (SIDS (2006))。半閉塞適用の試験において刺激性はみられなかった。一方、閉塞適用の試験では、紅斑の平均スコアは2.3 (24時間)、2.0 (48時間)、1.7 (72時間) であり、浮腫の平均スコアは2.0 (24時間)、0.3 (48時間)、0.3 (72時間) であったが、適用72時間後に壊死 (1/6匹) がみとめられた。以上、半閉塞適用において刺激性がみられなかったことから区分外とした。なお、適用時間については不明だが、本物質はウサギの皮膚に対して中等度から強度の刺激性を持つとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギに本物質の原液0.1 mLを適用した試験で、軽度の角膜混濁、軽度-中等度の結膜浮腫と発赤がみられ、8日間の観察期間中に回復せず、一次刺激性スコア (AOIに相当) は31.3/110で強い刺激性ありとの結果 (SIDS (2006)) から区分2Aとした。また、別の報告でウサギの結膜嚢に本物質の原液0.1 mLを適用した結果、軽度の刺激性がみられたとの報告がある (SIDS (2006))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質は非常に多くの変異原性データが収集されている。In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験及び染色体異常試験で陰性、ラットの骨髄細胞及び末梢血赤血球の小核試験で陽性、マウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験で陽性、マウスのDNA損傷試験、マウス、ラットのコメットアッセイで陽性、ラットの不定期DNA合成試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第2巻:発がん性の定量的なリスク評価 (2003)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 7 (1998)、DFGOT vol. 3 (1992)、SIDS (2006)、IARC 100F (2012)、NTP DB (Access on September 2014))。in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験では多くのデータが陰性であるが、陽性のデータも複数存在する、また哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験及び小核試験で陽性結果が主体である (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 7 (1998)、DFGOT vol. 3 (1992)、SIDS (2006)、IARC 100F (2012)、環境省リスク評価第2巻:発がん性の定量的なリスク評価 (2003)、NTP (2014)、NTP DB (Access on September 2014))。以上より、区分2とした。
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
IARC 100F (2012) でグループ1、ACGIH (7th, 2001) でA3、日本産業衛生学会 (2001) で第 2 群A 、NTP (2011) でK、EU (Access on September 2014) で2と分類されている。これらの分類結果は異なるが、IARC及びNTPを優先し区分1Aとした。
なお、ヒトでは、疫学調査が多く実施され、職業ばく露による膀胱がん発症との関連が示唆されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。

7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、血液系、膀胱)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
ヒトにおける吸入ばく露、経皮ばく露による毒性症状は、複数の事例から頭痛、めまい、悪心、呼吸困難、意識喪失、神経障害、発汗、チアノーゼ、メトヘモグロビン血症、膀胱への強い刺激による血尿と報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2006)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1991)、CICAD 7 (1998)、DFGOT vol. 3 (1992))。その他、急性ばく露した労働者で、排尿困難、乏尿、血尿、膀胱炎、膀胱上皮の変性などが認められている (DFGOT vol. 3 (1992))。
実験動物では、ラットの492 ppm (2.16 mg/L) 吸入ばく露で、振戦、チアノーゼ、努力呼吸、痙攣、呼吸困難、ラットの600-900 mg/kgの経口投与で、麻酔作用、チアノーゼ、尿量増加、ネコの50 mg/kg経口投与で、横臥位、頻呼吸、チアノーゼ、散瞳、無関心、流涎がみられている (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、SIDS (2006))。これらの中枢神経系及び血液系への影響は区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められた。
以上より、区分1 (中枢神経系、血液系、膀胱)、区分3 (麻酔作用) とした。
旧分類では中枢神経系、麻酔作用は採用されていなかったが、今回区分として採用した。また、旧分類で腎臓を採用していたが、腎臓への影響の情報は乏しく、採用しなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (血液系、膀胱)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
o-トルイジンとp-トルイジンの生産工場で両物質への反復吸入ばく露を受けた作業者81名中20名にメトヘモグロビン血症が生じたとの記述 (DFGOT vol. 3 (1992)) があり、本物質の急性影響の一つとしてメトヘモグロビン血症が知られていることから、本物質単独による反復ばく露でもメトヘモグロビン血症が生じるものと考えられた。また、この報告では81名中数名に膀胱粘膜に非腫瘍性変化 (詳細不明) がみられたとあり、他の職業ばく露 (急性ばく露) の事例として、血尿、乏尿、排尿困難をきたし、膀胱炎 (組織学的に膀胱粘膜の変性を確認) と診断された症例の記述 (DFGOT vol. 3 (1992)) もあることから、膀胱も標的臓器と考えられる。
実験動物ではラットに14日間混餌投与した試験で、区分1該当量 (40.4-43.5 mg/kg/day: 6.3-6.8 mg/kg/day (90日換算)) でメトヘモグロビン血症、区分2該当量 (236-481 mg/kg/day: 37.0-74.8 mg/kg/day (90日換算)) で膀胱上皮細胞の増殖、尿路上皮の過形成が認められた (SIDS (2006)) との記述、またラットに225 mg/kg/day を最長20日間強制経口投与 (90日換算: 50 mg/kg/day (区分2相当)) した結果、チアノーゼ、メトヘモグロビン血症をきたし、期間内に10/30例が死亡した。病理検査により、脾臓にうっ血、ヘモジデリン沈着、髄外造血亢進、腎臓にヘモジデリン沈着、骨髄に骨髄細胞増多など、血液毒性に対する代償性の二次的影響がみられた (SIDS (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
以上より、区分1 (血液系、膀胱) とした。なお、旧分類では「膀胱」を標的臓器としていないが、今回はヒト及び実験動物での知見を踏まえて判断し、標的臓器に追加した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.52 mg/L (SIDS, 2008)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BODによる分解度=5%(既存点検, 2000))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.0126 mg/L(環境庁生態影響試験, 1995、環境省リスク評価第1巻, 2002、NITE 初期リスク評価書, 2008、SIDS, 2008)であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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