項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 77-47-4 |
名称 | ヘキサクロロシクロペンタジエン(再分類) |
物質ID | H26-B-086, R-036 |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2005)) |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団 (共役する2つの不飽和結合) を有するが、データがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2005)) |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2005)) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | 酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。なお、湿分の存在下で種々の金属を侵すとの情報がある (HSDB (Access on August 2014))。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P362+P364 P264 P270 P330 P501 |
ラットのLD50値として、> 50 mg/kg (EU-RAR (2007))、315 mg/kg (雌)、425 mg/kg (雄) (EU-RAR (2007)、EHC 120 (1991))、471 mg/kg (ATSDR (1999))、505 mg/kg (雄)、690 mg/kg (雌) (EU-RAR (2007)、IRIS TR (2001)、EHC 120 (1991))、584 mg/kg (雄、雌) (EU-RAR (2007)、IRIS TR (2001)、ATSDR (1999))、630 mg/kg (ATSDR (1999))、651 mg/kg (雄、雌) (EU-RAR (2007)、EHC 120 (1991))、926 mg/kg (雄、雌) (EHC 120 (1991))、1,400 mg/kg (雄、雌) (EU-RAR (2007)) との11データの報告がある。最も多くのデータ (10件) が該当する区分4とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 |
危険 |
H311 | P302+P352 P280 P312 P321 P361 P364 P405 P501 |
ウサギのLD50値として、< 200 mg/kg (雄)、340 mg/kg (雌) (EU-RAR (2007)、EHC 120 (1991))、< 200 mg/kg (EU-RAR (2007))、780 mg/kg (EU-RAR (2007)、EHC 120 (1991))、ラットのLD50値として、2,000-3,200 mg/kg (EU-RAR (2007)) との5件の報告がある。分類ガイダンスに従って、最も多くのデータ (2件) が該当する区分3とした。なお、LD50値の最小値の2件の報告では区分を特定できず、残りの1件は区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。新たな情報源 (EU-RAR (2007)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分1 |
危険 |
H330 | P304+P340 P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
ラットのLC50値として、1.6 ppm (雄)、3.5 ppm (雌) (EU-RAR (2007)、ATSDR (1999)、EHC 120 (1991))、3.7 ppm、3.0 ppm (EU-RAR (2007))、3.44 ppm、1.6 ppm (雄)、3.9 ppm (雌) (IRIS TR (2001)) との報告に基づき、区分1とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (78.9 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。ラットのLC50値として、< 2 mg/L との報告があるが (EU-RAR (2007))、このデータのみでは区分を特定できない。なお、試験はミスト及びエアロゾルによって行われたとの記載、及びLC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.88mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 |
危険 |
H314 | P301+P330+P331 P303+P361+P353 P305+P351+P338 P304+P340 P260 P264 P280 P310 P321 P363 P405 P501 |
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質の原液又は10%水溶液を適用した試験において腐食性がみられた (EU-RAR (2007))。また、モルモットに本物質の40-90%水溶液を適用した試験においても腐食性がみられたとの報告 (EU-RAR (2007)) や、ウサギの皮膚に対して中等度から重度の一次刺激性を示すとの報告がある (EHC 120 (1991))。ヒトにおいては、皮膚刺激性を示したとの報告 (IRIS (2001)、EU-RAR (2007)) がある。以上、ウサギに対する「腐食性あり」の結果から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R34」、EU CLP分類で「Skin Corr.1B H314」に分類されている。情報を追加し区分を変更した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 | P305+P351+P338 P280 P310 |
ウサギに本物質 (濃度不明) 0.1 mLを適用した眼刺激性試験において、壊死や軟白化がみられ、重度の刺激性が認められたとの報告がある (EU-RAR (2007)、EHC 120 (1991)、ATSDR (1999))。また、本物質は皮膚刺激性/腐食性の分類で区分1とされている。以上の結果から、区分1とした。 EU-RAR (2007) の情報追加、及び皮膚刺激性の区分1に基づき、区分を変更した。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
モルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406) において陽性率が100%であり、皮膚感作性物質であると結論されている (EU-RAR (2007))。またモルモットを用いた他の感作性試験においても、供試した動物全てに感作反応がみられたとの報告がある (EHC 120 (1991)、EU-RAR (2007))。以上の結果から区分1とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験、マウス末梢血赤血球の小核試験で陰性である (EU-RAR (2007)、ATSDR (1999)、NTP TR437 (1994)、EHC 192 (1997)、IUCLID (2000)、NTP DB (Access on September 2014))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、ラットの初代肝培養細胞の不定期DNA合成試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (EU-RAR (2007)、ACGIH (7th, 2001)、NTP DB (Access on September 2014)、IUCLID (2000))。 |
