GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 76-13-1
名称 1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン (別名:トリクロロトリフルオロエタン、CFC-113) (再分類)
物質ID H26-B-071, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- - 不燃性 (HSDB (Access on August 2014))
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 不燃性 (HSDB (Access on August 2014))
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性 (HSDB (Access on August 2014))
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素を含まず、フッ素及び塩素を含む有機化合物であるが、このフッ素及び塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、43,000 mg/kg との報告 (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1999)、EHC 113 (1990)、産業衛生学会許容濃度の提案理由書 (1987)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギの致死量は11,000 mg/kg との報告 (ACGIH (7th, 2001)) 及びウサギのLD50値として、> 11,000 mg/kg との報告 (RTECS (元文献:Wolf Ledges Pkwy. and Akron (1968))) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外
-
-
- - ラットのLC50値 (4時間) として、52,500 ppm (EHC 113 (1990))、52,000-68,000 ppm (ACGIH (7th, 2001)、産業衛生学会許容濃度の提案理由書 (1987)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (355,380 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - ウサギの皮膚に本物質を適用した報告が3件あり、それぞれ「刺激性なし」 (ACGIH (7th, 2001))、「軽度の刺激性あり」 (IUCLID (2000))、「局所的な刺激性あり」 (EHC 113 (1990)) であった。以上の結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。ガイダンスの改訂により区分を変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギの眼に本物質0.1 mLを適用した結果、軽度の結膜炎やわずかな角膜反応がみられたが48時間以内に回復したとの報告がある (DFGOT vol. 3 (1992))。ウサギを用いた別の報告において、わずかな刺激性がみられた (IUCLID (2000))、又は刺激性はみられなかった (ACGIH (7th, 2001)) との報告がある。以上の結果から、軽度の刺激性を有すると考えられるため、区分2Bとした。情報を追加し区分を変更した。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験 (マキシマイゼーション法) で感作性はみられなかったとの報告があるが (IUCLID (2000))、試験条件や結果の詳細について不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性 (ACGIH (7th, 2001)、EHC 113 (1990)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 3 (1992)、IUCLID (2000))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992)、EHC 113 (1990)、PATTY (6th, 2012)、IUCLID (2000))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - ACGIHでA4に分類されている (ACGIH (7th, 2001)) ため、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分外
-
-
- - ラットを用いた吸入経路での1世代生殖毒性試験において、親動物毒性の記載はないが、12,500 ppmの濃度においても繁殖能に影響がみられていない。ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物に毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量 (25,000 ppm) においても、胚・胎児毒性並びに催奇形性がみられていないとの報告がある (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 113 (1990))。
したがって、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (心血管系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)



危険
警告
H370
H335
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
本物質は、気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2001))。ヒトにおいては、短期間のばく露で心臓血管系、中枢神経系に影響を与えて心臓障害、中枢神経系抑制を生じ、また意識低下することがある。また、急性症状として、吸入ばく露による不整脈、錯乱、嗜眠、息切れ、意識喪失、経路不詳であるが、不活発と集中力低下、心不整脈、非常に高濃度の吸入ばく露で心不全、窒息、死亡が報告されている。また、麻酔作用の報告がある (環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、ACGIH (7th, 2001))。
実験動物では、ラットの12,000 ppm吸入ばく露で一過性の嗜眠、ラット、イヌ、サルの25,000 ppm以上の吸入ばく露で頻脈、血圧低下、心筋抑制、非常に高濃度 (濃度不記載) で昏睡、窒息、不整脈、イヌ (濃度不記載) で嘔吐、不活発、神経過敏、振戦の報告がある (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992))。
以上より、本物質は、ヒトに対し心血管系、気道刺激性、麻酔作用を有すると考えられ、区分1 (心血管系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、旧分類の呼吸器への影響に関する記載は確認できなかったため採用しなかった。



9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、肝臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでは職業ばく露としての反復吸入ばく露により、中枢神経系への影響 (嗜眠、見当識の低下、精神作業に対する集中力の低下) がみられた (環境省リスク評価第4巻: 暫定有害性評価シート (2005)、DFGOT vol. 3 (1992)、産業衛生学会許容濃度の提案理由 (1987)) との記述、肝障害 (血中AST、ALT活性の上昇、肝臓への脂肪浸潤) がみられた (産業衛生学会許容濃度の提案理由 (1987)) との記述がある一方で、高濃度の反復ばく露によっても、血液検査、肝機能に影響はみられず、精神作業検査における集中力低下も生じなかった (環境省リスク評価第4巻: 暫定有害性評価シート (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992)、産業衛生学会許容濃度の提案理由 (1987)) とする報告がある。
実験動物では、本物質 (蒸気と推定) をラットに7,650 mg/m3で2週間吸入させた結果、区分2をやや上回る濃度 (90日換算: 1.18 mg/L/6時間) で肝細胞における滑面小胞体の増生及び空砲化、肝臓の脂肪蓄積がみられた (環境省リスク評価第4巻: 暫定有害性評価シート (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992))。一方、ラットに30日間、又は2年間、極めて高濃度 (38,300-76,600 mg/m3 (ガイダンス値換算濃度: 14.9-76.6 mg/L/6時間)) を吸入ばく露した試験において、体重増加抑制がみられる用量で肝臓相対重量の増加、肝臓の退色がみられたが、組織学的変化は認められなかった (環境省リスク評価第4巻: 暫定有害性評価シート (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992))。また、ラット、ウサギに2年間の高濃度ばく露 (84,300-93,000 mg/m3、2時間/日) で、軽度の嗜眠、ふらつきがみられた以外に異常は認められていない (環境省リスク評価第4巻: 暫定有害性評価シート (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992))。
以上、ヒトでは中枢神経系、肝臓への影響が懸念される知見があり、実験動物でも高濃度ばく露ではこれらの影響を支持する所見が得られていることから、区分1 (中枢神経系、肝臓) に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
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11 水生環境有害性(長期間) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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