GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 109-79-5
名称 1-ブタンチオール(再分類)
物質ID H26-B-082, R-035
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点2℃ (closed cup)、沸点98℃ (ICSC (2000)) に基づいて区分2とした。なお、国連分類2347、クラス3、PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない
-
-
- - 発火点が225℃以下 (ICSC (2000)) という情報しか見出されない。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機物質。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P362+P364
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、1,500 mg/kg (SIDS (2012)、DFGOT vol. 21 (2005)、PATTY (5th, 2001))、1,800 mg/kg (DFGOT vol. 21 (2005)、PATTY (5th, 2001)) との報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg との報告 (SIDS (2012)) 及びウサギのLD50値として、> 34,600 mg/kg との報告 (DFGOT vol. 21 (2005)、PATTY (5th, 2001)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
ラットのLC50値 (4時間) として、4,020 ppm (SIDS (2012)、DFGOT vol. 21 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (5th, 2001))、及び6,060 ppm (SIDS (2012)、DFGOT vol. 21 (2005)) との報告に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (39,487 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質の原液0.5mLを4時間適用した結果、皮膚反応はみられなかったとの報告 (SIDS (2012)) や、刺激性なし (PATTY (5th, 2001))、わずかな刺激性ありとの報告 (PATTY (5th, 2001)) がある。以上の結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。ガイダンスの変更に伴い区分を変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギを用いた眼刺激性試験で軽度から中等度の眼刺激性がみられたとの報告 (ACGIH (7th, 2001)) や、軽度から中等度の結膜炎がみられたとの報告 (PATTY (5th, 2001)) がある。 以上、「中等度の刺激性」との記載から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットに感作性を示さないとの記載があるが (PATTY (5th, 2001)、DFGOT vol. 21 (2005))、詳細不明であることから区分に用いるには不十分なデータと判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性である (SIDS (2012)、DFGOT vol. 21 (2005)、PATTY (5th, 2001))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験においては、母動物毒性がみられる用量においても胎児毒性及び胚毒性はみられていないが、マウスを用いた吸入経路での催奇形性試験においては、重篤な母動物毒性 (8/25例死亡) がみられる用量で胎児・胚の死亡がみられている (SIDS (2012)、DFGOT vol. 21 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (5th, 2001))。
旧分類の区分2の根拠となったマウスのデータは上記と同じ実験であり、新たに加えた情報源であるDFGOT vol. 21 (2005) には、親動物の一般毒性について詳しく記載されており、重篤な母動物毒性がみられていることから分類に用いなかった。
以上のように、催奇形性試験において明らかな影響はみられていない。しかし、生殖能に関する情報が得られていないことから分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)



危険
警告
H370
H335
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
本物質は、気道刺激性がある (SIDS (2012)、ACGIH (7th, 2001))。ヒトにおいては、複数の事故例で疲労感、悪心、頭痛、嘔吐、眠気、衰弱、昏睡、筋力低下、中枢神経系抑制、呼吸数の増加、めまい、散瞳が報告されている (ACGIH (7th, 2001))。
実験動物では、ラットの3,870-9,810 ppm (14.9-37.7 mg/L) 4時間吸入ばく露で努力呼吸、活動低下、衰弱、振戦、マウスの2,500 ppm (9.6 mg/L) 4時間で中枢神経系抑制、筋痙攣、協調運動失調、チアノーゼがみられている。ラットの1,093-3,344 mg/kg経口投与では、不穏、鎮静、協調運動失調の報告がある (SIDS (2012)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 21 (2005)、PATTY (5th, 2001)、HSDB (Access on August 2014))。
実験動物でみられた中枢神経系への影響は区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められた。
以上より、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
なお、旧分類で記載されていた、「PATTY (4th, 1994) のニワトリを用いた経口投与試験において溶血性貧血」については、PATTY (5th, 2001) で確認できなかったため、不採用とした。

9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - ヒトでの反復ばく露による有害性知見はない。実験動物ではラットに本物質蒸気を13週間吸入ばく露した試験において、区分2に該当する濃度範囲 (0.26-0.55 mg/L/6時間) で、肺重量の増加 (雄) 及び肺胞マクロファージの増加 (雌雄)、赤血球数の減少など血液パラメータの変動 (雌) がみられたが、血液検査値の変化は背景対照値の範囲内で毒性学的意義はないと記述されている (SIDS (2012))。また、肺の所見は組織傷害を伴うものではなく、肺を含む気道組織全般に明瞭な器質性変化がみられないことから、呼吸器は標的臓器の対象外と考えられた。したがって、本試験からは分類に利用可能な標的臓器を特定できない。一方、経口経路では信頼できるデータはない (SIDS (2012))。すなわち、デ-タ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
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- - 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の96時間EC50 = 1068300ug/L、魚類(Ictalurus punctatus)の96時間LC50 = 1100000 ug/L(いずれもAQUIRE, 2015)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。難水溶性ではなく(水溶解度=597mg/L、PHYSPROP Database, 2009)、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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