6 | 発がん性 | 区分外 |
- |
- | - | ACGIH (7th, 2001) でA4、EPAで1986年にE、1996年にNL (IRIS (2001)) に分類されている。また、SIAP (2007) は、ラット、マウスの2年間吸入ばく露発がん性試験結果から、いずれも発がん性が認められていないことなどから、発がん性の証拠はないと評価している。以上より、ACGIHの分類からは「分類できない」、EPAの分類からは「区分外」となるが、ラット、マウスで発がん性が認められていないため発がん性の証拠はないとの評価 (SIAP (2007)) もあわせて、EPAの分類を優先し「区分外」とした。 なお、旧分類では、ACGIHでA4、EPAでE、NLから区分外としていたが、ガイダンスの改訂により、ACGIHでA4の場合「分類できない」と変更されている。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 ラット、マウス、ウサギを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験において、ラット及びマウスでは母動物毒性、発生毒性ともに認められず、ウサギにおいては母動物毒性がみられる用量においても発生毒性は認められていないとの報告 (EU-RAR (2007)、IRIS (2001)、ATSDR (1999)、NTP TR437 (1994)、EHC 120 (1991)) があり、旧分類では催奇形性試験の情報のみから区分外と分類していたが、生殖能に関する十分な情報がないことから分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) |
危険 警告 |
H370 H336 |
P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
本物質は気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (1999)、EHC 192 (1997)、IRIS Tox. Review (2001)、HSDB (Access on August 2014))。 ヒトにおいては複数の事例が報告されているが、分類に利用できるデータはない。実験動物においては、ラットの吸入ばく露では、1.4 ppm (0.016 mg/L) 以上で肺の異常 (赤色の限局性又はびまん性硬化)、肺出血、0.15-78.6 ppm (0.002-0.88 mg/L) で気管支壊死組織の好中球、赤血球及びフィブリン浸潤、閉塞性気管支炎、細気管支炎、結合組織増殖、ラット、マウス、ウサギ、モルモットの0.3-66 ppm (0.003-0.74 mg/L) で、肺の充血、浮腫がみられている。経口投与では、ラットの1,260-2,000 mg/kg、ウサギの180-2,100 mg/kgで下痢、立毛、円背位、歩行異常、嗜眠、呼吸数減少、眼瞼下垂、四肢蒼白、ラット、ウサギの261-1,959 mg/kgで肺の充血、浮腫、ウサギの経皮適用401-5,719 mg/kgで肝臓、腎臓の壊死、肝臓の退行性変化、腎臓の腎尿細管変性がみられている。以上の実験動物への影響は死亡動物のみならず生存個体でも認められたとの記載があり、吸入及び経口ばく露での呼吸器への影響、経皮ばく露での肝臓、腎臓への影響はいずれも区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められた。さらに、EHC 192 (1997)、IRIS Tox. Review (2001) で、投与経路とは無関係に急性ばく露により肺、肝臓、腎臓に毒性を示し、病理変化が認められると記載されている (EU-RAR (2007)、ATSDR (1999)、EHC 192 (1997)、IRIS TR (2001))。 以上より、区分1 (呼吸器、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) とした。 旧分類では肝臓、腎臓を区分2としていたが、区分1に相当する濃度でも肝臓、腎臓への影響が認められているため、区分を変更した。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器)、区分2 (腎臓) |
危険 警告 |
H372 H373 |
P260 P264 P270 P314 P501 |
廃水処理工場で本物質に3-15日間ばく露された作業者145名中39名に呼吸器症状 (咳、喉の刺激症状、胸部不快感、努力呼吸)、22名に頭痛 (呼吸器等への刺激による二次的影響とみなされている) がみられ、血液検査で血球数の変動はないが、41名から採取した尿試料から尿タンパク陽性が6例で検出された (ATSDR (1999)、IRIS TR (2001))。 実験動物では、ラット及びマウスに13週間又は2年間吸入ばく露したNTP試験、並びにラットに30週間吸入ばく露した試験で、いずれも区分1の濃度範囲 (0.00011-0.0063 mg/L/6時間) で、中枢神経症状 (活動性低下、嗜眠)、呼吸器傷害 (鼻腔又は喉頭の扁平上皮化生、鼻腔から肺に及ぶ広範な慢性炎症、壊死性変化、又は褐色色素沈着 (2年間吸入試験) がみられている (EU-RAR (2007)、ATSDR (1999)、IRIS Tox. Review (2001))。これらの試験のうち、ラット30週間吸入ばく露試験では区分1の濃度範囲で、血液系への影響 (赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、及び好中球比率の増加など (雄のみ))、肝臓及び腎臓に変性がみられた (EU-RAR (2007)、ATSDR (1999)、IRIS TR (2001)) との記述があるが、他の吸入ばく露試験では影響は呼吸器局所に限定的であることを示す結果であった。 経口経路ではラット及びマウスに本物質を13週間強制経口投与した試験において、区分2の用量範囲 (38-75 mg/kg/day) で、ラット、マウスいずれにも腎症 (近位尿細管の拡張、尿細管上皮細胞の細胞質の空胞化又は腫大、核の肥大又は大小不同) がみられている。また、より低用量からラット、マウスいずれにも前胃に刺激性によると考えられる増殖性・炎症性変化がみられた (EU-RAR (2007)、ATSDR (1999)、IRIS TR (2001))。 以上、ヒト及び実験動物での知見に基づき、区分1 (呼吸器)、区分2 (腎臓) に分類した。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50 = 7 μg/L、魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 7 μg/L(いずれもEU-RAR, 2007、EHC 120, 1991)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(ミシッドシュリンプ)の28日間NOEC = 0.3 μg/L(EU-RAR, 2007)であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の96時間ErC50 = 190μg/L(EU-RAR, 2007)であることから、区分1となる。 以上の結果より、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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