GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 142-82-5
名称 ノルマル-ヘプタン(再分類)
物質ID H26-B-088, R-067
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-7℃ (closed cup)、沸点98℃ (GESTIS (Access on September 2014)) に基づいて区分2とした。
なお、国連分類1206、クラス3、PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が285℃ (ICSC (1997)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - マウスのLD50値として、5,000 mg/kgとの報告 (IUCLID (2000)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50値として、3,000 mg/kgとの報告 (IUCLID (2000)) に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外
-
-
- - ラットのLC50値 (4時間) として、> 17,940 ppm (SIDS (2013)、25,132 ppm (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (45,410 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ヒトにおいて1時間接触により刺激性と皮膚炎が認められたとの報告 (DFGOT vol. 11 (1998)) や、皮膚へ直接ばく露すると疼痛、火傷、掻痒を生じるとの記述 (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1988)) があることから、区分2とした。なお、本物質はEU DSD分類で「Xi; R38」、EU CLP分類で「Skin Irrit. 2 H315」に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
本物質はヒトの眼に対して刺激性を持つとの記載がある (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1988))。なお、ウサギを用いた眼刺激性試験において軽度の刺激性がみられた (IUCLID (2000)) との報告がある。以上、「刺激性あり」との記載から、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ラット肝培養細胞の染色体異常試験で陰性である (PATTY (6th, 2012)、IUCLID (2000)、HSDB (Access on August 2014))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - EPA IRIS (1993) でDに分類されていることから、「分類できない」とした。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性、麻酔作用)


警告
H335
H336
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
本物質は気道刺激性及び麻酔作用を有する (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、SIDS (2013)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 11 (1998)、HSDB (Access on August 2014)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1988))。ヒトにおいては、吸入ばく露でめまい、感覚鈍麻、頭痛、興奮、協調運動失調、昏迷等中枢神経系に影響を与えることがある。この中枢神経系への影響は麻酔作用による。経口摂取では吐き気、嘔吐、胃痙攣、灼熱感を生じる (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、SIDS (2013)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 11 (1998)、HSDB (Access on August 2014)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1988)、DFGOT vol. 11 (1998))。
実験動物では、マウスの吸入ばく露で上気道刺激が鼻腔粘膜の三叉神経終末受容体の興奮を引き起こし呼吸数低下を生じたとの報告がある (DFGOT vol. 11 (1998))。
以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
タイヤ工場で純度95%以上の本物質の蒸気に1-9年間ばく露された18名の作業者が四肢のしびれと知覚異常を訴えた。神経学的検査では末梢神経症の証拠は示されなかったが、ばく露群の12名中10名で運動神経伝達速度 (MCV) の低下とばく露期間との間に有意な相関がみられ、臨床的には多発性神経症の疑いありとされた (SIDS (2013)、DFGOT vol. 11 (1998)) との記述、製靴工場で本物質を含む高濃度の膠溶剤にばく露された女性の作業者が3ヵ月後に中枢神経症状及び末梢神経障害を発症し、ばく露中止後に中枢神経症状は速やかに消失したが、軽度の末梢神経症が数ヶ月間持続した (SIDS (2013)、DFGOT vol. 11 (1998)) との記述があり、神経症の発症には神経毒性物質とされている代謝物の 2,5-ヘプタンジオンの濃度が関与しているとの見解が示されている (SIDS (2013))。一方、本物質 (5-196 mg/m3) にばく露された製靴工場及びタイヤ工場の作業者8名には、神経症の兆候はみられず、尿中 2,5-ヘプタンジオンは一部の例で低濃度 (0.25 mg/L) で検出されたことから、神経症発症には高濃度、かつ持続的なn-ヘプタンへのばく露が必要であると考えられており (SIDS (2013)、DFGOT vol. 11 (1998))、SIDSはC7-C9の脂肪族炭化水素化合物のカテゴリー評価結果として、これらの物質群は総じて神経毒性を示さないと判断している (SIDS (2013))。
実験動物では、ラットに本物質 (蒸気と推定) を26週間吸入ばく露した試験において、区分外の高濃度まで明確な毒性影響はみられず、NOAELは2,970 ppm (12.2 mg/L) であると報告されている (SIDS (2013))。また、ラットに3,000 ppmで16週間、又は1,500 ppmで最長30週間、吸入ばく露したが、神経毒性の兆候はみられていない (SIDS (2013))。
以上、職業ばく露による複数の疫学知見より持続的な本物質へのばく露により、ヒトで神経障害が生じる可能性は否定できないと考え、区分1 (神経系) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1


危険
H304 P301+P310
P331
P405
P501
炭化水素であり、吸引により化学性肺炎を生じるとの記述 (HSDB (Access on August 2014)) より、区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(ミシッドシュリンプ)による96時間LC50=0.1 mg/L (SIDS, 2013) であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がある(BODによる分解度:101%(既存点検, 1996))が、生物蓄積性があると推定され(log Kow=4.66(>4.0、PHYSPROP Database, 2009))、急性毒性区分1であることから、区分1とした
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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