項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 552-30-7 |
名称 | 1,2,4-ベンゼントリカルボン酸1,2-無水物(再分類) |
物質ID | H26-B-090, R-038 |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。なお、可燃性 (ICSC (2005)) との記載がある。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点が740℃ (GESTIS (Access on September 2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、2,730 mg/kg (雄、雌) (2,030 mg/kg (雌)、3,340 mg/kg (雄)) (CICAD (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))、及び> 2,730 mg/kg (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、5,600 mg/kg (CICAD (2009)、SIDS (2003))、ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (CICAD (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))、> 23,000 mg/kg (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)) との報告に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLC50 (4時間) として、> 2.33 mg/L (CICAD (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998))、及び> 7.4 mg/L (環境省リスク評価第7巻:暫定的有害性評価シート (2009)、ACGIH (7th, 2001)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (< 0.77 mg/L) の90%より高いため、ミストが混在するものとして mg/L を単位とする基準値を適用した。新たな情報源 (CICAD (2009)、環境省リスク評価第7巻:暫定的有害性評価シート (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)、ACGIH (7th, 2001)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)) を追加し、区分を見直した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - | ウサギに本物質500 mgを4時間適用した試験において軽度の刺激性がみられたが、この刺激性は14日後には回復したとの記載がある (SIDS (2003)、NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から区分外 (国連分類基準の区分3) と判断した。ガイダンスの改訂に伴い区分を変更した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 |
P305+P351+P338
P280 P310 |
ウサギを用いた眼刺激性試験 (ドレイズ法) において、刺激性スコアは最大値 (110/110) を示し、重度の刺激性ありと記載されている (SIDS (2004))。また、ウサギを用いた他の眼刺激性試験においても重度の刺激性とされている (ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から、区分1とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1A |
危険 |
H334 |
P304+P340
P342+P311 P261 P284 P501 |
本物質を扱う作業者において喘息等のアレルギー性呼吸器疾患が多数報告されており (SIDS (2004)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998))、本物質を扱う作業者の29%にアレルギー性呼吸器疾患がみられたとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。また、ACGIH (7th, 2014)) では本物質を「RSEN」に、産衛学会は気道感作性物質「第1群」としている。以上の結果から区分1Aと判断した。産衛学会の気道感作性物質「第1群」の記載から、ガイダンスの記載に従い細区分をおこなった。なお、本物質はEU DSD分類で「R42」、EU CLP分類で「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 |
P302+P352
P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
モルモットを用いた皮膚感作性試験及びマウスを用いた局所リンパ節試験 (LLNA 法) において陽性を示した (SIDS (2004)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2014)) との報告があり、ACGIH では本物質を「DSEN」としている。以上より区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R43」、EU CLP分類で「Skin Sens. 1 H317」、に分類されている。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroデータでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験でいずれも陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004)、HSDB (Access on August 2014)、CICAD75 (2009)、NTP DB (Access on September 2014)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。 ラット、モルモットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、催奇形性又は発生毒性はみられなかったとの報告 (ACGIH (7th, 2014)、CICAD75 (2009)、環境省リスク評価第7巻:暫定的有害性評価シート (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))、マウスを用いた経口経路での催奇形性試験において影響はみられなかったとの報告 (CICAD75 (2009)) がある、1用量のみの試験であることから分類に用いなかった。また、生殖能に関する情報が得られていないことから分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H370 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
本物質は気道刺激性を有する (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第7巻:暫定的有害性評価シート (2009)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998))。ヒトにおいては、多数の事例が報告されているが、経口摂取で吐き気、灼熱感、腹痛、嘔吐、下痢、吸入ばく露で咳、血痰、頭痛、吐き気、息切れ、喘鳴を生じる (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第7巻:暫定的有害性評価シート (2009)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、SIDS (2004)、ACGIH (7th, 2014)、HSDB (Access on August 2014))。 実験動物では、ラットの吸入ばく露 (2.33 mg/L) で努力呼吸、剖検で肺の赤色巣、斑状化、水腫、マウスの吸入ばく露 (0.002-0.15 mg/L) で不整呼吸、一過性の呼吸停止がみられたが、この症状は本物質の肺深部迷走神経末端への直接刺激によるものと報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004))。実験動物でみられた肺水腫や肺深部迷走神経末端への刺激等重篤な影響から本物質は呼吸器に影響を与えるものであり、区分1 (呼吸器) とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器、血液系・免疫系) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ヒトでは本物質のヒューム、又は粉じんの吸入による職業ばく露により、鼻炎、喘息、過敏性肺炎、呼吸困難、喀血など呼吸器疾患が生じ、職場環境改善に伴う気中濃度の低下により、発症率を顕著に軽減できることが報告されている (ACGIH (7th, 2014)、CICAD 75 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由 (1999))。また、喘息、過敏性肺炎など遅発性呼吸器疾患の発生には本物質に対する特異的抗体の産生を介した免疫学的機序の関与が示唆されている (ACGIH (7th, 2014)、CICAD 75 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由 (1999))。 実験動物でも、ラットに本物質 (粉じんと推定) を最長13週間吸入ばく露した試験において、区分1の範囲内の濃度 (0.002-0.05 mg/m3) で、肺に多数の出血巣、気管支肺炎が認められ、肺重量及び血清特異抗体の増加がみられており (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2014)、SIDS (2004))、実験動物でも液性免疫機序を介した肺の傷害を示す知見が得られている。一方、経口経路ではラット又はイヌに13週間混餌投与した試験で、区分2を超える用量 (500 mg/kg/day 相当) を投与しても、特定の臓器への明確な有害影響はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 75 (2009)、SIDS (2004))。 以上、ヒト及び実験動物での吸入ばく露による知見を基に、区分1 (呼吸器、血液系・免疫系) に分類した。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 |
- |
- | - | 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 > 792 mg/L、魚類(ゴールデンオルフェ)の96時間LC50 > 896 mg/L (いずれもSIDS, 2002、NITE 初期リスク評価書, 2008)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:96%(既存点検, 1988))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC> 739 mg/L (SIDS, 2002、NITE 初期リスク評価書, 2008)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、甲殻類、魚類についていずれも急性区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度=1036 mg/L (PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外となる。 以上の結果より、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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